【SIGMA】視点B
同じ時間、同じ場所、同じ被写体。
それでも写真ってこんなに違う。
心が動く、写真を撮る、言葉を添える。
世界の見え方、切り取り方、魅せ方、人それぞれ。
【視点B】
SIGMA DP2 Merrill
DP2 Merrill、
発売からもう10年ほど経ちます。
これより前のDPシリーズや後に出たQuattroと比べて、少し癖のある写り。
言葉にするのは難しいですがどこか緑がかった、時にこってりとした色が乗ります。
しかしその癖がまた心地よく、今まで多くのユーザーの心を掴んできました。
今も愛用している方は少なくないはず。
このセンサーが映し出す被写体の質感は素晴らしく、
写真の中でうまくハマった時は最新のカメラでも勝てない、
魅力のある絵を引き出してくれます。
Merrillは高感度での撮影はノイズが乗りやすく、基本的にはISO100前後の低感度での撮影が推奨されます。
今回もISO200までで撮影をしており、中には手持ちでスローシャッターを切っている写真もありますが、
しっかりと時間を設けてあげれば、暗所でもMerrillらしいキレのいい写りをします。
そして筆者はこのカメラがアンダーの時に織りなす、非現実的な世界がたまらなく好きなのです。
今回はメーカーも、カメラとしてのジャンルも異なる二つのカメラで同じ時間を切り取りました。
同じ時間を切り取った写真たちは、全く別の視点のものもあれば、
似たような場面、似たような構図のものもあることでしょう。
本来他者の視点でものを見る、ということは不可能です。
しかしカメラや写真を通して同じ時間を別の視点で見れる、ということは非常に興味深く、
ある種の擬似体験をさせてくれます。
これは写真だからこそ、「視点」として感じることができ、
絵画表現や音楽といった表現の方法自体に差が出てしまう作品においては実感するのが難しいものだと思います。
皆さんは普段1人で撮影にいきますか。
あるいは誰かと一緒に写真を撮りにいきますか。
いつもは1人で撮影してます、という方も誰かと写真を撮ったり、
あるいは同じものを他の人がどのように撮っているかを見てみるのはいかがでしょうか。
人と一緒に写真を撮る方もぜひ、撮った写真を並べてみてください。
被写体のまだ気づいていない魅力や、時には使ったことのないカメラの魅力など、
自分1人では見えなかったなにかが見えてくるかもしれません。