あなたのためのマウントアダプターマニュアル
ー オールドレンズを使ってみたい ー
ー 今持っているレンズを有効活用したい ー
そんなことを考え出すとマウントアダプターについて調べる未来が始まりを告げるのです。
しかし、レンズそれぞれでマウントの種類であったり、オートフォーカスの使用可否など複数の要素があり難しさを感じてしまうこともあるかと思います。
なので今回は可能な限り簡潔にマウントアダプターについてまとめていき、みなさんが気軽にオールドレンズや別マウントのレンズを利用できるようにお伝えしていきたいと思います。
ーマウントアダプターとはー
通常なら付けられない他社のレンズなど、別マウントのレンズを取り付けられるようにする変換アダプターです。
別のメーカーへの乗り換えをした際に以前に利用していたレンズの再利用ができたり、フィルムカメラ時代のレンズを使って様々な表現を楽しむこともできます。
いろんなレンズを自分のカメラボディに装着して使えるという夢のようなアダプターですが注意事項がいくつかあります。
【注意事項】
・マウントアダプターには相性がある為、完全な動作保証がされているわけではないので注意が必要です。
・レンズの後玉が大きくせり出していたり、鏡筒後部の機構がボディ内装に干渉してしまう場合など、 マウントの変換が行えても装着が困難な組み合わせも一部ございます。
・ボディ内手ブレ補正を使用する場合、手動で焦点距離の設定をボディ側で行う必要があります。
・AFやF値コントロールなどの利用可否がレンズやアダプターの機能により変わります。
まずはお持ちのカメラに使いたいレンズの取り付けが可能かどうかを十分確認していただくようにお願いします。
しかしながら、確認してくださいと言われてもどう確認すればよいのか。。。
ここで重要となるのがフランジバックについての情報です。
フランジバックとはマウント面からセンサーまでの距離のこといい、その長さはメーカーにより異なります。
そして、簡単に言ってしまうとマウントされるボディ側のフランジバックと、レンズ側のマウントのフランジバックを比べ、レンズ側のフランジバックが長い状態であれば、間に帳尻を合わせるためのアダプターを噛ませる事で取り付けが可能ということになります。
ボディとレンズの間にマウントアダプターを挟む格好となりますので、間に余裕があればあるほどマウントアダプターの長さを担保することができます。
主なマウントのフランジバックの長さもまとめましたので参考にしていただければ幸いです。
この表を見るとミラーレス一眼は一眼レフのようなミラーが無いためフランジバックが短くなっている事が分かると思います。
極論をいうとオールドレンズ遊びはミラーレス一眼の方がやりやすいということにもなります。
そして、下のバナーから利用可能なマウントアダプターをまとめたリストをチェックできますのでこちらも参考にしてみて下さい。
ここまでマウントアダプターの利用可否についてお話していきましたが、ここからはマウントアダプターを使うにあたって知っておいた方が良い用語などについてご紹介したいと思います。
【ヘリコイド】
製品名に「ヘリコイド付き」や「クローズフォーカス」などの記載があるものは最短撮影距離を短くすることができます。
世の中には「接写リング」というアクセサリーがございますが、ヘリコイド付きのアダプターは伸ばしている間だけ接写リングの様な役割をする優れもの。通常より寄って撮影ができるので被写体を大きく写すことができるという事です。
上の写真のようにヘリコイドを繰り出すだけという簡単な方法で接写撮影が可能となりますので気軽に利用していただく事ができます。
※元のレンズの光学設計上の最短撮影距離より更に接写を行う事となりますので、寄れますが描写自体は甘くなる傾向にあります。甘いと感じた場合は絞りを絞るなどすると良い結果が得られることが多いです。
【電子接点付】
電子接点付のレンズとマウントアダプターを組み合わせることによって以下の事ができるようになる場合があります。
「AFの利用」・・・AFが利用できるようになるので撮影がより快適になります。レンズによってはAF速度が落ちる場合がありますので注意が必要です。
「F値の制御、表示」・・・ボディ側でF値の表示、変更が可能になりますのでSモードやPモードの利用が可能になる。
「レンズデータの保存」・・・撮影時のレンズデータにF値や焦点距離などの情報が保存できるので、撮影後に情報確認ができる。
※対応状況はそれぞれのレンズ、マウントアダプターにより変わりますので確認が必要となります。
【絞り環】
レンズ自体に絞り環(F値を調整するダイヤル)が付いているかどうかで挙動が変わってきます。
下のチャートをご覧頂くと分かるように、絞り環なしのレンズで電子接点付きのマウントアダプターであればほとんどの場合ボディ側で設定したF値が反映されます。
しかしながら、「絞り環なしのレンズ」と「電子接点のないマウントアダプター」の組み合わせの場合は、基本的に絞り開放しか利用ができませんので注意が必要です。
ちなみにレンズに絞り環が無くても上の画像のような「絞り連動ピン」が付いている場合は対応のマウントアダプターを取り付けるとF値コントロールが利用可能になります。
この辺りはレンズ自体の機能把握が必要となりますので難しい項目かもしれませんが、F値の目盛がレンズ本体に付いているかどうかさえ分かれば基本的にこのチャートを活用して頂く事によりどのようなマウントアダプターを用意するべきかが見えてくると思いますので活用いただけると嬉しいです。
続いて、様々なマウントアダプターがある中で特徴的な物もありますので、いくつかご紹介したいと思います。
【LM-EA7、LM-EA9】(ライカMレンズ/ソニーEボディ用)
ライカMマウントレンズを使いたい方には必見のマウントアダプターです。
なんと、マニュアルフォーカスレンズでオートフォーカスを利用できるようになるのです。
オートフォーカスが使えるだけで撮影のスピード感はかなり向上すると思いますので、おすすめのマウントアダプターです。
しかし、LA-EA7はバージョンにより利用できるボディが変わってくるので確認が必要になります。
【SIGMA MC-11】(キヤノンEFレンズ/ソニーEボディ用、シグマSAレンズ/ソニーEボディ用)
こちらは特にCANONのEFマウントレンズを利用されたい方にとても人気のマウントアダプターです。
そしてSIGMAの対応しているレンズを装着した場合にはすべてのフォーカスエリアモードを選択できたり、手ブレ補正OS機構も利用が可能になっています。
ソニーEマウントレンズと同様「周辺光量補正]、[倍率色収差補正]、[歪曲収差補正]といった[レンズ補正]も効くこともありがたいです。
しかしAF-C、AF-Aは非対応を謳っていることと、連写コマ数の制限がかかるレンズもあるので注意が必要となります。
今回、他社レンズを取り付けるお話をメインとしてきましたが、自社の一眼レフ用レンズを自社のミラーレス一眼で利用できるようにするマウントアダプターもあります。
CANON・・・「EF-EOS R」
SONY・・・「LA-EA」
NIKON・・・「FTZ」
【CANON EF-EOS Rシリーズ】
EFマウントレンズをEOS Rシステムで利用するためのマウントアダプター。
オートフォーカスや手ブレ補正機構、カメラの電子ダイヤルによる制御、光学補正などレンズの持つ機能をほぼそのまま使用することができます。
EF-EOSRに通常タイプ以外に「コントロールリング付き」「ドロップインフィルター(可変式NDフィルターA付or円偏光)」「0.71×」と多種多様な物が用意されています。
【SONY LA-EAシリーズ】
AマウントレンズをEマウントシステムで利用するためのマウントアダプター。
2024年2月現在、新品で販売されているのは「LA-EA5」のみとなっており、「LA-EA3」「LA-EA4」をお求めの方は中古品の中からお探しいただく事となります。
レンズ内モーターの「SAM」「SSM」が無い場合、 「LA-EA3」ではAF不可となっています。
お持ちのレンズが利用可能かどうか、必要なマウントアダプターはどれなのか、是非SONYホームページにて確認を行ってみてください。
【NIKON FTZシリーズ】
FマウントレンズをZマウントシステムで利用するためのマウントアダプター。
「FTZ(2018年9月28日発売)」と「FTZ Ⅱ(2021年12月24日発売)」があり、現行で販売されているのはFTZ Ⅱのみとなっています。
FTZ ⅡはFTZから三脚座を取り除き、凸部を最小化したもので基本的な性能は変わらず利用できるようになっています。
以上がマウントアダプターについてのお話となりますがいかがでしたでしょうか。
まずは「こんな写真が撮りたい」「このレンズを使いたい」という事を決めて頂いて、その後に必要なマウントアダプターを探すという順番で行っていただくと良いと思います。
是非いろんな写真を見て好きな写りをするレンズを探してみてください。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。