フィルムで写真を撮るのが好きです。
デジタルカメラでは、撮った瞬間に写真が確認できその場で写真の取捨選択が出来ます。
思ったのと違う描写だった場合は、削除してもう一度撮りなおすことも出来ます。
フィルムカメラの場合そうはいきません。現像するまでどんな写真が撮れたのかは分かりません。
撮影できる枚数も決まっているため、何枚も同じ構図で写真を撮るわけにもいきません。
一見不便なフィルムカメラです。
しかし、それでもフィルムでしか味わえない楽しさがあると私は思います。
初めてフィルムカメラを使う場合、AFが入っていたり露出もカメラが決めてくれたりというカメラがオススメです。
今回は、CONTAX T3を使用しました。CONTAX T3は背面を開けてフィルムを入れるとカメラが自動でフィルムを装填してくれます。
そのため最初はどうしても難しく感じるフィルム装填も楽々完了します。
今回は、HARMAN Phoenix 200のフィルムを使用しました。
2023年12月に発売されたばかりのニューフェイス。
フィルムカメラは同じカメラを使用していてもフィルムを変えれば全く異なる写真が撮れます。
そこがフィルムの楽しさだと思います。
HARMAN Phoenix 200は赤が目立つ色味が特徴的でした。
この写真を撮ったのが曇りだったこともあるかと思いますが、面白い色の出方をするフィルムです。
フィルムを撮影していて一番写真を撮ってしまうのが空です。
フィルムの種類にもよりますが、どんなデジタルカメラで撮るよりも鮮やかながら優しいのどかな色になることが多いからです。
季節ごとに空の色味や雲の形も様々なように感じます。
もう一つ、フィルムカメラで撮影してしまうものが自分の影です。
デジタルカメラではほとんど自撮りをすることはありません。フィルムを持つと自分の影が印象的に感じます。
私は、一回の使用で全てのフィルムを使い切ることはほとんどなくじっくり使っていくことが多いです。
そのため、長ければ3ヵ月ほど時間が経ってから現像に出すことがほとんどです。
現像してみて自分の服装や髪型のシルエットなどをみて撮影時の季節や、撮った際の感情などをしみじみ思い出します。
そこも、フィルムを使う魅力の一つだと考えています。
ここからは、Leica M4にVoigtlander NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 SCのセットで撮影した写真です。
FUJIFILM FUJICOLOR SUPERIA X-TRA 400のフィルムを使用しています。
さきほどのフィルムと比べても、ざらざらした粒子感は少なくなりなだらかな描写が特徴です。
赤味が強い、などといったこともなく目で見たものに近い色味のため、初めてフィルムを使う方にもおすすめのフィルムです。
空の薄い青と海の濃い青といった同じ「青」でも色味の違いが出ています。
日没の写真に挑戦してみました。雲が格子状になっており不思議な模様です。
AFや電子巻き上げ機能がついているフィルムカメラも便利で素敵だと思いますが、私はマニュアルのフィルムカメラが好きです。
巻き上げレバーでフィルムを調整しながら、フィルムの上下の穴がカメラ側の歯車に合うようにセットしていきます。
私は手先が器用ではないので、素早く装填することは出来ません。
ゆっくり慎重にフィルムを入れていくことが多いですが、その時間もカメラと向き合う時間となり、大切な時間となっています。
Leica M4の光学ファインダーを覗くと白いブライトフレームがあります。
デジタルカメラで多く用いられている電子ファインダーの場合、覗いた画像全てが撮影画像になります。
フィルムカメラでは、全てが写真に写るわけではなくフレーム内の範囲が撮影画像となります。
ブライトフレームで撮影範囲が表示されているからか、いつもより構図に集中することが出来るように感じます。
ISO400以上のフィルムであれば、ある程度明るいレンズと組み合わせることで夜の写真も撮ることが出来ます。
露出計のついていないカメラの場合、露出を決めるのが難しいのではないかと最初は不安でした。
もちろん、別途露出計を購入することも出来ます。しかし、今はスマートフォンに露出計アプリが多く登場しています。
スマートフォンで写真を撮るように構えれば簡単に露出を表示してくれるものもあります。
光が柔らかく輝き、提灯の暖かい灯がそのまま写真で表現されています。
ノスタルジックなこのような雰囲気は、やはりフィルムでしか出せないものだと感じます。
枚数に制限がある分、普段より厳選してシャッターを切ります。
そのため、「心が本当に動いたもの」だけを写真に収めていくようになります。
自分が何に心を動かされるのか、改めて自分で確認していく作業のようです。
毎月毎年、目まぐるしくデジタルカメラの進化は進んでいきます。
どんどん新しい機能が搭載されたカメラが開発されていきます。
より解像力が高く、よりシャープに、より緻密に。
目で見ているものと遜色ない、もしかしたらそれ以上に緻密な写真がシャッター1つで簡単に撮影出来ます。
もちろん、そのような最先端のカメラでの撮影も楽しく、ここまで出来るようになったのかと感動することばかりです。
しかし「日本の原風景」に出会って心がほっとするように、目まぐるしく変わっていく毎日の中で古くから今まで変わらずに続いているものを見た時に心の余裕が生まれることがあります。
フィルムで写真を撮ると、なんとなく心が穏やかになるように感じます。
フィルムをいれ、1枚1枚限られた枚数を大切に使い、現像できるまで少しそわそわしながら待ちます。
フィルムカメラで写真を撮る楽しさは、カメラで写真を撮影している時間だけではなくその前後も続いていきます。
フィルムカメラを手にした時からフィルムカメラの楽しさは始まっていきます。
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