【SONY】α9Ⅲ×動物園
世界初のグローバルシャッターを搭載したフルサイズカメラ「α9Ⅲ」
今回この世界初のカメラと共に、動物園へ赴きました。
組み合わせたレンズは、FE 70-200mm F2.8 GM OSS Ⅱと要所ごとに2x Teleconverterを用いて撮影を行いました。
今回の撮影地は動物園なので、全体的に手前側に網が多いシチュエーションが予想されます。なので、網のあるシーンではF2.8の被写界深度の浅さを用いて網を消して行こうという事でこのレンズとなりました。
また、2倍のテレコンを合わせて持ち歩くことでテレ端を400mmにして遠方の被写体にも対応できるようにします。元がF2.8通しなので400mmでもF5.6となります。
本機の特徴の一つが、プリ撮影機能。
最大一秒前までの撮影データを記録してくれるので、今まではいい表情が出たときにシャッターを押すといった撮り方だと手遅れで記録が出来ていなかった・・・といった経験があると思いますが、そういったシチュエーションでもこの設定を適用しておけば撮り逃しを大幅に減らすことが出来ます。
先程の作例は、上記作例写真のタイミングでレリーズボタンを押下した時に、そのプリ撮影機能を用いて記録されていたカットになります。リンゴを食べている時の写真なのですが一口齧るとその場で俯いたままむしゃむしゃする時と顔を上げてむしゃむしゃとする時があり、さらに顔を上げた時に一瞬こちらに目を向けるときがあります。その時「あっ!」と思い咄嗟にシャッターを切りました。筆者のレリーズタイミングでは間に合わなかっていなかったのですが、カメラでデータを確認してみるとプリ撮影のおかげでこちらを向いた瞬間を収めることが出来ていました。
また、プリ撮影を有効にしている際にシャッターを全押した時からどの程度遡れるかを設定することが出来(0.05秒~1秒の20段階)、自身の反応速度や用途に合わせて設定が可能です。
そしてこのプリ撮影の機能、作動させるタイミングを「①半押しAFのみ/②AFオンなどの割り当てられた方法でAFを作動させた場合/③両方」の中から選ぶことが出来、筆者は②の設定にして撮影を行いました。
これにより、プリ撮影が不要な時は半押しAFを行い、必要な時はAFオンボタンに割り当てたAFを作動させることで撮りすぎるのを防ぐことが出来ます。
続いて特徴というよりは、多くの方が気になっていたであろう部分の一つがISO感度もとい高感度のノイズ耐性。
SONYがα9Ⅲの発表後に行っていた先行体験会で多くの方が実際に触りその性能を目の当たりにしたことで、様々な意見が飛び交っている部分の一つであると思います。筆者の個人的な意見・感想を述べるのであれば、ノイズ耐性についてはISO3200まではさほどノイズが気にならないと感じました。
上記作例は被写体ブレ防止の為シャッタースピードを稼ぐべく、ISOを3200まで持ち上げて撮影を行いました。拡大した作例をお見せ出来ないので分かりにくいかもしれませんが、被写体周辺部を見ると少しザラっとした印象を受けますがこの程度であれば全然許容範囲内であると感じます。
上記二枚の作例はISO2000にして撮影を行いました。
ISO3200と比較をすると目に見えてザラつきが抑えられているのが分かります。
ISOの問題さえクリア出来てしまえばα9Ⅲの描写力は非常に素晴らしいの一言です。
ベースISOが250まで引きあがった事でダイナミックレンジが従来のモデルよりも劣ってしまうと言われておりますが、正直このレベルであれば、全く気にならないレベルだと筆者個人は感じました。
最後はリカオンです。
パッと見た時ハイエナっぽいビジュアルですが、ハイエナはハイエナ科でリカオンはイヌ科の肉食動物。体格もハイエナより小柄で生息地も同じなので見た目はハイエナっぽいですが、ハイエナはリカオンにとって天敵だそうです。
今回撮影させてもらったリカオンは、非常に元気が良く筆者が撮影に訪れた際には展示場の網の目の前まで来てくれました。
あまりにもこちらに興味津々で来てくれるので、非常に可愛らしかったのですがかなり近くまでそこそこのスピードでグッと寄って来てくれるので従来の感覚だと連写はしてもピントが抜けている写真がかなり多かったのですが、α9Ⅲは別格でした。
この可愛いリカオンを写真に収めるべく、連写を続けながら撮影を行いました。
積層型センサーモデル特有のブラックアウトフリー、カメラに任せっきりに出来る優秀な追従AF、α9Ⅲのおかげで構図を気にしつつもしっかりピントの合っている写真を量産することが出来ました。
今までは見るからにピントの抜けている写真はカメラでチェックする最初の段階で消したりしていたのですが、カメラで見る限りはそういった写真が見受けられなかったので全て持ち帰って確認することになりました。
120fpsに加えプリ撮影がある事を知った上で、撮り過ぎないように気を付けていても最終的には2200枚近くもシャッターを切っておりました。
驚くべきは、そのほとんどの写真にピンボケが無かったという事実。
どれもピントが来ている写真なので、構図的にどうか、同じようなカットじゃないかの確認がほとんどだったので、いい意味で写真の選別が非常に大変でした。
AF設定については、様々な設定が可能で今回筆者は動物・鳥の瞳AFのみ検出対象に設定をした上で被写体に応じてカスタムボタンに割り当てて切り替えを行いつつ撮影を行いました。
また、検出後は粘る設定にしておくことで手前の他の被写体に引っ張られないように設定することが出来ます。
今回の撮影に持ち出したレンズはSEL70200GM2なので、近接撮影の性能も非常に優れています。なので同一の被写体が複数いるシチュエーションでは手前を優先して探すので、粘る設定にしておくと外れにくくなります。
また、通常のAFオンでは網にピントが合ってしまうのが気になる方は、「被写体認識AF」をカスタムボタンに割り当ててそこからAFを作動させることでそういった事故を防げます。
いかがでしょうか。
ただでさえカメラに依存しきれるAF性能を有している上に、カスタマイズをすることにより更に自身の用途にピンポイントで合わせていく事が出来るα9Ⅲ。
ベース感度の向上により従来モデルよりダイナミックレンジがわずかに弱くなった点は否めない撮影シーンはありました。
また、ISO感度が上がりザラついてしまうシーンも従来機に比較すると多い印象です。しかし、このような書き方をしては元も子もないかもしれませんが、昨今はAI技術が進歩しているおかげでノイズの処理は後からどうにでもなることは多いです。
今回の撮影を通して、ノイズ耐性以上に高いAF精度・プリ撮影+120fpsの連写性能により、ピンボケや撮り逃しといったAI処理ではどうしようも無い部分を撮り切る方が今後のカメラ本体に求められる機能としては重要なのではないかと、そしてそういった用途においてはα9Ⅲは最適解であると筆者は感じました。