ファーストライカのM2を手に入れてからおよそ5年、デジタルを手に入れてから4年。当初は「フィルムで沢山撮り続けるぞ」と意気込んでおりましたが、最近は専らデジタルばかり。枚数を気にせずシャッターを押せるので、より被写体に対して無心になれるのです。
特にM10-Pが手元に来てからというものフィルムの使用頻度は0ではないにしろ下がってしまったのは事実。
しかしそれも、この春で変化の兆し。
先日、関東では遅めの梅を見に裏高尾へ。
メインで使うカメラはM10-P、それとレンズホルダー代わりにとM2も参戦させました。
これがまたフィルムの楽しさを呼び起こすことになるとはつゆ知らず。
主に使用したレンズはエルマー35mmとズミクロン50mm固定鏡胴、私のお気に入りセット。
エルマーの周辺減光やフレアの出方はいかにもオールドレンズらしく、春の何とは言いたくない空気のかすみを表現してくれます。
なぜ言いたくないか、それは想像しただけで目の痒みとくしゃみが出そうになるから。
ズミクロン固定鏡胴は1st世代らしからぬ端正な描写と、それを際立たせるかのようにゆがむボケが両立できる数少ないレンズです。
デジタルに使っても、当然フィルムでも最高のレギュラー2本。
今回はこれに加えて妻に借りたミノルタロッコール90mmも仲間入り。
粒のように咲く梅にできるだけ寄って、大きく写したいがための策ですが吉と出るか凶と出るか。
上から90mm、50mm、35mm。
ロッコール90mmは落ち着いた風合い。余計な味付けをせずただ実直に90mmF4を貫徹。
ズミクロン50mmは流石とも言うべき期待通りの画作り。色乗り、描写に文句なし。
エルマ―35mmはこれでしか出せない色と効果を必ず持ってきてくれます。現像までのラグタイムがその魅力を一層引き立てることに。
35mmの写りはもういくらでも予想がつくようになってしまったので思った通りに良い写りなのですが。
50mmと90mmはある程度絞って撮ったにもかかわらず、さすがにボケ感を色濃く感じて被写体の立体感が際立ちます。
二ヶ月ぶりくらいの現像だったので、受け取ってから写真を確認するまでの時間で感じる高揚感もまた久しぶり。
アプリと繋いですぐスマートフォンで見ることができる、シェアできるというのも便利な世の中ですがこのワクワク感を味わうことはできません。
ここからはM10-P。
M10-Pの写真も上々。しかしそれ以上に今回はフィルムが期待を越えてきました。
これまでも幾度となく「フィルムっていいな」と感激した過去はありますが、今年もまたその衝撃に押されて更なる深みへ沈んでいく予感。
フィルム沼、レンズ沼から脱出できた経験はありません、段階的により深く、深くへ。
関東は3月下旬とは思えぬ寒さにまた襲われています。
来年の今頃は桜を待ちながら何を思うのでしょうか。
この記録を読みながら去年はまだ寒かったらしいと思い返しながらやはり同じカメラと共に写せるのならそれ以上の幸せはないでしょう。
ライカは生涯に渡って楽しむことができるカメラ。特に私のエルマー、ズミクロン、M2は合わせて約200歳。その存在が物語っています。
デジタルカメラは電子機器である以上同じようにとはいきませんが、早く手に入れれば入れるほど長く使う事ができるのは事実。
是非、その憧れと共に季節を歩んでください。