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【Light lens lab】そう来たか! の周リジッドSP2

【Light lens lab】そう来たか! の周リジッドSP2

中国のレンズメーカー「ライトレンズラボ」は、2021年ライカの「ズミクロン M35mm F2 1st」通称「8枚玉」をガラス硝材に至るまで徹底的に研究し再現。「周八枚」として世に出し、一躍注目を浴びるメーカーとなりました。
2022年には同じくライカの軍用モデルカメラ『KE-7A』へ供給された希少な50mm F2レンズ「エルカン」を復刻。「周エルカン」と呼ばれ、こちらも話題となりました。
最近でも、世界で初めて非球面レンズを採用した「ノクティルックス M50mm F1.2」を再現した「周ノクチ」を発売するなど、その動向から目が離せないメーカーです。

今回ご紹介するのは、「周ノクチ」と同時期に発売された「M 50mm F2 Rigid-SPII (周リジッドSP2)」。
その外観を見れば一目でわかると思います。そう、「ズミクロン M50mm F2 固定鏡筒 後期」のフォルムが忠実に再現されています。


無限遠ストッパーもご覧の通り。

当たり前ですが、レンズ正面の銘板は異なります。でも、フィルターやフードを付けてしまうと目立たないかと。
また、鏡筒には「中國製」の刻印が施されているのですが、ボディに装着すると下部にくるので、これもぱっと見では分かりません。

オリジナルの「ズミクロン M50mm F2 固定鏡筒 後期」は何度も手にしていますが、ボディに装着されたものを少し離れてみた時に、すぐに判別がつくか、正直自信がありません。
さらに言えば、ヘリコイドの回転や絞りリングのクリック感も、オリジナルとの違いは感じられませんでした。
恐るべし、Light lens lab…

と、ここで一つ大きな違いを見つけました。
なんと、最短撮影距離70cm!

いつもオリジナルの最短撮影距離1mに何かと苦労していた身としては、これはうれしい違い。すごいぞ、Light lens Lab!

さらに微に入り見ていけば、シルバークロームの色味がオリジナルより白っぽく感じられます。これは最近のライカのシルバーと同じ色味。
M3やM4等オールドライカのボディやレンズをお持ちの方ならお分かりになるかと思いますが、昔のシルバーの方が少しくすんだ色味なのに対し、デジタルライカを始めとする最近のシルバーはより白っぽく明るいものになっています。
新旧を並べた時に感じられるような僅かな違いですが、それでもオールドレンズを現行シルバーボディに装着した時、若干の違和感を感じる方は少なくないようです。

今回の「M 50mm F2 Rigid-SPII (周リジッドSP2)」は現行ボディにマッチする色味。
まさに現代ライカのためのレンズ。あえて意図して製作されたのだとしたら、やるな、Light lens lab!

と、ここまではレンズ外観のお話。
レンズ自体を見ていくと…

レンズ構成・光学性能等は、オリジナルの「ズミクロン M50mm F2 固定鏡筒 後期」の復元ではありません。
1940年代にハリウッドなどの映画スタジオで活躍した、クック製「Speed Panchro Series II 50mm F2」というシネマレンズの描写性能を再現したものです。
実はこのシネマレンズの復刻は、昨年「M 50mm F2 SPII」として既に登場しています。そちらはクラシカルなシングルコーティングでしたが、今回のものにはマルチコーティングが施されています。

せっかくなら、オリジナル「ズミクロン M50mm F2 固定鏡筒 後期」の光学性能を復元してくれればいいのに… どうした、Light lens lab?

…と、言いたいところですが、よく考えてみましょう。
これまで復元された「8枚玉」や「エルカン」「非球面ノクチ」のオリジナルは、とても希少性の高いレンズ。特に後者2つは現在数百万という値がついています。
それに比べ、「ズミクロン M50mm F2 固定鏡筒 後期」は最近数が少なくなったとはいえ、そこまで希少なものではありません。
その光学性能を再現するために多額の費用をかけても、果たして採算が取れるか。
また「ズミクロン M50mm F2」の写りは、当時こそ驚異的な解像力を誇りましたが、現在のレンズ性能には比べるべくもなく、前述3レンズほど特色を出しにくいところがあります。
ならば、その特徴的な外観により個性的な描写のレンズを組み込むことで、新しいレンズを作り出してみようという試みもまた一興。
なによりあの固定鏡筒の精緻で美しいフォルムを現行レンズとして気軽に楽しめることに感謝したいところです。ありがとう、Light lens lab!

・・・

では、この「M 50mm F2 Rigid-SPII (周リジッドSP2)」をM11-Pに装着して、いざ撮影に。
今回、梅雨らしく天候に恵まれなかったこともあり、撮影地はさまざまです。

Leica M11-P + Light lens lab M 50mm F2 Rigid-SPII(以下、同じ。)

絞り開放で撮影。オールドレンズの復刻らしく、盛大に玉ボケが出ました。また瓦の境界線上にフリンジも。

それらの出にくい条件下では、ソフトな感じの描写に。葉の1枚1枚がフワっと浮き上がっています。

少し絞ると、ピント合焦面はエッジの効いた描写になりました。

少し広めの風景を絞り開放で撮ったところ、オールドレンズテイストのなんとも幻想的なムードに。白く靄のかかったような描写になりました。
今回フードを持っていかなかったのですが、より鮮鋭に撮りたいのであれば、フードは必携のようです。

こちらも開放、箒部の細かな重なりに滲みが見られます。


曇り空の下でしたが、草花の発色は忠実に再現されているように感じました。

最短撮影距離70cm付近で。オリジナルでは撮れない画です。

その70cmというのがどれくらいかというと、こんな感じ。
別の日、妻と入った茶店で。ちょっと後ろにのけぞりながらの撮影でした。
出来ればもう少し短い方が…
ヘリコイド付きのアダプターを介して、ミラーレス機で撮影するのも楽しいかも。

ガチガチに解像力が高いレンズと異なり、ピント合焦面はシャープながら全体に滲みが感じられ、独特の雰囲気が漂う描写に。
オリジナルの「Speed Panchro」がシネマレンズとして一世を風靡したのも頷けます。



というわけで、少し都会的な画も。

色再現は忠実に。それでいて硬すぎず、気持ちソフトに。
情緒ある景色を画にしたい時、選んで損のないレンズだと感じさせてくれました。
なにより無限遠ロックに指を掛けながらのピント合わせに、並々ならぬ懐かしさを感じながら撮影を楽しめました。



[ Category:etc. | 掲載日時:24年06月29日 17時45分 ]

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