Panasonicのレンズには、Leica DGレンズというシリーズがあります。
これは「ライカカメラ社の品質基準に基づき、ライカカメラ社が認定した測定機器と品質保証システムによって生産されているレンズ」であり、対応するマウントを所持しているユーザーなら一度は憧れる高性能レンズシリーズの事を指します。
挑戦と革新の歴史の中で、様々な伝説を生み出したドイツの名門メーカー、Leica。
そのスピリットを内に宿すレンズが、本日ご紹介するLEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 ASPH. POWER O.I.S. H-NS043です。
「ノクティルックス」と「ズミクロン」・・・。
カメラ好き垂涎の二つの名前を掛け合わせたネーミングから、Panasonicの自信がうかがえます。
筆者はこのレンズを手にする際、「ノクティルックスの明るさや潤いのあるボケ味と、ズミクロンのシャープさを併せ持つすごいレンズなんだろう」と大興奮したのですが、実際その通りでした。
大柄なレンズなのでバッテリーグリップ(DMW-BGG9)付きのDC-G9 PROに装着し試してきました。ぜひご覧ください。
超大口径単焦点という事で、まずはボケ味を見てみます。
後ボケを狙ってみましたが、絹の様に清らか!
2線ボケしやすい「ピント面から少しだけ外れた枝」も綺麗ですし、そのままスウっと背面まで広がっていく様は文句のつけようがありません。
むしろ本家ノクティルックス M50mm F0.95 ASPH. は画面4隅のボケ味が若干硬いので、スムーズさで言えばこちらの方が上の様にも感じます。
次は前ボケに参ります。
こちらも大満足の結果となりました。
突然飛来したハトを良い位置に収めたかったのですが、叶わずに構図が崩れてしまい無念。
写真は一瞬が勝負、何が起こるかわかりません。備えよう。
撮影時は9月後半でしたが、連日真夏めいて熱い(暑い、なんてものじゃありません!)。
そんな中で見つけたなけなしの秋は真っ赤に色付き、「私を撮って!」と語りかけてきます。
疲れて手すりに寄りかかっている一輪に、妙に親近感を覚えて写したこの一枚。
狙ったところにピンポイントでピントを合わせ、不要なものを大胆にボケで削ぎ落せる本レンズにひたすら感謝です。
花弁のシャープさ、そしてシャープなだけではない芳醇なしなやかさはまさにLeicaレンズそのもの・・・。
ロボットアニメの敵に居そうなフォルムをしたオブジェを発見。
ほぼ絞り開放(F1.6)ですが、隅に配置した被写体がしっかりと立体感を持って写る喜び。
人工物だけではなく、こんな高周波な植木の葉までいなす懐の深さに脱帽するのみです。
最後の1枚は冗談ではなく撮影時に「ムハッ」と声が洩れました。何たる金属のヌメつきをすさまじく再現した描写だろうか!
被写体の車(マツダCX-30のマシーングレーメタリック)は、肉眼で見ても驚くほど表情に富んだ灰色なのですが、それにしたってここまで有機的に写るだなんて!
これはノクティルックス M50mm F0.95 ASPH.を絞り開放付近で使った時の描写に似ています。
軸上色収差こそ出てはいるものの、f1.2で撮影してこの程度で耐えてくれれば御の字です。
・・・
2024年10月時点の新品価格を比べてみると、ノクティルックス M50mm F0.95 ASPH.はLEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 ASPH. POWER O.I.S. H-NS043の約16倍以上の価格となっています。
もちろんF値や対応するセンサーサイズは違いますし、写りの感じも全てが同じわけではありません。
しかしノクティルックス M50mm F0.95 ASPH.に通じる描写を、Leica公認の本レンズで、しかもAFで手軽に楽しむ贅沢ができるなんて、マイクロフォーサーズだけです。
他のLeica DGレンズも試したくなる、大満足の1日でした。