【Leica】最新世代のズミルックスM50mmの魅力に迫る
レンズの好みは十人十色。その中でも50mmについては取り分け種類も多く、
初めて使う単焦点としての比較的安価な50mmもあれば、技術の粋を詰め込み覇道を突き進むような50mmもあります。
それ故に選択肢が多く決めの1本に中々たどり着けない事から「50mmは沼である」と揶揄される事もしばしば。
今回はその50mmの中でも2023年に発売され、実に19年ぶりの進化を遂げた最新世代「ズミルックス M50mm F1.4 ASPH. 11728/11729」で撮影に臨みます。
レンズ構成こそ先代と同様ではあるものの、0.7mだった最短撮影距離は距離計連動外ではありますが、0.45mと短縮され近接撮影が可能となりました。
故に撮影距離0.45-0.7mにおいてはライブビューが必要になるという事で、ボディについてはM11を用いています。
それではどうぞ、ご覧ください。
ズミルックス M50mm F1.4といえばどちらかといえば細やかに線を描き、繊細な描写を得意とするレンズの印象があります。
また、繊細な描写と書きはしたものの、非球面レンズが入っているASPH.か否か、具体的に言えば第3世代以前か、第4世代以降かで絞り開放付近の描写が大きく異なります。
今回の「ズミルックス M50mm F1.4 ASPH. 11728/11729」については第5世代となり非球面レンズが入った世代になりますから、
絞りを開けた状態での撮影においてもピント面はシャープに結像し曖昧さがありません。この辺りは好みが分かれるところになるとは思いますが、
個人的には背景と被写体が分かりやすく分離してくれる方が好みなため、もしズミルックス M50mmF1.4を選ぶなら第4世代か第5世代がいいように感じます。
またピント面を抜けたアウトフォーカス部については急速にボケていくのではなく、ある程度量感を持ったボケ味となっていますが、
急速にボカして溶けるようなボケにするか、なだらかにボカして量感を持たせるのかはレンズ毎の設計コンセプトに基づく部分ではあると思います。
ピント面に対しての前後の関係性を見せられるという点で、ある程度量感を持ったボケ味は大好物です。
光線状態や、撮影距離によっても多少変わってくるとは思いますが色にじみを感じる事が殆どなく、F1.4という開放F値を持ち合わせながらも少ないレンズ構成で
よくここまで色滲みを抑え込んでいるなあと感心するばかり。特に金属やガラスなどを取った時の生々しさが際立つ印象です。
特に光を探すのが楽しいレンズ。フローティング機構が入っているおかげか、
比較的近距離での撮影を行ってもボケの量感は変わりません。非常に扱いやすいボケ味です。
また、0.7mより手前の近接撮影においては同じ構図で何枚か撮影してみたのですが、
ある程度の解像を求める場合は絞りを開けた状態から1~2段絞ってあげた方が良さそうです。こちらの写真では2段ほど絞っていたかと思われます。
一般的な一眼レフ用や、ミラーレス用の50mmレンズで言うと最短0.45mというと極々普通というか、標準的な最短撮影距離にはなりますが、
ライカにおいて純正レンズでメガネやマクロアダプター等を用いずにレンズ単体で寄れてしまうのは隔世の思いです。
ピント面の立ち上がりの良さ、ボケのスムーズさも相まって良く写るという点においては至極現代的なレンズで、
甘さや遊びがあまりなく淡々と写している様に感じますが、上がってくる写真を見てみると湿度を感じるような不思議なウェット感があります。
このウェットな雰囲気や線の細かさがある意味ズミルックスらしさでもあるのかなと思われます。
個人的な好みではありますが、このくらい現代的で尚且つ”そのメーカーの匂いがする”というか、
お吸い物の様に味が濃いわけではないけれども、出汁の味が感じられてそれを旨味と捉えられるくらいのレンズがとても好みです。
もっとオールドでクラシカルなたっぷり味わいのあるレンズももちろん楽しめはするのですが、
その味に疲れてしまうことがあるので、このくらいが丁度良いのだなと感じます。
今回はこの辺りで。