すっかり気温は冷え込み、冬がやってきました。
冬の撮影の楽しみといえば、街を彩るイルミネーションです。
ただ、イルミネーションを撮影したときに「見た目の通りに写らない…」と感じることはないでしょうか。
今回使用したのはKenkoの「ブラックミストNo.1」「ブラックミストNo.05」「ホワイトミストNo.1」の3種類。
どちらもソフトフィルターの1種で、幻想的な写りをフィルター1枚で実現するアクセサリーになっています。
カメラは「Nikon Z6II」に「NIKKOR Z 24-70mm F2.8S」と「NIKKOR Z 40mm F2」を装着しました。
早速ですが、フィルターの効果の違いを見るために同じ被写体で比較をしてみました。
左から順に
①フィルターを装着していない状態
②ホワイトミストNo.1を装着
③ブラックミストNo.05を装着
④ブラックミストNo.1を装着
となっています。
まずホワイトミストとブラックミストの違いについてですが、点光源の部分を見ていただけると違いが分かりやすいかと思います。
ホワイトミストは点光源がほとんどにじまないのに対して、ブラックミストは光源を中心ににじみが見られます。
イルミネーション撮影の場合、ブラックミストを装着すると光源1つ1つが滲むことで光が大きく、また柔らかな印象になります。
またNo.05はNo.1の半分の効果量となっており、No.1では効果が大きすぎるようなシチュエーションで有効です。
一方でブラックミストもホワイトミストも、画面全体のコントラストは低くなります。
イルミネーションをカメラで撮影するとどうしても暗い部分の黒が強調されて見えてしまいますが、コントラストを下げて少し露出を上げて撮影することでより明るい印象の写真を撮影できます。
こちらも各フィルターを比較したものです。
このカットで使用したレンズはZ 24-70mm F2.8S。ナノクリスタルコートだけでなくアルネオコートも施されており、レンズそのものの逆光耐性はトップクラスです。1枚目はフィルターを装着せずに撮影したカットで、画面上に強い光源がありますが全く分かりません。
一方で2枚目はホワイトミストNo.1を装着したカット。柱の上方からフレアが注いでおり、光源の存在が分かります。またコントラストも下がり、柔らかな描写になりました。
そして3枚目はブラックミストNo.1を装着したカットで、ホワイトミストフィルターで見られた柔らかさにさらに光源のにじみが足されています。右上の街灯を見ていただくと分かりやすいですが、ホワイトミストでは確認できた輪郭がブラックミストでは分からなくなりました。
一方でいずれのフィルターも、レンズの解像度はそのまま保たれています。特にホワイトミストフィルターではよく「オールドレンズのような描写」という表現がされますが、雰囲気はオールドレンズっぽくなるものの解像度は最新設計のレンズそのものなので、これまでと違った表現が楽しめます。
ここからは、それぞれのフィルターを使い分けながら実際に撮影をしていきます。
使用したレンズはすべて「NIKKOR Z 40mm F2」です。
こちらは「ホワイトミストNo.1」。
イルミネーションを撮影すると、光源を中心にフレアが薄く出ます。
より強い光源に向けると、効果が分かりやすくなります。写真にあたたかな印象を与えてくれます。
もちろんイルミネーション撮影以外でも活躍してくれます。街灯の明かりで強い逆光のシチュエーションですが、光を全体に拡散してくれるので街灯の画面内での主張が弱くなり、またコントラストを下げてくれるので、陰になってしまっている部分も目立たなくなりました。
画面端や画面外に強い光があるシチュエーションで効果が見やすいかと思います。
続いては「ブラックミストNo.1」です。
イルミネーション撮影では光源の周りに独特のにじみができ、光の一粒がより大きく印象的に写ります。
街路樹に施されたイルミネーションを撮影すると、木全体が淡く光っているように撮影できます。
今回使用した3種類のフィルターの中だと最も効果が強く出やすいフィルターなので、意識的に効果を出すことを考えずとも自由な構図で撮影ができます。
ちなみに上のカットをフィルターなしで撮影するとこのようになります。イルミネーション撮影時の写真の物足りなさは、写真で撮影したときにコントラストが肉眼よりも高くなり、また光の粒が小さく写ってしまうため。ブラックミストNo.1を使用すると、この課題が一気に両方解決できます。
最後は「ブラックミストNo.05」です。
ブラックミストNo.1と比べて半分の効果量となっており、ブラックミストNo.1では効果が強すぎる際に活躍してくれます。
こちらのカットも、強い光源の部分にわずかににじみが出る程度で、つけっぱなしにして常用も可能なフィルターだと感じました。
いずれのフィルターもそれぞれ特長があり、被写体に応じて使い分けることで表現の幅がぐっと広がります。
これまで撮影したことのあるイルミネーションスポットも、フィルター1枚で大きく印象が変わるので、この冬はホワイトミスト/ブラックミストと撮影を楽しんでみてはいかがでしょうか。