【FUJIFILM】新世代の標準ズーム、XF16-50mm F2.8-4.8 R LM WRを試す
こんにちは。
年が明けてから早くも1ヶ月が過ぎました。
年末年始には慌ただしい空気が漂っていましたが、皆様は充実したカメラライフを送れましたでしょうか。
季節は冬の真っ只中を進み続け、私たちが普段何気なく見ている景色も刻々と、そして豊かに表情を変えています。
そう、これはカメラの世界でも同じです。
カメラやレンズもその時代に求められているスペックに対応すべく、世代交代を繰り返しています。
そこで今回はFUJIFILMから2024年の6月に発売された XF16-50mm F2.8-4.8 R LM WRを持って山陰地方を旅してきました。
それでは最後までお付き合い下さい。
今回使用した機材
FUJIFILM (フジフイルム) X-T5
FUJIFILM (フジフイルム) フジノン XF16-50mm F2.8-4.8 R LM WR
新年早々の旅にどこが相応しいかということが頭を巡り、日本創世の舞台となった出雲地方に出かけてみました。
多くの神話が生まれたこの土地の空気感をどう表現するべきかということを行きの飛行機の中で色々と模索していました。
日本人の心の奥底にある郷愁をネガフィルムの色合いで表現できないかと思い、フィルムシミュレーションの「クラシックネガ」を基に、そこから独自の色合いに調整をかけたものを作り込んでいきました。
フィルムシミュレーションの特徴はなんといってもフィルム時代から培われた色の表現技術をデジタルの世界に登場させたことです。
そこからさらに自分の世界観に表現を落とし込んでいけるところもまた一興で、写真の愉しさを再認識させてくれる機能です。
また多くの場合RAW現像でこのようなフィルム調の色合いに詰めていきますが、FUJIFILMではこの作業を全てカメラ内で調整できます。
そのため、時間を費やしていた現像作業から解放されると同時に、JPEGやHEIF形式のファイルで保存されるため、すぐに旅の思い出をSNSなどに共有することも可能です。
さて、今回使用したXF16-50mm F2.8-4.8 R LM WRは最新の裏面照射型約4020万画素「X-Trans(TM) CMOS 5 HR」センサーに対応した高い解像性能を持っており、レンズ構成は非球面レンズ3枚、EDレンズ3枚を含む9群11枚となっています。
先代のXF18-55mm F2.8-4 R LM OISが非球面レンズ3枚、EDレンズ1枚の10群14枚だったことを考えると贅沢な仕様となっていることが分かります。
35mm換算で約24mm〜76mmの焦点距離があり、日常のスナップ撮影から旅の風景、ポートレートまで汎用性の高いほぼ全ての撮影シーンをカバーできます。
またレンズ重量も約240gと軽量です。
今回使用したX-T5に装着しても800gを切る軽さで、大変取り回しのいいレンズに仕上がっています。
そのため今回のような旅先でのレンズとしては過不足もなく、「ちょうどいいレンズ」という言葉がお似合いです。
出雲大社と白うさぎは縁が深く、「因幡の白兎」としても古事記に登場しています。
とても可愛らしいうさぎに癒されながらも、神話の荘厳な世界観を堪能することができました。
ズームレンズではありますが、単焦点レンズに引けを取らない優しいボケ味で、手前のうさぎのキリッとした立体感と奥のうさぎの柔らかな表情とのコントラストが上手く表現されていると感じました。
この日は天気の移り変わりが激しい一日でしたが、出雲大社の参拝中は雲の間から日が差し込み、荘厳な雰囲気の中で参拝することができました。
しかし、参拝を終えてから10分もしない間に景色が一変しました。
日本海からの風が強く吹き付け一帯は雪模様となりました。
その日の夜に行った飲食店の店主に話を聞くと、山陰地方の冬はこうした天候になることが多いとのことでした。
今回持参したXF16-50mmは防塵・防滴・-10℃の耐低温構造で、こうした旅先での天気の急変にも耐えられる造りになってるいため、とても心強く安心感がありました。
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突然の雪を凌ぐため、雨宿りならぬ雪宿りをするため、近くに保存されている鉄道車両の中に身を隠しました。
説明看板を見ると一畑電車で運転されていた「デハニ50形52号車」という日本最古級の車両とのこと。
車内は木材を使用して作られており、現在の車両にはない重厚感に満ちた空間でした。
35mm判換算でハーフマクロ相当の近接撮影(最大撮影倍率:テレ端側で0.3倍)も可能なため、料理や工芸品、植物の撮影など、日常のあらゆるシーンで威力を発揮します。
旅先に持っていくレンズを増やしたくないと考えている方には、標準ズームレンズとマクロレンズをこの1本に集約できるという点においては大変便利なレンズです。
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出雲から車で1時間半ほど離れた大田市の石見銀山地区にやってきました。
「石見銀山遺跡とその文化的景観」として世界遺産に認定されたこの地区は江戸時代の景観を今に残している貴重な地域です。
こうした景色を堪能するのには歩きながらの撮影が欠かせません。
重い機材を持ちながらの撮影では良い景観もなかなか楽しめませんが、小型軽量のこのレンズであればそうした心配もいりません。
またインナーフォーカス・リニアフォーカス機構により、高速で高精度のAFを実現しており、スナップ撮影などで一瞬を捕えるような撮影にも順応してくれます。
江戸時代から続く町並みにも人々の生活が今もなお息づいています。
こうしたレトロな景観を見ると写真プリントで残したくなるのは筆者だけでしょうか。
今回使用したX-T5をはじめとするFUJIFILMの最新機種にはinstaxプリントという機能があり、カメラをinstax Linkに接続することで、デジタルカメラで撮影した写真をチェキプリントとして残すことができ、旅先での思い出をその場で簡単に仲間と共有することが可能です。
まさにデジタルにもフィルムにも強いFUJIFILMならではの特徴が集約された機能になっています。
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最後は稲佐の浜からの夕景です。
大国主命による「国譲り神話」の舞台となった稲佐の浜から見る日の入りの風景はとても美しいと言われています。
あいにくの曇り空で夕陽を拝むことは叶いませんでしたが、古の先人も同じように見たであろう日本海の荒々しい景色と夕景をレンズ越しに見ることができ、これはこれで良い思い出となりました。
さて、XF16-50mmを持ち出して山陰地方への旅路を楽しんできましたが、一番に筆者が感じたことは迷ったらこのレンズだということです。
旅にどのレンズを持っていけばいいかという正解はありませんが、必要最低限にして必要十分な描写性と機能性、携帯性を備えているレンズでした。
もちろん旅路だけでなく、日常シーンにおいても様々な場面で活躍してくれる常用レンズとして使用できます。
特に4000万画素級の最新のセンサーに耐えうる描写性能にハーフマクロ性能、240gという軽量ながら防塵防滴にインナーズームを備えた筐体などには目を見張るものがありました。
まさに先代のレンズに代わる真の標準ズームレンズとして、正当に進化してきたと言っていいほどの実力を垣間見ることができました。
先代のXF18-55mm F2.8-4 R LM OISも標準ズームレンズで開放2.8からと大変評判の良いレンズでしたが、時代の変化とともにカメラのスペックは変化し続けていますので、ご自身のカメラや使用形態に見合ったレンズを揃えるのもカメラの性能を引き出すための一つの要因かと思います。
もしも解像度に不満を抱いている方がいらっしゃるようでしたら、ぜひ一度このXF16-50mm F2.8-4.8 R LM WRを検討してみてはいかがでしょうか。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
この記事が皆様の好奇心を刺激し、
それではまたお会いしましょう。