
映画のような写真を撮ってみたい。そう考えたことのある方は多いかもしれません。そんな願いを『SIGMA fp L』が叶えてくれます。超高画素と個性的なカラーモード、そしてスタイリッシュなルックスが人気の一台です。
本記事では『SIGMA Contemporary 18-50mm F2.8 DC DN』との組み合わせで、実際に映画のロケ地となった場所を撮影しました。映画のアスペクト比を意識し 21:9 の横長画角で撮影することで、より映画的な構図と没入感を追求しました。このアスペクト比を選べることも『fp L』の特長です。
色表現にもこだわり、今回は『fp L』に搭載されているパウダーブルー、フォレストグリーン、ティールアンドオレンジを使用しました。3つの色世界で紡いだ「写真が映画になる」体験を作例とともにお届けします。
▍1. 『fp L』とは?|解像力と携行性を両立する映像志向のフルサイズ
『fp L』は超高解像を誇りながら、片手で扱えるほどコンパクトなフルサイズミラーレスカメラです。見た目はまるでコンパクトデジタルカメラのように小さくフラット。しかし、その内部には裏面照射型の6100万画素CMOSセンサーが搭載されており、ディテールの再現力は折り紙付きです。ローパスフィルターレス構造により、髪の毛や木の葉1枚まで緻密に描写できます。
コンパクトさと高画素を両立したこのカメラは、荷物を極力減らしたい旅行や、今回のようなロケ地巡りなどのお出かけで真価を発揮します。JPEGの撮って出し画質も良好ですが、RAWによる現像耐性も高く、ハイライトとシャドウの粘りが素晴らしいです。カラーグレーディングとの相性も良く、静止画を“演出”する楽しさに気づかされます。
▍2. 独自のカラーモードで撮る|映画色の三重奏
『fp L』には、一般的なピクチャースタイルとは一線を画すカラーモードが搭載されています。スタンダード、ビビッド、ニュートラル、ポートレート、風景、シネマ、ウォームゴールド、ティールアンドオレンジ、サンセットレッド、フォレストグリーン、パウダーブルー、FOVクラシックブルー、FOVクラシックイエロー、デュオトーン、モノクローム、切、の16種類があります。その中でも今回使用したのが、以下の3モードです。
- パウダーブルー:薄い青のトーンが全体を優しく包み込み、ノスタルジックな雰囲気を演出します。人物や街並みのスナップにぴったりです。
- フォレストグリーン:深い緑が主役。自然の質感や光の反射を落ち着いたトーンで描きます。森林や公園で活躍します。
- ティールオレンジ:人物と背景の分離を強調する映画的配色。夕景や逆光に特に効果的で、画面に強い印象を与えます。
それぞれの色が反映された写真は色彩の完成度が高いため、ポストプロセスの手間を減らせるという利点があります。またRAWで撮っておけば後からカラーモードを自由に変えることができるので、落ち着いてからじっくり決めたい方にも対応可能です。シグマのソフトウェア「SIGMA Photo Pro」はもちろんのこと、「Adobe Lightroom」でも後から選ぶことができます。
『fp L』のカラーモードが与える色彩の物語性は『fp L』の人気の理由のひとつとなっています。
▍3. 映画の舞台を切り取る|静と動のスナップ描写
今回訪れたのは、映画のロケ地としても知られる場所です。古い下町の商店街や伝統あるお寺など、どこを切り取っても“画”になる光景です。そこに 21:9 の横長フォーマットを組み合わせると、まるで映画のワンシーンのような写真が生まれました。
この画角では、中央の被写体と余白のバランスが重要になります。あえて“空白”を残すことで、写真に時間と余韻を持たせることができます。『fp L』のライブビューは明るく繊細なため、細かな構図調整も直感的に行えます。
d
▍4. 『SIGMA Contemporary 18-50mm F2.8』との相性|軽さと描写力の理想バランス
この撮影で使用した『Contemporary 18-50mm F2.8 DC DN』は、開放F2.8通しの標準ズームとしては驚異的な小型・軽量設計です。わずか290gと片手で扱える重さながら、シャープな描写と自然なボケを両立しています。焦点距離18mmから50mmまでをカバーし、建築、人物、風景、スナップと幅広く対応できます。
コンパクトな『fp L』とは相性がよく、長く持っていても肩や首への負担が少ないです。手にしていることを忘れるような軽快さは、思考を純粋に被写体へと向けさせてくれます。
ボケ味もF2.8ならではの柔らかさで、背景を丁寧にぼかしながら被写体を際立たせられます。ピント面のシャープさと周辺のやわらかさが同居する描写は、まさに「日常を映画にする」ためのレンズです。
▍5. 『fp L』は誰に向いている?|表現者の相棒として
『fp L』はどちらかというと、万人向けではないかもしれません。ボディ内手ブレ補正がなくやグリップもないので、そういった意味では中級者向けとも言えます。しかし、その代わりに得られるのは、静止画に映画的な空気を与える唯一無二の表現力です。所有欲を満たすその美しさもまた魅力です。
機材を軽くしたい方、旅先でもしっかり作品を撮りたい方、JPEGでも印象的な色を使いたい方、せっかくならおしゃれなカメラを持ちたい方、そして何より「写真に感情を乗せたい方」には、これ以上のカメラはありません。
自分の世界を表現するツールとして、『fp L』は信頼できる相棒になるでしょう。間違いなくイチオシのカメラです。