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【Voigtlander/Carl Zeiss】Sonnar in Summer!! ~日本の夏、クセ玉の夏~

【Voigtlander/Carl Zeiss】Sonnar in Summer!! ~日本の夏、クセ玉の夏~

「ゾナーインサマー」ということで、今回はクセ玉と名高いゾナータイプのレンズを使用した撮り比べをご紹介いたします。タイトルは語呂の良さが理由の半分、もう半分は夏という季節とゾナーの写りが、個人的に相性が良いのではないかと思ったからです。

使用したレンズは「Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 X-mount」と「Carl Zeiss C Sonnar T* 50mm F1.5 ZM」の新旧2本のゾナーレンズ。年代もマウントも違うこれらを「FUJIFILM X-Pro3」に着けて、夏らしい被写体を求めて撮影に向かいます。


ゾナーレンズの印象として、総じて「クセ玉」という評価が多いように感じますが、皆さんはどのような印象を持たれていますか。独特なボケ味やフォーカスシフトなど、使いづらいという評価を耳にして敬遠しがちな方も多いと思います。

なぜそんなクセのあるレンズをあえて使うのか、最初は筆者もそのように考えている一人でした。私がちょうどVoigtlanderのXマウント用レンズにハマりだした頃、中望遠単焦点が発売されるということでお迎えしたのが今回の使用レンズである「Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 X-mount」でした。
使用していた当時は独特な描写をするレンズだな、程度に考えており、しばらくしてボディを新調する際に下取りに出してしまったのです。

やがて何本かレンズを試す日々が続いた頃、ふと以前撮った写真を見返した折りに、このレンズで撮った写真の良さを再認識することになります。滲んで広がるような独特なボケ、他のレンズには感じられなかった妙な立体感、写真というよりは絵画に近いような被写体の輪郭の描き具合など、このレンズをもう一度使いたいと思わせるには十分でした。

本題に入る前に、まずはゾナーについての説明から始めましょう。

「Sonnar」とは、Carl  Zeiss社に在籍していたレンズ設計士‘‘ルートリッヒ・ベルテレ’’が、自身が開発したレンズである「Ernostar(エルノスター)」を元に開発したレンズ及びレンズ構成のことです。1932年にZeiss Ikon用に「Sonnar 5cm F1.5」が作成され、大口径レンズとして当時は人気を博したレンズ構成でした。今では大口径レンズはダブルガウス型などの他のレンズ構成が主流ですが、コーティング技術や硝材の乏しかった時代では、レンズ枚数の割に小型化が可能なゾナーは重宝されたそうです。

しかし技術の発達と共にレンジファインダーから一眼レフへの過渡期が到来、大口径レンズは他のレンズ構成に取って代わられる事となり、現在に至ります。ただその独特なボケ味や高コントラストな写りなど、レンズとしての魅力はマウントアダプターの普及によって現代で再評価を受けることになります。

ちなみに今回使用した「Carl Zeiss C Sonnar T* 50mm F1.5 ZM」は、上で紹介した「Sonnar 5cm F1.5」を現代に復刻したレンズであり、その写りはゾナーの源流と言っても過言ではありません。

 

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ではここからは肝心の撮り比べをご紹介していきます。まずは“最短撮影距離”を見比べるべく、物珍しい花を撮影しました。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 X-mount (最短撮影距離 0.39m)

 

Carl Zeiss C Sonnar T* 50mm F1.5 ZM(最短撮影距離 0.9m)

 
こちらは”時計草(トケイソウ)”と言って、その名の通り花が時計に似ていることが由来です。中央から伸びている上段の3本がめしべ、下段に位置する5本がおしべであり、時計の秒針や時針のようにも見えます。かなり立体的な造形のためF11程度まで絞って撮影しました。

特筆したいのが「Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 X-mount」で撮影された上の写真です。中望遠レンズの最短撮影距離は0.8m~1mと長めのものが多い中で、0.39mという驚異的な近接性能を有しています。これがかなり使いやすく、わざわざほかのレンズに付け替えなくて済む一因になっています。また、どちらのレンズも絞り込むことで癖のある描写は立ち消えて、高コントラストでみずみずしい写りを捻出してくれます。

 

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続いては“ボケ味”の比較です。開放絞りでの撮影で、2本にどんな違いが表れるか比較しましょう。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 X-mount (開放F1.2)

 

Carl Zeiss C Sonnar T* 50mm F1.5 ZM(開放F1.5)

撮影したのは“百日紅(サルスベリ)”の花です。なるべくゾナーの持つ特徴的なボケがしっかりと見て取れるような被写体を選びました。ピントを合わせたのは枝の真ん中についた花の中心部ですが、これを狙って撮るのは正直骨が折れました。レンズからファインダーに映し出される像がこのままの見た目なため、どこからがピントの境目なのか判断がつかず、目を凝らして撮影したものです。

どちらも同じレンズ構成のため違いは出にくいかと思われましたが、「Carl Zeiss C Sonnar T* 50mm F1.5 ZM」の方がコントラストが少し低く、よりオールドレンズチックな写りになっています。対して「Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 X-mount」は開放からしっかりと高コントラストを維持しているように見えます。やはりレンズ構成が球面レンズのみの前者と、異常分散ガラスを使用している後者の違いが浮き彫りになった結果と言えます。

撮影中に感じた点としては、「Carl Zeiss C Sonnar T* 50mm F1.5 ZM」はピントのピークとコントラストのピークにズレがあることが挙げられます。絞り開放に近い状態で特に感じられ、ピントの山があたかも2箇所あるように見えるのです。マウントアダプターを使用した撮影での注意点と言えるでしょう。使えば使うほど不思議な魅力のあるレンズです。

 

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ここからはそれぞれの作例をご紹介します。まずは「Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 X-mount」からです。

夏空の下、植物の手入れをする方々の背中とその花々のカットです。フルサイズ換算75mmの圧縮効果によって、遠景から近景まで立体感もありつつ収まりの良い描写です。普段標準〜広角域でのスナップが多い筆者ですが、中望遠でのスナップも新鮮な気持ちになれて、新しい発見が生まれます。

今回のメインであるひまわりです。あいにく前日までの悪天候でうつむき気味ですが、覗き込むようにして撮影。ピントの合った部分はくっきりと、アウトフォーカス部に行くに従って膨張するようなボケが広がります。

このボケ味のおかげか、他のレンズの描写とは異なる、独特な魅力があるように思えて仕方ありません。自然な描写かと言われるとそうではないかもしれませんが、記憶に残るような印象的な写りをします。冒頭で絵画の様と喩えましたが、まるで風景を描き起こしたかのような印象を与えてくれる、そんなレンズです。

撮影は8月の半ばでしたので、蓮の花も見頃を終えていました。稲穂も早いものは色づき垂れ初めているよう。暑い日が続きますが、こうしてカメラを持ち出すことで季節の変化にも機敏に反応できるのは、何だか得をした気分になります。

 

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続いて2本目、「Carl Zeiss C Sonnar T* 50mm F1.5 ZM」の作例です。

昔の日本家屋を再現したスペースがあったので、よりオールドレンズチックな写りを期待して「Carl Zeiss C Sonnar T* 50mm F1.5 ZM」にレンズを付け替えました。結果は上々で、木材の落ち着いた色合いや食器類の光沢などが良い意味でレンズの描写とマッチしています。フィルムシミュレーションもクラシッククロームやクラシックネガなど、ネガフィルム調のものが相性が良いと感じました。

先ほどと同じ被写体を比較用に撮影。蓮の花では画面下のハイライト部分に色収差が、稲穂では若干のコントラスト低下が見られます。これらをクセと捉えるか、味と捉えるかでこのレンズの評価も変わってくるでしょう。個人的にはこれも一つのスパイスとして、作品を調理する際の隠し味として使えたら理想的です。

ひまわり畑の中で撮影に勤しむ方を、中望遠ならではの画角で切り取りました。大きな前ボケが立体感を強調して、より印象的な仕上がりになったかと思います。

やはりこのレンズの描写にはクラシックネガが似合います。ネガフィルムの不安定とも言える色味に収差をマッチさせることによって、いい意味でデジタルでは出せない色味を作り出すことが可能です。

昨今はAI写真技術の進歩によってスマートフォンなどでもこういった加工ができるようになりましたが、こういった描写のルーツやその背景にあった歴史を知ることによって、より作品に深みを持たせることができるのではないかと思います。


今回はゾナーレンズの描写にスポットを当てた内容となりましたが、いかがでしたか。

クセ玉と言うには少しオーソドックスな描写のレンズのご紹介だったかもしれませんが、レンジファインダー機用のレンズなどを含めるとまだまだ数のあるゾナーレンズ。その魅力を少しでも皆様に知っていただけたなら幸いです。

最後に、“クセ”と言う言葉は悪い意味だけではありません。クセになる味、など独特な魅力という意味でも使われるこの言葉、ぜひポジティブに捉えて皆様の作品づくりに生かしていただければと思います。

 


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[ Category:Carl Zeiss & Voigtlander FUJIFILM | 掲載日時:25年08月29日 18時05分 ]

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