
きっとカメラを握る、あるいはシャッターを切るその手をこの世界のどこへでも連れて行けるとしたら。何を選びどこへ行くのか。
きっとカメラを握る、あるいはシャッターを切るその瞬間を過ごしたい場所は人の数だけあって、自分にとってそれはとある島の、とある場所でした。
9月上旬、訳あって必ず旅を計画する時期です。
日々の生活の中では知らず知らずのうちに心も体も少しずつ消耗し、いつかは充電が必要になるもの。
そんな自分への“充電”を兼ねて、購入3年目の【Leica M10-P】を実写レビュー。
カメラのバッテリーと同じです。昨今のカメラはUSBケーブルで直接充電が主流になりつつありますが、昼休み、ストローから甘い液体を啜るだけでは今一歩100%に至らないこともしばしば。やはり我々人間も専用の「チャージャー」にセットされ、しばらくの時間を過ごし、そして日常に戻ることが理想的なのでしょう。
少し消耗した自分が「チャージャー」として選んだのは山口県、隠岐諸島。
海と、風と、赤い大地と、静寂、営み。
◆使用機材
・Leica M10-P + Summicron M50mm F2 rigid / Elmar 35mm F3.5
全てJPEG撮って出し、設定も何も触っていません。
私はただ心動いた対象にカメラを向け、たまにピント調節をし、シャッターを押すだけ。
それでいてこの青、この色、ボケ感、合焦面の立ち上がり、周辺減光、収差の数々が絶妙にマッチして生まれる成果物。
これら写真からわざわざ多くを語るのは蛇足。
ただ一つ言えるのは、私にとってのデジタルカメラはここがゴールとなったということ。
技術進歩が進むこれからの時代にこれ以上便利なものは数生まれようとも、これよりも自分にとって「良い」選択肢は生まれ得ないからです。
ご覧いただきありがとうございます。
最後のこの1枚だけ、一緒に持って行った【HASSELBLAD 500C/M + C50mm F4】での撮影成果です。
・・・
皆様にとっての「チャージャー」にあたる場所はどこか、定まっているでしょうか。
かく言う私もここと決めた場所を見つけられてはいないものの、隠岐諸島は時間の流れ方も、気象の移ろいも、景色も、食も、そして人も、全てが自分を充電してくれるに十分すぎるほど魅力的でした。
カメラは時間を留める機械だと思っています。撮影した場所に光があった、その事実を人間の記憶に訴えかけやすいような形で留める機械。
私は「カメラが好き」だと言うには蒐集癖がほとんど無く、では「写真が好き」かと言うと画質へのこだわりが少ないという微妙なジレンマを抱えながら生きてきました。
結論、自分は撮影をする行動自体が好きなのだと分かったのが今から5年ほど遡ったころ。前提となる「カメラ」も、結果として生まれる「写真」も、すべては撮影している時間の為にあるのです。
自分の好きなカメラを持っていれば、シャッターを切る瞬間に楽しさと快感が押し寄せます。
自分の好きな写真が生まれることを知っていれば、その期待感から感情は豊かになり足取りが軽くなります。
その時間の中でこそ充電が叶うのです。
今一度、皆様にとっての「チャージャー」を思い浮かべてみてください。
必ずしもいい機材を持っていい場所に行かねばならないという制約はありません。初めて買ったコンデジを持って、家から歩いて5分の公園を散歩する。それだけでも充電は叶います。
全てはあなたの「好き」次第。好きなカメラ、好きな場所、好きな写真、それらを探す一助になれば幸いです。
▼Leica、いえM10-P偏愛ブログたくさん書いています。ちゃんと動いてメンテができるのは今のうち。気になる方はお早めに。▼
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