【マップカメラ情報】RICOH GXR + P10 KIT レポート
RICOH GXR + P10(28-300mm F3.5-5.6 VC)
GXRボディとキット販売も開始されたカメラユニットP10は、広角28mmから望遠300mmの光学10.7倍ズームレンズと、1/2.3型1000万画素裏面照射型CMOSセンサーからなるカメラユニットです。
広角側ではレンズ先端1cmまで寄れるマクロ機能があり、どんな被写体でも撮影できる心強さがあります。リコーのデジタルカメラは古くからとにかく寄れるマクロ機能が搭載されており、「もっと寄って撮りたいけど近寄れない」と言うことが無い事からリコー製品を選ばれている方も居る程です。もちろん望遠側300mmでも27cmまで寄れますので、望遠レンズとは思えない自由な距離感で撮影が出来ます。
ISO感度はGXR共通の100~3200まで設定出来、300mm望遠側でも望遠側でも手ブレ補正と高感度を併せる事で安心して撮影することが可能です。コンパクトな10.7倍ズーム機で手ブレ補正、寄れる、高感度対応がGXR+P10の特徴です。
焦点距離別比較画像
手持ちで撮影していますが、電子水準器のおかげで水平を保った写真を簡単に撮ることが出来ました。
GXR + P10使用感
望遠300mmを伸ばした片手でも撮れる強力な手振れ補正機能のおかげで、デジタル一眼レフカメラでは考えられないような気軽な望遠「撮影」が出来ました。
大型のセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラを使っていると、どうしても「コンパクトデジタルカメラの画質は」・・・と敬遠しがちですが、ブログでの使用や、一般的なL判での印刷の場合は、元画像を縮小して使用すると思いますので、画質でマイナス要素はあまり気になりません。しかも後述するGXR+P10のRAWデータに秘められた素のデータは、コンパクトデジタルカメラ特有の癖が感じられず、かなり実用的です。
「いつでも撮れる(コンパクトなサイズ)・どんなものでも撮れる(高倍率ズーム)」という要素が写真を撮る上では重要で、その要素を兼ね備えるカメラユニットP10があればフォトライフは更に楽しくなると思います。
画質と将来的な調整を考えるとRAW撮影が出来ることも勿論GXRのメリットです。RAW撮影は、同社の28-300mmレンズ搭載のコンパクトデジタルカメラCX3には無いGXRならではの機能です。RAWデータとJPEG同時記録にも対応していますので、閲覧やプリントも即対応できます。
RAW撮影時のバッファは5枚ですが、RAW+JPEGの同時記録でもストレスなくサクサク撮る事が出来ました。筆者の場合、構図や露出補正、リコー製デジタルカメラの気に入り機能の一つでもある「電子水準器」の調整で一枚一枚しっかりと撮っているため、書き込み待ちを感じないのかも知れませんが、RAW+JPEGと言う大きなデータを扱っているにもかかわらず、一眼レフカメラ並みのレスポンスがあることは評価したいポイントの一つです。
P10の画質
標準設定はリコーらしい素材重視の発色で、撮影時の画像設定で如何様にも味付けが出来る振れ幅があります。
JPEG画像はノイズリダクションが適度に掛かっており、ざらつきのない綺麗な絵に仕上がっています。ノイズを抑えて輪郭強調を適度に掛けて解像感を上げるチューニングとなっている印象です。
RAWデータは付属のソフトウェアで変換した場合、ノイズリダクション処理が施され、JPEG画像とほぼ同じ出力結果となります。
GXRのRAWデータはAdobe社の標準画像フォーマットであるDNG形式ですので、PhotoShop等のDNG形式に対応したソフトウェアで開くことも出来ます。PhotoShopで開いたノイズリダクションの施されていない「素」のRAW画像は自然な階調と、細かいディタールを持っており、このカメラユニットの奥深さを見ることが出来ます。
最近のコンパクトデジタルカメラの画像は、センサーから発生するノイズに対してノイズリダクションを施してノイズを消し、失った解像感を得るためにシャープネスを強力に掛けていたりします。ノイズリダクションで細かいディテールがつぶれたり、本来ならなだらかな曲面を表現するグラデーションが消えて板のようにみえてしまいます。
この画像処理によるマイナス要素が、上記のデジタル一眼レフカメラとの画質の大きな違いと感じる要素です。
ところがこのP10のRAW画像を見る限り、コンパクトデジタルカメラに使用されているセンサーも実は滑らかな階調を持って居ることがわかりました。等倍画像をトリミングしたデータを用意しました、下の画像の岩肌を見比べてみて下さい。
JPEG画像、RAW画像比較
確かにセンサーが小さいが故、暗部にノイズも見られますが、ノイズが多いから悪い写真と言う事は無いと思います。デジタルカメラは情報をロスすることなく、ありのままを記録して忠実にそのデータを取り出せた方が応用が利くはずです。
DNG形式をサポートするソフトウェアがあれば、作品作りや、プリントなどGXR、いやCMOSセンサーの性能を100%引き出す事が出来る事がわかりました。
今回の作例写真は、RAWデータを変換した写真を掲載していますので、是非御覧ください。
新たな領域撮影が可能となったGXR
広角から望遠まで使えるカメラユニットP10は、標準ズームレンズしか普段使わない筆者にとって「望遠レンズはよっぽどの用途がない限り要らないのでは?」と思っていましたが、標準ズームレンズでは到底撮影する事の出来ない風景の切り出しが実に楽しく、全体を捉える広角レンズと、一部分をピックアップして撮影が出来る望遠レンズと言う2つのメリットを兼ね備える高倍率ズームレンズの便利さを実感しました。
P10は高倍率ズームレンズでありながら、センサーサイズとのバランスが良いコンパクトなカメラユニットとなっていますので、GXRのシステムの「軸」として絶対揃えたい一本です。大きなボケが楽しめるAPS-CサイズのCMOSセンサーを搭載したA12(50mm F2.5 MACRO)や今後出るであろう単焦点レンズ搭載のカメラユニットとの組み合わせが楽しみです。
GXRのカメラユニットはコンパクトなので、複数のカメラユニットを持ち歩いてもそれぞれが鞄に「スッ」と収まる事が改めて強みだなと感じました。散歩に、旅行に、作品撮りに・・・様々な用途に「カチッ」と簡単にカメラユニット交換で対応できるGXRは、P10の登場でよりその魅力が大きくなりました。
作例写真
P10の近距離、マクロ域の描写が素晴らしいです。
※サムネイルをクリックすると、50%縮小した画像が表示されます。
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ISO感度:100 / シャッター速度:1/870秒 / 絞り値:F5.6
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ISO感度:100 / シャッター速度:1/290秒 / 絞り値:F5.6
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ISO感度:100 / シャッター速度:1/440秒 / 絞り値:F4.5
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ISO感度:100 / シャッター速度:1/153秒 / 絞り値:F5.4
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ISO感度:100 / シャッター速度:1/310秒 / 絞り値:F5.6
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ISO感度:100 / シャッター速度:1/350秒 / 絞り値:F5.6
ISO感度別比較
ノイズリダクションは掛けていませんので、ISO3200でも細かいディテール描写がされている事がわかります。色ノイズを消すソフトなどで、適切なノイズリダクションを掛ければ実用的な画質です。
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