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【タイムズフォト】高崎線の「ミニ東京駅」資本主義の父ゆかりのレンガの街

こんにちは。だいぶ以前に「蔵造りの街で建物採集」という記事で書いたとおり、私は長い年月を経ている建物には何故か無条件で惹かれてしまいます。
どこかに遊びに行く途中などにそれらしき建物を見かけると、もう気になって仕方ありません。
でも見かけたからといって「よっし」とばかりにすぐさま撮影に没頭、などという事が許されるはずもなく、「いつか時間を作って撮りにいくぞ」とひそかに決意だけは固めていました。
今月に入り、貴重な平日休みを確保。いくつかの候補のなかから最近車で通りかかって最も気になっていたこの街へ。
埼玉県北部、群馬県寄りに位置する「埼玉県深谷市」です。

いったい何が気になったかと言うと、狭い通りに点在する蔵造りの建物。蔵造り自体は同じ埼玉県の川越市などでも見られるのですが、深谷の場合は川越のように通りが整備されているわけでもなく、生活道路に当たり前のように蔵造りの建物が建っています。そしてもうひとつ気になるのがレンガ造りの立派な煙突。
これらの謎を解くべく、一路深谷市中心部へ向かいます。
今回の得物は被写体が建物ということもあり、なるべく広角ということでキヤノンのLマウント35mmf2.8と、細部クローズアップ用のエルマー90mmf4を、それぞれBessa R2とLeica IIIcに装着。

まず出迎えてくれたのはこの壮麗な建物。高崎線深谷駅です。


Leica IIIc Canon 35mm f2.8 TREBI100C

線路の上を跨線橋がまたぎ、その上に駅舎をのせたいわゆる「橋上駅」なのですが、まるで東京駅と見まごうばかりの壮大さ。
なぜ高崎線に東京駅が?その答えは駅から4.3kmのある場所に。


Leica IIIc Canon 35mm f2.8 TREBI100C

深谷駅からのびる全長4.3kmの遊歩道。これはかつての貨物線の跡。ではこの貨物線で輸送していたものは何かと言うと、それは「レンガ」。この貨物線の終点にはかつて日本煉瓦製造というレンガ製造会社の工場がありました。


Bessa R2 Canon 35mm f2.8 TREBI100C


Bessa R2 Canon 35mm f2.8 TREBI100C

ここには「ホフマン輪窯」というレンガを焼くための窯がいくつもあり、東京駅舎、赤坂離宮(現迎賓館)、横浜新港埠頭煉瓦第2号倉庫、碓氷峠隧道・碓氷第三橋梁(めがね橋)など日本を代表する多くの近代建築はここで製造されたレンガを使用して建築されました。
この深谷市は埼玉三偉人の一人、「資本主義の父」渋沢栄一の故郷。
数多くの企業の設立に関与している渋沢栄一。故郷であるこの深谷にも日本近代化の礎となるレンガ工場を作りました。
東京駅のような深谷駅舎はこの日本煉瓦製造を記念してのものだったようです。


Bessa R2 Canon 35mm f2.8 TREBI100C

現在の日本煉瓦製造。レンガ塀の奥に見える煙突の下に「ホフマン輪窯」が。2006年の廃業までは一般公開していたようですが・・。


Bessa R2 Canon 35mm f2.8 TREBI100C

再び深谷市街方面へ。
国道17号線を走行していると趣のある洋風建築が!


Bessa R2 Canon 35mm f2.8 TREBI100C

埼玉県立深谷商業高校「深商記念館」
フランス・ルネッサンス様式を基調とした木造二階建てで中央部分には車寄せと塔屋を備えています。洋風建築と言っても屋根は瓦葺。


Leica IIIc Elmar 90mm f4 TREBI100C

大正11年に建築された建造物で、その外壁には90年という年月の痕跡がはっきりと見られます。
国の登録有形文化財らしいのですが、この古び具合は少し不思議な感じもします。「撮る」立場からするとそれはそれでフォトジェニックではあるのですが・・。


Bessa R2 Canon 35mm f2.8 TREBI100C

深谷市街に戻り、今回のそもそもの目的である「蔵造りの建物」と「レンガの煙突」を目指します。
先ほど「狭い」「生活道路」と評してしまった道ですが、どうやら中山道だったようです。
ぬけるような青空にすっくとそびえる巨大なレンガ製の煙突。


Bessa R2 Canon 35mm f2.8 TREBI100C


Leica IIIc Elmar 90mm f4 TREBI100C


Leica IIIc Canon 35mm f2.8 TREBI100C

この煙突は造り酒屋「滝澤酒造」のもので高さは30m以上。もちろん深谷製のレンガで造られている現役の煙突。地震や戦時中の銃撃(艦載機などによる機銃掃射?)にも耐えたという事で、歴史ある建造物です。
レンガ一つ一つの古び具合や金属の補強材、避雷針の錆び具合、白いレンガで描かれた「銘酒 菊泉」の文字がなんとも言えずフォトジェニック。
他にもレンガ造りの酒蔵や麹室が。レンガは保温性、保湿性に優れ、酒造りに適しているそうです。

こちらにもレンガ煙突が。「旧七ツ梅酒造」


Leica IIIc Canon 35mm f2.8 TREBI100C

映画のロケ地としても使われていた場所のようで、現在では「深谷シネマ」というNPO法人が運営する映画館として利用されています。
旧酒蔵の敷地は中山道から映画館までの通路として通行できるようになっていたのですが、キッチリ整備されているわけでもなく不思議な空間となっています。
レンガ造りの蔵の外壁にツタがからみ、時が止まったかのような雰囲気。


Leica IIIc Canon 35mm f2.8 TREBI100C


Leica IIIc Canon 35mm f2.8 TREBI100C

晴天の下、魅力的な建造物群を心ゆくまで眺め、撮り、充実した撮影行でした。
今回の深谷の建築群の魅力は、それらが建築された当時から現在までの時間の流れを隠すことなく、ありのままの姿で存在している、という事にあるのではないかと思います。
観光客仕様にキッチリと整備された「テーマパーク」のような建築物も、それはそれで魅力的ではあるのですが、深谷市の煙突や深商記念館の古び具合は、写真を撮る者としてはかなり写欲を刺激されるものでした。

レンジファインダーのフィルムカメラを持ち、有名、無名を問わず歳月を重ねた建物の前に立ち、心行くまで眺める。
それから露出を測り、構図を決め、交錯する光と影を読み、出来上がりを想像しながらそっとシャッターを押す。
今のところは、これこそが私にとっての「写真」です。

調べてみると、どうやら北関東などの地方都市は魅力的な建築物の宝庫のようです。
次はどんな建物と出会えるのだろうか?と今から夢はふくらみます。
とりあえず28mmの広角(狭い街中ではやっぱり必要?)と折りたたみ自転車(出先での行動範囲を一気に拡大!)を導入すべきか悩みつつ終わらせていただきます。

バルナックライカ



今回の使用機材

LEICA IIIc


LEITZ Elmar 90mm f4


voigtlander Bessa R2


Canon 35mm f2.8


EPSON GT-X770(ポジスキャン)


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[ Category:etc. | 掲載日時:10年09月28日 13時00分 ]

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