絶対的な信頼を得る堅牢性と防塵・防滴仕様のボディ

　既知の事実、オリンパスのフォーサーズフラッグシップ機には、E-1（2003年発売、オリンパス初のフォーサーズデジタル一眼レフカメラ）から防塵・防滴性能の高い強靭なボディと、他社に先駆けて搭載したホコリ除去システム｢ダストリダクションシステム｣が採用されており、多くのプロカメラマンや写真愛好家からの厚い信頼を得ている。

　2010年10月29日に発売となった本機「OLYMPUS E-5」もその例に漏れず、前モデルのE-3から受け継いだマグネシウム合金フルボディ。防塵・防滴性能の高さが魅力だ。 いつもながら、ボディー内手ぶれ補正機構の“補正効果最大5段分”に圧倒される。焦点距離がレンズ表記の2倍となり望遠側の撮影に大きな力を発揮するフォーサーズシステムにとって、この安心感は絶大である。

　外観はE-3とほとんど変わっていないが、背面液晶モニターがE-3の2.5型 約23万ドットから3型 約92万ドットのハイパークリスタル液晶へと大きく高精細になり、撮影画像の確認がよりわかりやすくなった。視野角も上下左右176度で視認性も良好だ。 やはり視認性の高い背面液晶は重要だと思う。撮影画像の確認時に表示がきれいだとピントのズレや、僅かなぶれ等に気付きやすく助かることも多いし、何より見て楽しいのだ。 大型化した液晶モニターに伴いボタンの配置が若干変更されているものの、いずれも無理なく指が届く位置にあるので特に操作に困るということは無かった。むしろこちらの配置の方が操作がしやすかったように思う。 また、メモリーカードがコンパクトフラッシュ（タイプI）とSDカード（ADHC/SDXC対応）のダブルスロットになったところも見逃せない。撮像センサーの高画素化とハイビジョンムービー撮影に対応する為だろう。2つのメディア間でデータをコピーすることができるので、一時的なバックアップとして重宝しそうだ。

オリンパス最高画質を実現した｢ファインディティール処理｣

　有効画素数約1230万画素と、他メーカーのフラッグシップ機と比べると数値上は少なく感じるが、新開発の｢ファインディティール処理｣を搭載した新画像処理エンジン｢TruePic V+｣により、解像感に不満は一切無い。 この｢ファインディティール処理｣、具体的には、アルゴリズムの進化により解像感低下の原因となる偽色やモアレを従来よりも強力に抑制し、光学フィルターの最適化に成功しているため、レンズそのものの描写、解像感を可能な限り活かした画像が生み出せるというわけだ。 実際の解像感は画素数以上。ヌケの良い描写で、細い木の枝の一本一本や落ち葉の一枚一枚までが鮮明に写しだされているのがわかる。 画像全体の性格としては、非常にクリアでスッキリしている印象。伝統の「オリンパスブルー」もあるのだろうか、青が鮮やかで清々しい。

表現の幅を広げるピクチャーモード

　従来より装備されていた「仕上がりモード」と「アートフィルター」が、本機ではひとつのメニューに統合されて「ピクチャーモード」となった。全部で17種類もあるのであれこれ比べて楽しめそうだ。 2009年発売のデジタル一眼カメラ「PEN E-P2」等、オリンパスのマイクロフォーサーズ機で搭載されている「i-FINISH」も本機に追加。このモード、被写体をカメラが判断、分析し、色鮮やかで臨場感のある画像に仕上げるものだが、このモードがまたとてもよく出来ている。どんなものを撮影しても良い仕事をしてくれ、とても好感の持てる画像になった。ただ画像全体に効果をかけるのではなく、その画像の中で効果がかかってほしい部分にちゃんと効果が表れるのだ。 個人的には、このモードを常用にしておけば安心だと思っている。

　また、通常では起こり得ない明暗やコントラストにより“現実離れ感”を演出する新しいアートフィルター「ドラマチックトーン」を追加。これは変化を巧くつかまえればかなり面白い。大袈裟なくらいメリハリのある仕上がりになる。実際のところ、撮影した画像を見るまではどんな写真になるのか全くわからないが、それ自体がドラマチックということなのだろう。

　オリンパスは、今回の撮影に使用した｢ZUIKO DIGITAL ED12-60mm F2.8-4.0 SWD｣を初めとするZUIKO DIGITALレンズの多くに、ボディと同様の防塵・防滴性能を持つレンズがラインナップされており、本機とあわせてより厳しい条件下での撮影に挑むことができる。 常識で考えれば、可動式の液晶モニターとポップアップ式の内臓フラッシュを備えれば、その分高い防塵防滴性能の実現は難しいのだが、オリンパスはそのどちらも妥協することなく可能にした稀有なメーカーだ。それだけでもこの「OLYMPUS E-5」を選択する価値があるだろう。

作例写真

■ 撮影機材：OLYMPUS E-5 +ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD

　（リンク先は50%にサイズ縮小してあります）

• 焦点距離（レンズ表記）：49mm

  ISO感度：800

  シャッター速度：1/100秒 / 絞り値：F6.3

  ピクチャーモード：i-FINISH

• 焦点距離（レンズ表記）：45mm

  ISO感度：500

  シャッター速度：1/100秒 / 絞り値：F6.3

  ピクチャーモード：i-FINISH

• 焦点距離（レンズ表記）：60mm

  ISO感度：400

  シャッター速度：1/125秒 / 絞り値：F5.6

  ピクチャーモード：i-FINISH

• 焦点距離（レンズ表記）：60mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/500秒 / 絞り値：F7.1

  ピクチャーモード：i-FINISH

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/2500秒 / 絞り値：F2.8

  ピクチャーモード：i-FINISH

• 焦点距離（レンズ表記）：24mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/800秒 / 絞り値：F6.3

  ピクチャーモード：VIVID

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/100秒 / 絞り値：F9

  ピクチャーモード：VIVID

• 焦点距離（レンズ表記）：60mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/250秒 / 絞り値：F5.6

  ピクチャーモード：i-FINISH

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/320秒 / 絞り値：F4

  ピクチャーモード：VIVID

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/1000秒 / 絞り値：F4

  ピクチャーモード：i-FINISH

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/320秒 / 絞り値：F9

  ピクチャーモード：i-FINISH

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/80秒 / 絞り値：F4

  ピクチャーモード：ラフモノクローム

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/160秒 / 絞り値：F8

  ピクチャーモード：VIVID

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：200

  シャッター速度：1/125秒 / 絞り値：F8

  ピクチャーモード：ドラマチックトーン

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：500

  シャッター速度：1/60秒 / 絞り値：F5.6

  ピクチャーモード：NATURAL

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：500

  シャッター速度：1/80秒 / 絞り値：F5.6

  ピクチャーモード：

  デジタルフィルター：トイフォト

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：500

  シャッター速度：1/80秒 / 絞り値：F5.6

  ピクチャーモード：ラフモノクローム

• 焦点距離（レンズ表記）：12mm

  ISO感度：500

  シャッター速度：1/80秒 / 絞り値：F5.6

  ピクチャーモード：ドラマチックトーン