【SONY】FE 16-35mm F2.8 GMを振り返る
SONYSONY G Master/G lensα7α7R Vα9III 120コマ/秒対応ズームレンズを楽しむ海秋、色撮りどり
6年ぶりの新型としてFE 16-35mm F2.8 GM IIがついに発売となりました。
今回は「故きを温ねて新しきを知る」という言葉にあやかって、I型を振り返ってみたいと思います。
ボディはα7RVにFE 16-35mm F2.8 GMをマウントして、撮影に臨んでまいりましたので、よろしければご覧ください。
ss1/640 F2.8 ISO100 焦点距離35mm
まず16-35mmという焦点域のズームレンズにおいて、F4にするかF2.8にするかという選択肢が発生する事がありますが、
F2.8を採る事で35mmF2.8の単焦点を使っているかのようなアプローチが可能になるというメリットがあります。
また、広角~準広角になってくるとF4ではボケを活かした表現がややし辛いため、そういった点でもF2.8を選ぶメリットは大きいと思います。
ss1/400 F2.8 ISO100 焦点距離35mm
しかしながらそれにはテレ端である35mmが絞りを開けた状態で、実用に耐え得る描写性能である事が必要となりますが、
そこはボケ味と解像力という二律背反する要素を、高い次元で纏めているG Masterシリーズですので不足はありません。
今回使用しているI型でも充分な描写力を持っているように感じますが、II型ではズーム全域で更に開放からの解像性能を高めています。
ss1/400 F2.8 ISO100 焦点距離35mm
「広角ズーム」というと、どうしても広角域を使用したい時にチョイスする、広角撮影専用レンズといった先入観が生まれてしまいますが、
35mmF2.8が実用に耐え得るならば、35mmという準広角~標準域に相当するレンズとして使い、必要ならば更にワイド側に広げられるレンズと考える事ができますので、普段使いのしやすいレンズに早変わりします。
ss1/50 F2.8 ISO200 焦点距離35mm
もう少し長めの焦点距離で撮りたい被写体ではありますが、テレ端の35mmでアプローチ。
中距離での画質は良くとも、最短付近はイマイチ…なんて事もありません。この辺りはフローティング機構が効果を発揮していると思われます。
焼き色が付き、外はサクっと中はふわふわなフレンチトースト、あま~いクレームブリュレを添えて。
美味しくいただけて、写真にも美味しそうに記録出来たのでI型でも満足ではあるのですが、
II型ではズーム全域で約22cmまでの接写が可能となっています。I型での最短撮影距離は28cmとなりますので、実に6cmの差。
最大撮影倍率にして0.19倍から0.32倍へ向上しています。
0.5倍でハーフマクロ、0.25倍でクォーターマクロとなりますので、0.32倍という数字がどのくらい寄れるのかは推して知るべしといったところでしょうか。
しかもG Masterシリーズの滑らかなボケ味も楽しめますから、活躍の場が風景や建築の撮影にとどまらず、日常的なテーブルフォトやポートレートなどにも更に力を発揮する事は間違いなさそうです。
ss1/200 F2.8 ISO100 焦点距離28mm
ss1/200 F5.6 ISO100 焦点距離25mm
3本のヤシの木が印象的だったので、ワイド側へ少し拡げてアプローチ。
35mmが普段使い出来てしまうと広角ズームである事を忘れそうになってしまいます。
ss1/100 F11.0 ISO100 焦点距離16mm
広角レンズとしては寧ろこっちが本分だとは思うのですが、ワイド端でガバッと目の前の風景を飲み込みます。
絞っているので当然と言えば当然ですが、申し分の無い写り。
ss1/200 F11.0 ISO100 焦点距離30mm
かと思えばほぼ同じ撮影ポイントから、ややテレ側へ寄せて1枚。
展望台の上からの撮影になりますので足を使って寄せたり引いたりは出来ませんが、ズームである強みを生かして切り取っていきます。
1つ前の写真で中央やや左にあった桟橋を右端に寄せてアプローチしてみました。
ss1/500 F2.8 ISO100 焦点距離35mm
足元に落ちる光と影の交錯が綺麗だったので1枚。
こういった木目など線の細かく空間周波数が高い被写体でも、II型でなら高いコントラストで表現が行えるようになっているとの事。
ss1/250 F5.6 ISO400 焦点距離16mm
縦構図でややローアングル気味からあおってヤシの木の高さを際立たせてみました。
ss1/100 F2.8 ISO100 焦点距離35mm
多肉植物の可愛らしさにやや傾き始めた陽が鉢を満たして美しかったので、真上から見下ろして一枚。
ss1/200 F2.8 ISO100 焦点距離16mm
手前の植物をぼかしたかったため、正面の岸壁にピントを置いて敢えての絞り開放でアプローチ。
さすがに開けて無理をしている分、破綻はあるだろうなあと思っていたのですが、殆ど気にならないレベルです。
それどころか岩礁に波がぶつかって白けている辺りの複雑な海面の模様までよく描いています。
等倍でご紹介したかったのですが、ブログ用に縮小している事をご容赦ください。
無茶を覚悟での絞り開放でしたが、あっけらかんと欲しかった画が出てきてしまった事に驚きです。
これはII型をリリースするに辺り、I型の描写力は相当な壁として立ちはだかったのではないでしょうか。
ss1/100 F4.5 ISO100 焦点距離35mm
絞りを開けても十分アプローチ出来る被写体ではあると感じたのですが、被写界深度が欲しかったのでやや絞り込んでの撮影です。
トタンの壁、剥き出しになった骨組み、つる性植物。光の当たり方もあってか、立体感のある写真となりました。
ss1/500 F8.0 ISO400 焦点距離16mm
ss1/160 F4.5 ISO100 焦点距離35mm
暮れゆく太陽の傍には顔を覗かせる富士山の姿が。
桟橋にかかった波が夕陽を写し、光の道を進む人影がありました。
最初はよりワイドな画角でアプローチしていたものの、人影が背景にとけてしまう程小さく写ってしまうため、
テレ端まで寄せての撮影としました。目の前は海で近寄る等の足での解決も難しかったので、ズームレンズである事に感謝した一枚です。
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II型の発売を折りに、I型を振り返る内容と致しましたがいかがでしたでしょうか。
I型での撮影をして感じたのは、まだまだ最前線で戦っていけるレンズだなという安心感。
GMasterの名に恥じないボケ味、解像力は健在で、コントラストや抑えられた色滲みも申し分ありません。
また、今回はスチル撮影がメインだったため、動画方面での振り返りは出来ておりませんが、
II型が発表されるまでの6年間で、写真のみならず映像での使用にも耐え得るレンズが求められる様になっています。
そんな期待に応えるようにII型では小型軽量化や高画質化、コーティングの進化だけでなく、
フォーカスブリージングの抑制や、ズーム時の最大繰り出し量をI型より短くし、ジンバルユーザーへのフォローなど、
あらゆる点で進化したレンズと言えるでしょう。
一方でII型の登場によりコストパフォーマンスに優れたI型という考え方も出来てしまう、嬉しくも悩ましい2本のレンズ。
あなたならどちらを選びますか?という問いを投げかけたところで、今回は締めたいと思います。