
※※本ブログの最後に昆虫の写真がございます。苦手な方は恐れ入りますがご注意ください※※
奇怪なタイトルから始めてしまいましたが今回ご紹介するのは「AstrHori 28mm F13 Macro 2:1 Pro ペリスコープレンズ ダブルレンズセット」という商品です。主要ミラーレスマウント用に発売されており、本ブログに関してはSONY Eマウント用を「SONY α7IV」に装着して撮影してきました。
ただスペックとして「28mm F13」と聞くと(なんだそのボケないレンズは…)という感想を持たせるのが関の山。しかしそれでは当然終わりません。このレンズの何がすごいかはそのマクロ機能。商品名に『2X』とある通り、等倍マクロのさらに先、センサー上に被写体の大きさを倍にして写すことができるのです。例えば作例でもご紹介する1cmほどの小さな昆虫、これが最短までよれば2倍の大きさ2cmとなってフルサイズセンサーに投影されると考えてみてください。フルサイズセンサーは「約36mm×24mm」の大きさですから、縦幅いっぱいくらいまで拡大できるということ。これは驚きの数値です。
さらに開放でF13、絞り込めばF40まで絞ることによってどんなにマクロ撮影をしても被写界深度を厚く保つことも可能。常用レンズではあまり聞かない絞り値はこのマクロ域におけるボケ制御の為にあるのです。御託はこの辺にして、圧倒的な「マクロの世界」をお楽しみください。
まずは手近なもので撮影開始。
普段使っている綺麗な小物たちと車検を終えたばかりぴかぴかのカーオーディオを超マクロで。
普段、本当に毎日目にしているはずのモノたちですがここまで寄って見ることはなかなかなく、その質感までもが如実に感じ取れるため新鮮さすら感じるほど。
3枚目の写真、いつも必ずと言っていいほど持ち出すズミクロンは「F40」まで絞って反射までボケを作らず撮影してみました。このマクロ機能が故に本レンズのワーキングディスタンスは常時数cm、どうしてもレンズの影が出来てしまうので鏡胴の先端にLEDライトがついています。それがここまで綺麗な反射を生みました。
このレンズを見ているとふと昆虫写真に特化した「虫の目レンズ」というものを思い出しました。
昆虫写真家の栗林慧氏がオリジナルで考案したもので、被写体である昆虫に寄りながら背景も写すことができるというもの。幼少期によく絵本、もとい写真本を読みながら憧れたものです。
そこで私も昆虫を撮りに行こう思い立ちフィールドへ。
まずは肩慣らし。
一部の写真は「ペリスコープ」というレンズの先端が90度曲がったレンズで撮影をしてみました。
最初は癖を感じるものの、非常に長いレンズの取り回しを考えると通常のまっすぐ前を写す方だけでは体勢がおかしなことになってしまうので、実はあってよかった選択肢です。
動いている被写体を追うのは至難の業…
少し日も傾いてきて明るさをできるだけ確保したいがために開放F13で撮影をしたのでピントは非常に浅いまま。
その分ボケ味はある程度大きく、しっかりとフレーミングさえできれば雰囲気は出せそうな予感は感じるのですが。
▼ご紹介したレンズはこちら。(昆虫写真が苦手な方はここでお戻りください)▼
撮影地に生息している昆虫たちは特別珍しい種類ではありませんが、マクロ撮影で写すとその世界に入り込んだ表現が可能です。
さながらバグズライフのよう。ご覧ください。
絞り込まなかったことが功を奏し、うまく写せた写真では被写体が浮き立つような立体感を伴う写真を撮影できました。
まずはおそらくセセリチョウの一種。難しいながらも複眼にピントを合わせることができ、理想的な1枚に。
もう少し光量があれば絞り込んで背景まで写せたシチュエーションなのでリベンジが急がれます。
ホソヒラタアブの採蜜。花はハゼランでしょう。
元は園芸品種でしたが後に野生化したもので、この桃色の花の大きさは1センチに満たないほど小さいのですがこの写真ではそうは感じさせないはず。
焦点距離が28mmということもあり背景まで広く画角に収められているのがある意味面白い違和感としてエッセンスに加わります。
最後はアオイトトンボの飛翔。
近年めっきり見なくなった本種、偶然にも捉えることができ昆虫少年だった頃の血を思い出してつい感動してしまいました。
・・・
いかがでしたでしょうか。
一見するとギョッとしてしまうシルエットの本レンズですが使い方に慣れてくると思い通りの世界を演出でき大変面白い1本でした。
本来であればコマーシャルにおける精密な商品撮りなどが想定されるレンズではあるものの、マクロ撮影が好きな方にはぜひおすすめしたい商品です。
私自身、中望遠域のマクロレンズは何度か楽しく使用したことがありますが、さすがにこのスペックを味わうのは初めて。
背景まで写せるということは「小さいものを覗く」よりも「小さい世界に入る」感覚に近く、日常を完全な非日常に落とし込むことが出来ました。
決して「安い!」と言えるものではないものの一見の価値あり。
是非マウント、用途に合わせてご検討ください!