
【Leica】「美しい」の、その先へ。M11とアポ・ズミクロン M90mm F2.0 ASPH.が永遠に閉じ込める、光と影の物語。
私が写真撮影を好きになったきっかけは、家族旅行でした。
両親や兄弟が見せる、普段以上の顔。
旅行中などは特に楽しそうな表情をしていることが多く、あとで見返しても思い出として楽しめるのだと気づきました。

その時の旅行で撮影したスナップを、たまたま応募したフォトコンテストで評価していただけたこと。そこからは、ある種の「勘違い」も含めて、写真撮影にどっぷり浸かることとなります。

モータースポーツでの流し撮り、グループでお散歩しながらのフィルムスナップ、朝焼けを撮るために寒さと眠気に耐えた海辺での風景撮影など。
興味が湧けば、さまざまなフィールドへ出向きました。

上手く撮れることもあれば、知識やセンスが足りず思い通りにいかないこともありましたが、その過程すべてを楽しんでいたのを覚えています。
そんな中で、私が最も惹かれたジャンル。
それが「ポートレート」です。

今回、モデルとしてご協力いただいたのは秋山奈々さん。
俳優から声優まで多岐にわたり活動され、現在コスプレイヤーとしても活躍されています。

ポートレート撮影において、私はこれまで85mmのレンズを多用してきました。
しかし、ライカM型を手に取る時は、不思議と35mmや50mmといった「自身の視界に近いレンズ」ばかりを選んできたように思います。
今回、私が選んだのは「アポ・ズミクロン M90mm F2.0 ASPH.」です。
アポクロマート設計と非球面レンズを組み合わせた、ライカMレンズにおける最高峰の中望遠レンズ。
レンジファインダーで90mmを、しかも6,000万画素というM11の高画素で扱うことには、正直なところ一抹の不安もありました。

数年ぶりのレンジファインダー撮影だったこともあり、ピント合わせ、構図の決定、そしてモデルさんとのコミュニケーションに精一杯になってしまう瞬間もありました。
しかし、ファインダーを覗き、二重像を慎重に重ね合わせるそのプロセスこそが、一枚の絵を創り上げる特別な「儀式」へと変わっていきました。
そんなファインダーを覗き込む時間は、今思えば最高に贅沢なひとときだったと感じます。

よく使われる表現ですが、まさに「手になじむボディ」。
大きすぎず小さすぎず、手に持った際の違和感(ノイズ)がないため、これまで以上に撮影に集中することができます。

シャッターを切った瞬間、背面液晶に映し出されたのは、単なる「記録」ではありませんでした。
開放F2.0で浮かび上がる玉ボケ、そして肌の柔らかな階調。
アポ・ズミクロンがもたらす収差のない澄み切った描写は、被写体が纏う空気や表情の温度までも写し出しているかのようです。

光の当たる部分から暗部へと繋がる、滑らかなグラデーション。
6,000万画素という広大なキャンバスと、アポ・ズミクロンの圧倒的な解像力が共演することで、写真は「美しい」という形容詞のさらにその先、言葉にできない領域へと足を踏み入れます。

90mmという、被写体と少し距離を置いた視点が、そこに独特の「物語」を紡ぎ出します。
光は優しく、影は深く。
M11とこのレンズが描き出す世界は、単に過ぎ去る時間を止めるのではありません。その瞬間の光と影を、永遠の中に「閉じ込める」ことができるのではないかと思います。

35mmや50mmでは踏み込めなかった、一歩深い「個」の領域。
6,000万画素が描き出すのは、単なる緻密な描写ではなく、その場の空気そのものでした。
数年ぶりのレンジファインダーに四苦八苦しながらも、最後にはそんな「不自由さ」さえもが、撮影をより純粋なものにしてくれたように感じます。
秋山さんの表情を捉えるたびに、迷いはこのレンズでしか描けない唯一無二の答えへと変わっていきました。

秋山奈々さんという最高の被写体を迎え、M11とアポ・ズミクロン M90mm F2.0 ASPH.が描き出した、圧倒的な解像感の先にある「感情」。
私なりの「ポートレートの最適解」を、ここにお届けします。
Model:秋山奈々さん



