
【Leica】もはや肉眼を超えた。画質で頂点に立つ、フルサイズコンパクトデジタルカメラの王。
2026年2月20日にLeica Boutique MapCamera Shinjukuは13周年を迎えます。
1925年、記念すべき「ライカI」の誕生によって写真の世界に革命が起きてから、「101年目」となる今年のテーマは『継承』。
新たな一世紀へと歩み出した今、私たちが改めて見つめ直したいのは、その長い歴史の中で脈々と継承されてきた精神です。
時代が変わり技術が進化しても決して揺らぐことのない『ライカが受け継いだ哲学』とは何か。
本連載では現行モデルそれぞれに宿るその本質を、独自のキーワードとともに紐解いていきます。

目で見た美しい景色を、そっくりそのまま写真に写せたら。
それは多くの写真愛好家が夢見た、そして決して叶わぬ夢・・・。
だったのです。このカメラが登場するまでは。
その名は「Q3 43」。
人の自然な視野に近い、43mmのレンズを搭載したコンパクトデジタルカメラです。
今回はこのカメラとともに、その途方もないテーマに迫ります。
木枯らしが体を刺す睦月の只中。
つい昨日洗車したばかりの車で高速をひた走り、私は神奈川県横須賀市へと向かっていました。
後席に置いたバッグでは、今回のパートナーであるQ3 43が出番を待っています。
世界最高峰のレンズと名高い「アポ・ズミクロン」を、専用設計でビルトオンしたカメラだなんて、絶対に只者ではない。
はやる気持ちを抑え、第一の目的地、よこすか海軍カレーの店「魚藍亭」を目指します。

晴天のドライブを満喫し、駐め慣れた駐車場のバーをくぐると、そこはもう異国情緒の街。
そこら中にある被写体に目を奪われながら、数年ぶりのドアを開けました。
オーダーを済ませ、懐かしい内装にレンズを向けてみます。
色収差を排した濁りの無い眼で収めれば、そこには現実と見紛う程の景色が。
額の中に収められた灰赤紫の背景紙を等倍鑑賞すると、その粒子一粒一粒を克明に写し出していました。

横須賀市のソウルフードとも言える「よこすか海軍カレー」は、明治41年に発行された「海軍割烹術参考書」に記載のあるレシピを元にして、各店舗がアレンジを加え現代に復元したものです。
こちらは「魚藍亭」の看板メニュー、「元祖よこすか海軍カレー」。
日本中様々な場所でカレーを食べてきましたが、未だこれを超える味に辿り着きません。
因みにこれは今回の連載を貫くテーマでもある「継承」を体現するものとして選んだ昼食です。
・・・もしくは単に食べたかったとも言います。
それにしても、何という描写力でしょうか!
「美味しそう」という人間らしい感想では収まらず、「今すぐに頬張りたい!」という動物的な食欲を呼び起こさせるこの写り!
もしご覧いただいている方が空腹だった場合、謝なければばならない程のリアリティです。
※店舗に許可をいただいて掲載しております。

続いてはボケ味とジェラートの味を同時にチェックしている様子です。
玉ボケはごくわずかに角ばった印象があるものの、全体の印象を損なうようなものではありません。
前ボケ・後ろボケ共に非常に柔らかく、まるで背景へ溶けていくかのよう。
このボケ味と凄まじいシャープネスを両立しているのが、アポ・ズミクロンの恐ろしいところです。

柔らかいものを撮った後は、固いものも撮ってみましょう。
縮小データの時点では大きな特徴は無く、あくまでごく自然な写りに見えます。
しかし元データではメタリック塗装の粒子を全て分離させ、ウィンドウモールの傷を一つ残らずえぐり出し、エンブレムについたホコリすら数えられるのです。
昔何かの雑誌で「肉眼の画素数は5億程度」という記述を見た記憶がありますが、このカメラはそれすら上回るように感じます。

素晴らしい結果に気をよくして、今度は自分の車をアップにしてみました。
Q3 43なら、ボディの塗装面をアップにする場合も
・引きで絞って撮影した6030万画素のデータからトリミングし、全体的にピントが合った画にする
・マクロモードの寄りで、ボケと共に楽しむ
と2通りの遊び方ができます。
寄ってよし、引いてよし。
おまけに磨き上げた高輝度なボディでも色収差が出ないとくれば、車を撮る事が楽しくなること請け合いです。

さて、胃袋が満たされても、写欲はまだまだ収まりません。
少しばかり日が伸びてきたこともあり、夕陽を狙う前にもう1か所寄れそうです。
次なる目的地には、横須賀からほど近くの「たたら浜」を選びました。
この海は透明度が素晴らしく、遠浅の美しさも相まってまるでどこかの島のようです。
渋みのある発色は、まさにLeica。
それもただ色が薄いのではなく、CCD機で撮った様なこってりしたニュアンスも感じられるのがずるい。

このカットなど、まさにCCDの色ではないでしょうか。筆者は惜しまれつつも生産完了したM9を思い出します。
未だに求める者が後を絶たない伝説のM型。
そのDNAが、ここに息づいている気がしました。
そうしてかれこれ20分ほど同じ場所に留まっていたでしょうか。
撮っては眺め、撮っては眺めと繰り返すうちに、カメラに海水が付いている事に気が付きました。
もちろんすぐに手入れしましたが、潮風が舞う海べりでも安心できる防塵防滴仕様に感謝です。
ひとしきり遊んだそのあと、夕焼けを見る予定の城ヶ島へと移動しました。
とはいえまだまだ青空の時間、島を回遊しながら「アポ・ズミクロン」の描写に酔いしれることにします。
まずは島内に複数ある駐車場を、自由に行き来できるワンデーパスポートを入手しましょう。
これを使えば、都度都度駐車料金を払わなくて済むので経済的です。

島の西側にある港町では再開発が進み、数年前とは違う様相を呈していました。
道幅が広くなり整備されたことに喜ぶのもつかの間、古くからの売店の女将さんがしょんぼりしている様子を見て、得るものと失うものがあるのだと少しばかり考えさせられます。
そうして物思いにふけりながら歩き回ってみると、数年前と変わらない場所を見つけ、少しばかり安心。
これは通りがかるたび必ず閉まっているシャッター扉です。
毎回撮影しているのですが、今回撮ったこの写真はまるで初めて見る被写体のように感じました。
それはぞくっとするほどのリアリティのせい。
鉄が腐食していく様を、こうも克明に描き出すものかと驚きが隠せません。
わずかばかりの凸凹すら無かったことにせず、あるがまま写真に落とし込むとは!
「肉眼以上に現実」なのは、少しばかり怖いけれど・・・。
今はこの驚きを、素直に感じていよう。
ここからは地層が象る自然の芸術を、Leica Looksでお送りいたします。
城ヶ島はその成り立ち故、地面には特有の模様や隆起が見られ、お気に入りのスポットを探すだけでも楽しめるのです。
いわんや、カメラを持ってをや。



場所柄かなりの高低差がありましたが、Q3 43はコンパクトデジタルカメラゆえ機動性は抜群です。
普段運動不足気味の私でもさして疲れることなく、階段の上り下りができました。
その成果が上の写真たちです。
Leica Looksをいろいろ試した結果、Leica Tealが1番気に入りました。
これを使うと、ただでさえ十分以上にエモい色が更に化けるのです。
ちょっと反則では…?と思うほどにいい機能だと感じました。
この間にかれこれ数時間ほど経過。
そろそろ夕陽の準備をしましょう。

一番綺麗に夕陽が撮れる場所を求めて練り歩き、たどり着いたのは島の端でした。
対岸で目を引く白い何かに目をやれば、どうやら富士山と夕陽をバックにブライダルフォトを撮っているようです。
この上ないシチュエーションではあるものの、職業柄カメラマンの愛機のダイナミックレンジは足りるのかといらぬ心配をしてしまいます。
もちろんこちらは問題なし。
夕空のグラデーションも、新郎新婦の前で魚釣りに興じる人も、全て余さず描写しています。

楽しく過ごした一日も、もうすぐ終わり。
水面がゆっくりと色を失って、そろそろ帰路に就く時間です。
でもまだ納得のいくものが撮れていません。
それに今ならまだ、水の中もぎりぎり透けて見える・・・。
あと5分もすれば、きっと全部鈍色にけぶってしまうでしょう。
焦ってうろうろする私に、同行していた友人がとっておきのポイント教えてくれました。
転倒しないように気を付けながらダッシュし、軽く設定を確認して急いでシャッターを切ります。
ピント面を等倍にすれば、ありえないほど精密な描写に思わず絶句。
一つ一つのうねり、それぞれの反射、やわらかく隆起したかと思えば、大きくくぼむ数々の「面」・・・。
海なんて、捉えどころのない液体でしかなかったはずなのに。
水って、分解できるんだ・・・。
これが、この日の最後に心から発した言葉でした。
カメラオブスクラから幾星霜。
より便利に、より高画質に、より多くの人にと進化してきたカメラたち。
その頂点に君臨するカメラは何かと言われれば、私はQ3 43を選ぶでしょう。
センサー専用設計の「アポ・ズミクロン」、その描写は汎用性を確保する必要がある交換式のそれとは一線を画します。
しかも焦点距離は43mm。
35mmより正直で、50mmより自然な画角。
肉眼を超える肉眼、それがQ3 43でした。
その手に、「継承」された確かな眼差しを。
ライカを選ぶということ。それは、長きにわたり磨き上げられてきた哲学を、あなた自身の表現の一部として迎え入れることに他なりません。
Leica Boutique Mapcamera Shinjukuは100年の歴史が凝縮された運命の一台との出会いを、お手伝いさせていただきます。
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