
【Canon】現行フルサイズの中で一番安いEOS RPが、後悔しないカメラである理由。
なにかと物価が上がっている昨今。
スーパーのお総菜コーナーで、コンビニのドリンク売り場で、あるいは趣味の物を物色するウェブサイトで、ついつい口をついて出るのは
「高くなったなあ・・・」
という言葉です。
それはカメラも例外ではありません。
気になるボディやレンズは山ほどあれど、どれもなかなかのお値段。
欲しいと思った時が買い時といえど、どうしても悩んでしまいます。
今日はそんな中で、お求めやすい価格でフルサイズを楽しめるミラーレスカメラ「EOS RP」のご紹介です。
EOS RPの様々な長所
ポイント①:他社より大幅にお求めやすい新品価格
フルサイズセンサーを搭載したカメラは、高画質な代わりに大きく重く、そして比較的高価だというのが今までの常識でした。
ミラーレス時代はボディの小型化が進んだため、大きさ重さに関しては以前より小さく軽くなっていますが、「高価」というところに関しては依然として変わりません。
各社のエントリーモデルでも10万円台中盤~後半というプライスの中、EOS RPは圧倒的にお求めやすい価格を実現しています。
参考までに、それぞれのメーカーのフルサイズ機で一番お求めやすい価格の機種をピックアップいたしました。
いかにEOS RPの価格が魅力的かお判りいただけるかと思います。
比較する機種によっては、EOS RPとレンズのRF24-50mm F4.5-6.3 IS STMを合わせた価格の方が安いこともあるのです。
型落ちの旧機種ではなく、現行機でこの価格。
万が一の故障の時も、生産完了から数年間は交換部品が存在するので修理が可能な安心感も相まって、末永く使っていただけます。
ポイント②:持ち運びやすい・使いやすい
どんな素晴らしいカメラでも、写真を撮りたい時に持っていなければ何もできません。
その点EOS RPは非常に軽く、何とボディのみで約485g!(バッテリー、カードを含む)
500mlのペットボトルより軽いため、持ち運ぶことに対してのハードルが非常に低いのです。
確かに上面がフラットなタイプのカメラ(LUMIX S9やα7C等)と比べると、一眼レフスタイルで真ん中にファインダーを搭載している分、どうしても高さは出てしまいます。
グリップが深い為に奥行きも少しばかりありますが、決して「大きい」というほどではない上、その分大きなレンズを装着した時にも安定して持つことが可能です。
こればかりは実際に手にしないと伝わらないため非常にもどかしいのですが、「グリップが無い軽いカメラ」と「グリップがあって少し重いカメラ」では後者の方が疲れないのです。
ポイント③:フルサイズに期待する“画質”が手に入る
カメラが欲しいと思って調べ始めると、「フルサイズは画質が良い」とか「ボケ量が多いので大きなボケを楽しめる」と言った情報が目に入ると思います。
細かい理屈はここでは省きますが、実際にフルサイズカメラを選ぶ利点の多くはここに帰属するでしょう。
さて、EOS RPは2019年に登場したカメラで、かつ2017年発売のデジタル一眼レフEOS 6D Mark IIとほぼ同じ性能のセンサーを搭載しています。
記事執筆時点で8年前のセンサーと聞くと、大丈夫かな?と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが心配ご無用です。
もちろん各社がしのぎを削るハイエンド機や、最新型のフルサイズモデルと比べればノイズや色再現・ダイナミックレンジでは負けてしまいます。
しかしその実力は2025年現在でも十分通用すると自信を持って言えます。
論より証拠、実際に写真をご覧ください。

MAZDA 3 SEDANのボディに反射した空や地面のグラデーションを、ハッとするほど美しく描いてくれました。
この車のボディカラー(ディープクリスタルブルーマイカ)は独特で、影になった部分は黒に近く、中間部分は紺色、ハイライトは水色に寄っていくという複雑な色なのですが、しっかりと表現できています。
艶感や立体感と言ったところもかなり良く、ありきたりな表現をすれば「車が飛び出してきている」ように見えます。
このカメラを調べた方の中には、「ダイナミックレンジが狭い」という情報をご覧になられた方もいらっしゃるかもしれません。
しかしこの写真の右側、暗く影になった部分のタイヤが黒潰れしていない事や、ダムの上に広がる水色の空が白飛びせずしっかりと色を残している事から、日常撮影で問題になる事はないと言えるでしょう。
(最後の項目で詳しく検証しています)
所謂高級ラインのLレンズではなく、手に取りやすい価格で高性能を実現したズームレンズです。(記事執筆時点で中古商品は4万円台で狙えます)
このレンズを装着する為に必要なマウントアダプターEF-EOS Rを一緒に買っても、6万円台で収まります。

同じ場所から今度はダムの方を狙ってみました。
秋の午後の優しい日差しに照らされたダムを、Canonならではの温かみのある発色が引き立てます。
今回は人の作例を用意できませんでしたが、この“温かみのある色”は赤ちゃんやモデルさんの肌を優しく生き生きと表現してくれるので、人物撮影でも大活躍します。

EOS RPは最新のカメラではありませんが、この時代のEOSの色再現は新型機とは違う良いところがあるのでお話しさせてください。
それは「その場の雰囲気が少し誇張される」こと。
自分が感じた被写体の良さ(=雰囲気)をカメラがくみ取り、少しオーバーに再現してくれるので、よりストレートに被写体の魅力を引き出せるのです。
最近のモデルは頭脳の部分(DIGIC)が進化し、どんな時でも一定の基準に沿った色でかっちりと出力してきますが、それは逆に言うと予想外の面白味が無いとも言えます。
同じような青空の下でも、撮りたい写真は様々。先程のダムの写真とは違い、少しクールな感じが欲しかったのですがばっちり仕上げてくれました。

次はまたがらりと雰囲気を変えていきます。
経年により木柱に刻まれた数多のヒビや、使われなくなり朽ちていくカーブミラーの物悲しさ、悠々と茂る背後の木に、秋の色を纏い始めた草・・・。
決して華々しい被写体ではありませんが、私がこの木柱に心奪われた理由がちゃんと写っています。

続いて木柱の写真を撮影した付近で安置されていた廃列車をお送りいたします。
こちらはおどろおどろしい感じとなりました。
先程申し上げた「その場の雰囲気が少し誇張される」という事がお判りいただけるかと思います。
ここまでの写真は全て撮って出し、つまり未編集です。
難しい設定をしなくても、誰が撮っても。
この長所を味わっていただけます。
ポイント④:EOS RPはこれが苦手?いえいえ、ちゃんと出来ます!
最後に、EOS RPが苦手と言われがちな被写体やシーンでどの程度活躍できるのかをご紹介いたします。
まずはモータースポーツなどの“動きもの”から。

ドリフト競技のD1グランプリで疾走する、R34のスカイラインを狙ったカット。
使用レンズは超望遠ズームのRF200-800mm F6.3-9 IS USMです。
かなり気合を入れた撮影でしたが、しっかり対応してくれました。
白や黒のボディはAFが迷いやすく、デジタル一眼レフカメラ時代はピント合わせに苦労した記憶がありますが、EOS RPではAFの挙動が安定しており、一度捉えれば大きく外すことはありませんでした。
流石に激しい切り返しのシーンでは追尾が上手くいかず、そういったときは1点AFも織り交ぜながら運用しています。

かなりのスピードで疾走していますが、奥行き方向を伴わない2次元的な動きであれば問題なく追尾可能です。
続いては記事の中盤で触れたダイナミックレンジについてです。
写真撮影の後に編集をする場合、その編集耐性はカメラによって異なります。
一般的にダイナミックレンジが高いカメラほど、暗く写ってしまったところを明るくしたり、白飛びしているように見えるところを暗くしたりといった作業に伴うノイズの発生が少ない傾向があります。
EOS RPはダイナミックレンジが低いと言われることもありますが、筆者は必要十分なものを持っていると考えています。
様々な感度で撮影した写真を、Photoshopのシャドウ・ハイライト機能で50%ほど持ち上げてみました。
暗い写真が元画像、明るい写真が編集後となっています。
ぜひご覧ください。



いかがでしょうか。等倍鑑賞で隅々まで確認するような場合では目立ってしまうかもしれませんが、普通に鑑賞する分には何の問題もないと感じました。
最後は純粋な高感度の写真です。
フルサイズカメラに期待する性能の中でもとりわけ重要なポイントだと思いますが、ここもしっかりと期待に応えてくれます。

いかがでしょうか。
ISO12800という超高感度ですが、目立つノイズもなく綺麗です。
高感度ノイズリダクションが上手に機能しており、細かいディテールが潰れすぎることもなく、波の質感を残したうえでノイズを低減してくれました。
EOS RPにはボディ内手振れ補正が搭載されていませんので、レンズ内手振れ補正がないレンズを使用した場合はISO感度を上げて撮影することもあるかと思います。
そういった時でも安心できる画質を実現しているので、積極的に高感度を使用することができるでしょう。

星空も簡単に撮影できます。
三脚に乗せて、絞り優先モード・ISOオートにすれば難しいことなく写せます。
ISO6400で見上げた秋の夜空には、白鳥座が輝いていました。
≪まとめ≫
我々が身を置くカメラ業界では、日々様々なカメラが登場し、モデルチェンジをするごとに高性能になっていきます。
しかしそれと同時に価格も上がっており、気軽にカメラを始めてみようと思ったときのハードルが高くなっているのもまた事実です。
カメラファンとして、進化することはもちろん嬉しい。
ですが、中には手にしやすい価格でカメラの楽しさを与えてくれるモデルも必要です。
それが憧れのフルサイズなら、尚更。
EOS RPは、たくさんの安心をもってしてその気持ちにこたえてくれました。
願わくば、いつの日かこのカメラがモデルチェンジする時、また同じ幸せを皆に届けてくれますように。
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