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【SONY】Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAは発売から13年。ー新型に性能で抜き去られてなお、それでも愛され売れ続けている名レンズー

【SONY】Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAは発売から13年。ー新型に性能で抜き去られてなお、それでも愛され売れ続けている名レンズー

本日ご紹介する「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」は、SONY Eマウントレンズの中で最古参の部類に入ります。
デジタル一眼レフ全盛の時代に突如として産声を上げたフルサイズミラーレス「ILCE-7(2013年11月15日発売)」,その鮮烈なデビューから約一か月後(2013年12月20日)に発売し、13年経過した今も現行商品としてラインナップに掲載されている超ロングセラーモデルです。

神レンズと呼ばれることもあるほど情緒豊かな描写を誇る銘玉ではありますが、それでも干支が一回りするほど昔のレンズ。
この13年でミラーレスが恐竜的進化をしたことも相まって、「今」購入することに躊躇いがある方もいらっしゃるかもしれません。

かくいう私もその一人。
特に昨今の50mm単焦点はどれもこれも超高性能で、絞り解放から凄まじい切れ味を誇る銘玉ばかり!
「比べると見劣りするのでは」と悩んでおりました。
しかし「カメラ好きな方からこのレンズをお勧めされた」というお客様のお話をよく聞くようになり、なおかつ新品の品切れが起こることもある。
その人気の秘訣をこの機に検証することに。
(気のせいでなければ、切れの良い写りをする新型レンズが出るたびにその声が増えているような・・・?)

撮影地は自然あふれる都内の公園、ゴーストや色収差のチェックにはおあつらえ向きのフィールドです。
ボディは高画素機のα7RVをチョイスし、純粋な色再現を見るためにクリエイティブルックをスタンダードに設定しました。
本記事の写真は、特記が無ければ全て絞り開放F1.8での撮影です。
それではどうぞお付き合いください。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

最初は解放からわずかに絞って、F2.8のカットから。
ピント位置にはわずかに軸上色収差が見て取れます。
もう少し派手に現れるかと思っていたのですが、いい意味で裏切られました。
真夏の日差しの下で高輝度な金属を撮ってこの程度であれば、あまり気にする必要はないかもしれません。

色合いは若干寒色よりになるでしょうか。
肉眼ではまぶしい夏の光でしたが、写真では「思い出の秋」というような雰囲気に見えます。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

日陰の撮影でAWBということを加味しても、このレンズが寒色寄りになることは間違いなさそうです。
一昔前のSIGMAレンズに似た色合いを感じます。
しかしながら色乗りが良い(若干こってり目)ので、淡白とは思いません。

ピント面からボケが始まる境界のあたりには、Sonnarらしさが見て取れます。
「じゅわり」とでもいうような、水を垂らしたようなボケ味です。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

本レンズはぎりぎり「甘い」と感じさせないくらいのシャープネスを担保。
それに加えて質量のあるボケ味なので、画に厚みがると感じます。

それにしても物悲しい雰囲気によく合うレンズです。
昨今の純正レンズでこの味が出せる製品は多くありません。
収差を減らす方向へと進化したが故の、少しばかり寂しさを覚える結末ですが、そんな中でもこのようなレンズが生き残っていることに嬉しさを感じました。



SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

日向に出てきました。
夏の太陽が照り付け、きらきらと輝く葉・・・の割には色が少し青みががっています。
とはいえ先ほど申し上げた「物悲しい雰囲気」を残しながら、発色自体はよく透明感があってさわやかな感じに。


SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

2枚連続で前ボケ多めの写真をお送りいたしました。
中距離でのじゅわりとしたボケと比較すると、なかなかどうしてスムーズなボケです。
湿度を感じるような特徴はそのままに、清らかさが上がったような感じでしょうか。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

今回の撮影で1・2を争うほど本レンズの特徴が出ているカットです。
手前のグルグルボケ、彩度が高く鮮やかな色、ピントを合わせた葉の分厚さ、どこを取っても味の塊!
特に葉の部分は、まるでサインペンで描いたような力強い太い線で描写されており、等倍鑑賞が楽しくなります。
肉眼で見た時にはカラカラに乾いていたのですが、写真ではヌメッとしているのもお気に入りポイントです。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

ここまでの流れから最短付近の描写は軟らかめになるだろうと予想し、その特徴的なボケ味と合わせて癖モリモリのものを期待して撮りました。
しかしどうしたことでしょう。かなり端正に描かれてしまいました。
いえ、もちろんそれが悪いわけではないのですが・・・。

撮影に慣れてきたこともあり、この頃になると「もっと癖を!」という風に考えが変わってしまっていたので物足りなさがでてしまったのかもしれません。

というわけで、絞り解放とf4.5で描写チェックをしてみます。
開放の方は思った通りの暴れ方になり嬉しい限り。
フレアのせいで全体的に明るくなり、露出をプラスにしたかのような効果が出ています。
「これこれ、これだよ」と独り言ちながら上機嫌。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

空を見上げた後は地面に注目。
生い茂る低木の中にレンズを突っ込むようにして思い切りぼかしを入れてみました。
ここまでやるとどのレンズでも大差なくなってしまうかもしれませんが、よく見るとニヤリとしてしまうような“らしさ”が隠れています。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

そして次はボケの始まりを重点的に見るターン。
水色の木の端にピントを合わせ、ちょうどLOOK!!の文字がボケはじめになるように構図を組みました。
白昼夢のような優しいボケ味は、まるでソフトフォーカスのよう。

「主題をあえてボケの始まりに置く」ことで、今まで知らなかった表現が可能になる。
これはちょっと凄いことかもしれません。
今までたくさんのレンズを使ってきましたが、この手法で画になるレンズは思いつきませんから。
たいがいは「ピントを外した失敗写真」で終わってしまいます。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

そんな「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」。
癖を使いこなすまでは届かずとも、「なんとなくこうなるだろう」と考えて構図を組めば、出力される写真はわりあい思い通りになります。
力づくでねじ伏せに来るレンズではなく、ちゃんと計算して暴れるその様子はちょっと小悪魔的でずるい。
こう考えるようになったらもう魅了されているわけです。
普段はカリカリのレンズを好む私ですが、ここにきて味のあるレンズも良いなぁ・・・と思うようになりました。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

計算して撮ったカットその2です。
とにかく立体感を狙っています。
しっかり予習したテストの答案が100点で帰ってきたような感じ・・・。
思わずにんまり。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

どうやって使おうかな。どんな効果を狙おうかな。
そうやって考えて写真を撮れるのは、なんと嬉しいことでしょう。
作画意図を反映してくれるレンズがあってこその贅沢を味わいつつ、大好物の被写体にカメラを向けました。

みずみずしさや湿度が出るレンズという事は、もとよりツルツルしている被写体との相性は良い。
是非数字ボタンのふちにご注目ください。エッジのテカリが見事です。


SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

高性能レンズの硬さを感じる表現とは違いますが、金属もなんのその。
太陽光が直接当たらなければ軸上色収差も気になりません。
等倍にすればわずかに見受けられますが、それをいうのは野暮というものでしょう。

むしろこぼれた水の厚みを感じる描写や、がちがちにシャープではないのに金属らしい硬質感を表現できている事に目を向けたいところ。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

さて、ここまでは比較的頭を使って撮影していたので、水分補給がてら何も考えず池へカメラを向けてみました。
キラキラと輝いていれば撮り甲斐もあるのですが、真夏はアオコの影響か「THE・緑」といった色合いで、透明感のとの字もありません。
しかし怪我の功名か、Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAにとっては得意な被写体だったようです。


水分補給を終え、ほてった体が冷えたころには夕暮れが迫っていました。
F1.8なので暗所に強いことは当たり前として、純粋に薄暗い場所での描写も見てみたいので連続でパシャリ!
どうやら今日一番レンズに合っている条件のようで、出てきた作品は非常に「完成されている」感じがしました。

なるほど、こういう条件がいいのか。
日陰でAWB、近~中近距離の被写体。そして絞り開放、人工物。
惜しむらくはこの条件で撮れたのがこの2枚だけだったこと。
沈んでゆく夕日に焦り、最後の目標だったAFテストに移行してしまったからです。

SONY ILCE-7RV & Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 風景

最短撮影距離付近で風に揺れるキバナコスモスに、コンティニュアスAF(トラッキング)で食いつかせてみました。
流石に百発百中とはいきませんが、なかなかの確率で合焦してくれます(8/10程度)。
薄暗い環境&至近距離、更に高速で不規則に接近と離脱を繰り返す対象を狙ってこれなら、十分に健闘していると言えるでしょう。

・・

半日かけて様々な撮影を行い、このレンズの癖や得意なシチュエーションを探してみました。
普段収差が少ないレンズばかり愛用している私にとって、それはとても楽しくやりがいのある時間でした。

例えばこれが本当のオールドレンズだと、コンディション(保存状況)や製造年数による違いが画質を決定づける大きな要因となってきます。
それはそれで楽しいのですが、じっくり調べて腰を据える必要があることも事実。
程度の良い個体を手にするために、様々な場所へ足を運ぶ必要も出るでしょう。

しかし「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」なら、十分以上の精度・速度を誇るAFと状態の良さを担保しつつ、御しやすい癖でシンプルに遊べます。
(シンプルだから飽きやすいという事もなく、慣れやすく意のままに操りやすいと捉えていただければ幸いです)

時代の流れが失わせつつある、「味」レンズ。
それを純正という安心感の下で楽しめるのは、SONYユーザーの特権かもしれません。

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[ Category:etc. SONY | 掲載日時:26年08月28日 17時14分 ]

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