気が付けば今年も11月。
雨降りが続いたり、夏の暑さが戻りかけたり、朝晩が急激に冷えてきたりと。
秋が早足に通り過ぎてしまうような日々が続き、季節に置いてきぼりを食らっている気がしてなりません。
ゆらゆらと着替え身支度を整え、何か格好良い写真が撮れたらいいな、と漠然たる思いを抱えて出掛けました。
今回の使用機材は『SIGMA fp』と『Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4 ZE』。
設定はアスペクト比を21:9、カラーモードはティールアンドオレンジです。
分厚い扉には厳ついドアノブが良く似合います。
三点を止めているボルトの1つが違うのは途中で修理をしたからなのか。
剥げたメッキから察するに全体の色はゴールドだったのか。
横に長いこのアスペクト比は無駄なものを取り除き、被写体に対して様々な想像を湧き立ててくれます。
「ゴッパー」の愛称でお馴染みのSHURE SM58。ライブハウスや音楽スタジオには必ず置いてある、定番のマイクロフォンです。
今までに何人の歌い手が、自らの心情を縫い込めた歌と言葉を投げかけてきたのでしょうか。
それをこのくたびれたマイクロフォンに問う事ができたのなら。
きっと、長い時間をかけてゆっくりと雄弁に語ってくれるのだと思います。
のた打ち回っているかのような光跡が目の前を通り過ぎているとは中々想像がつきづらいでしょう。
画面の上下をバッサリとカットする事で焦点距離50mmのレンズでも、おさまりの良い写真が撮れます。
手すりに置いて撮ったので振動が加わりブレも混ざっているのですが、それはそれで妙な迫力が加わってくれました。
今度からは常にミニ三脚を鞄の中に忍ばせておこうか、と次なる課題を持ち帰ります。
『SIGMA fp』に装着した『Planar T* 50mm F1.4 ZE』。
『fp』が小型が故にレンズがその姿を強調されるので、いかにも「撮れる」雰囲気を醸し出しています。
当然の事ながら『マウントコンバーター MC-21』との相性も抜群でテンポよくシャッターを切ることができました。
また、今回使用したとティールアンドオレンジの効果も相まって印象的な写真を撮れたと思います。
何よりも21:9のアスペクト比でどのように写真を収めるのか、と自分なりのルールの中で写真を撮るのには考える事も多く楽しいものでした。
人気の画角に人気のカラーモード。眼前に広がるのは燈色が強調された、紛れもない秋の色。
ほんの少しだけ季節に寄り添う事ができた日でした。