
【FUJIFILM】A Piece of PREMIUM COLLECTION – FUJINON (L) 50mm F1.2 –
MapCameraで取り扱う中古品の中で、流通数や生産数が少ない希少品や限定モデルなどに与えられる名称、「PREMIUM COLLECTION」。
本シリーズでは、A Piece of PREMIUM COLLECTIONと称し、そんな製品たちを一つずつ紹介いたします。
第十四弾となる今回は、「FUJIFILM (フジフイルム) FUJINON (L) 50mm F1.2 (銀鏡筒)」をご紹介いたします。
根強い人気のあるレンズ。今回はそんな魅力の一端に迫ります。

1954年にからFUJIFILMから発売されたライカスクリューマウント用レンズ「FUJIFILM FUJINON (L) 50mm F1.2」。
こちらのレンズの魅力を深く知るためには、1950年代前半の日本のカメラ業界の背景を知る必要があります。
国内の大口径レンズ競争の幕開け
この時代の日本は戦後の復興期。主に使われていたカメラと言えばフィルムカメラです。
但し、今と比較するとフィルムの種類が少なく、当時使われていたのはISO感度の低いフィルムでした。そのため国内のカメラメーカーは、少しでも光を取り込める大口径のレンズを生産するためにしのぎを削っていました。
また、レンズの大口径化の成功は各社の技術力を誇示する最大のステータスシンボルとなりつつある時代となってきたのもこの時代です。
そして、1953年に帝国光学工業がライカスクリューマウント用レンズとして「Zunow (ズノー) 50mm F1.1」を発表したことで時が動き始めます。
当時の日本のカメラメーカーと言えば、日本光学(現ニコン)やキヤノンが主流でした。そんな中、日本ではまだ小規模で無名に近かった帝国光学工業が発表したこのレンズは世界で最も明るいレンズであり、世界中のカメラ関係者に衝撃を与えたと言われております。
そしてこのレンズがきっかけで、国内のカメラメーカーの大口径レンズ競争が始まるのでした。
FUJIFILMも挑んだレンズの大口径化
日本光学(現・ニコン)の「Nikkor 50mm F1.1」、小西六(現・コニカ)の「Hexanon 60mm F1.2」など、名だたるメーカーが限界に挑む中、FUJIFILMが1954年に送り出したのがこの「FUJINON 50mm F1.2」でした。
こちらのレンズは初期型と言われる銀鏡筒のものと、後期型の黒鏡筒の二種類存在しておりますが、今ではどちらのレンズも中古市場では見ることの少なくなってきております。
“唯一無二”とも言える重厚感
特にこの前期型はプロトタイプのような位置づけで作成され、生産本数は約100本前後。黒鏡筒の違いは単に色の違いであるという一言では言い表せません。
削り出しの真鍮を採用していることにより、ずっしりとした重厚感と高級感あふれる美しい金属の質感を演出。ライカなど当時から活躍しているクラシカルなカメラに装着した際の佇まいは、所有欲を強く満たしてくれます。
しかし後期型では、実用性を向上させるため、外装の素材がアルミに変更されました。ですので、今ではこの重厚感を味わうのは大変貴重な体験となっております。
当時の技術が詰め込まれたことで生まれた”魅惑のボケ味とシャープな描写”
こちらのレンズは4群8枚構成のゾナータイプ。
F1.2という明るさを実現を実現しつつ、各種収差を抑え込むためにFUJIFILMは当時の新種のガラスを多用しています。
その技術の結晶が生み出す描写力は、発売から70年以上たった今でも健在です。
F値開放で撮影してみると、ピント面は驚くほどクリアで抜けの良い描写になる一方、周辺は球面収差による柔らかな滲みや盛大な周辺減光が現れ、非常にドラマチックな描写で写してくれます。
また、少し絞り込んで撮影するとその描写は一変。現代のレンズにも引けを取らないキリッと引き締まったシャープな解像力を見せます。

いかがでしたでしょうか。
「FUJIFILM (フジフイルム) FUJINON (L) 50mm F1.2 (銀鏡筒)」。
このレンズには単に現代のレンズに引けを取らない描写力を備わっているというだけではなく、戦後日本の光学技術者たちが世界最高峰を目指した「熱い時代の記憶」が刻まれています。
このレンズを所有しているということ。
それは、今度はあなた自身がこの熱い思いを未来へと継承していく――。そんな喜びを、その手に宿したとも言えるのではないでしょうか。
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