
【FUJIFILM】X-T30 III に搭載されているフィルムシミュレーションを比較してみる。前編

フジフイルムが1934年の創業当時から追求してきた写真フィルムに関連する画質設計のノウハウをデジタルに再現させた「フィルムシミュレーション」。世代やモデルによって使えるフィルムシミュレーションの数は異なりますが、フィルター効果も含めると今や全20種類のフィルムが揃っています。今回発売される「X-T30 III」は小型軽量モデルながら全てのフィルムシミュレーションを使用することが可能で、フィルムシミュレーションをたっぷり楽しむことが出来ます。前編では「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」「CLASSIC CHROME」「REAL ACE」「CLASSIC Neg.」「NOSTALGIC Neg.」をご紹介いたします。そのフィルムに合うと思った写真やフィルム違いの比較など合わせて、まとめてみましたのでぜひご覧ください。
まずはやはりなんといってもフィルムシミュレーションのデフォルト「PROVIA」。「まずはPROVIA」「悩んだらPROVIA」と思わせてくれる汎用性の高さが魅力です。デフォルトだから特徴がない、なんてこともありません。ナチュラルではなくスタンダード。「記憶色」と「透明感」でどんな瞬間も大切な記憶として鮮やかに写してくれる「間違いなし」のフィルム(ルック)です。なんだかんだ言って撮影では一番使うことが多くなる頼れる1本。

「Velvia」のイメージはまさしく「超極彩」。フィルムカメラでポジフィルムを選ぶときの「ベルビア100」の超極彩度という説明単語の強さが好きでした。「超高彩度」の「ベルビア50」はここぞというときに数本使った記憶があります。何度も足を運べるわけではない場所へ行くとき、その感動した気持ちごと写してくれるような極彩度。今でも写真を見るときに一番きれいだと思うのは、ポジフィルムをライトボックスで見る瞬間だと思っています。話が逸れてしまいました。高彩度な発色とメリハリのある階調表現。ここぞ、というときのフィルムであることはフィルムシミュレーションになった「Velvia」でも変わりません。

「ASITA」はフィルムシミュレーションの中では「ASTIA/ソフト」のような役割になっていますが、フィルム期には主にポートレート用フィルムとして「究極の肌色再現を求めた世界最高レベルの超微粒子フイルム」であるリバーサルフィルム「フジクローム・アスティア」がベースになったフィルムシミュレーションです。個人的には「青」の印象が強い画や天気の良い日には「ASITA」を選ぶことが多いです。他にも「PROVIA」や「REAL ACE」と比べて少し軟らかく華やかにしたいときに選ぶことも。

実在するフィルムから連想されたフィルムシミュレーションばかりですが、この「CLASSIC CHROME」は20世紀のグラフジャーナル誌を飾った写真たちのようなルックを目指したという「モデルとなっている特定のフィルムが存在しない」面白いフィルムだそうです。先に並ぶ「PROVIA」などの華やかな印象とはまた違う、控えめな彩度による落ち着きのある画は、被写体を選ばない撮影が可能です。筆者はなんとなく賑やかなシーンではなく「静か・穏やかな」ときに多用するフィルムシミュレーションです。

「PROVIA」で撮ったときに少しだけ濃い、と思ったときにピッタリとハマることが多いのがこの「REAL ACE」。新時代の常用ネガとして撮影条件を選べない時の対応力に優れている、オールマイティに使えるフィルムシミュレーションということです。本当にその通りで、気持ちほどシャドウが持ち上がってトーンが軽くなるのが気に入っています。

次にご紹介するのは「CLASSIC Neg.」。フジフイルムのフィルムシミュレーションの知名度を最も世に知らしめたフィルムと言っても過言ではないのでしょうか。撮って出しの良さに多くのユーザーが虜になりました。メリハリのある階調としっかりとした立体感が、どんなシチュエーションでも目を引く画に仕上げてくれます。使い易すぎて、こればっかり使ってしまうので注意?が必要なフィルムシミュレーションです。

今回最後にご紹介するのは「NOSTALGIC Neg.」。モノクロが当たり前だった時代にカラー作品を撮ろうとした、アメリカン・ニューカラーと呼ばれる写真家たちの”過ぎ去った時間への憧れ”から生まれたというフィルムシミュレーション。シャドウは青かグリーンに沈むのが一般的な特性のなか、アンバー基調で温かみがあるのが特徴です。紅葉など「赤」に対しての色の変化がかなり特徴的で、シャドウの柔らかさが癖になります。
本当に個性的なフィルムばかりで紹介するだけでも楽しくなってしまうフィルムシミュレーション。次回は後半編として今回紹介できなかったフィルムシミュレーションを紹介したいと思います。フィルム選びの参考になれば幸いです。それではまた。



