
【FUJIFILM】写真一枚にじっくり向き合う。機動力をもたらし、撮影体験まで刺激する魔法のレンズたち。
最近「FUJIFILM X-T5 シルバー」で撮影することに没頭しております。
カメラ本体の軍艦部に、シャッタースピードやISO感度を変更するためのダイヤルが配置され、絞りはレンズの絞りリングで調整する撮影スタイル。撮影した写真そのものはもちろん、撮影する時間やプロセスも大切にしたい筆者にとって、設定をひとつずつ組み立てていく作業は実に贅沢で、もっとも好きな時間と言えます。
そんな撮影体験にちょっとしたスパイスを加えたいと思い、選んだのが2本のライカMマウントレンズ。1本目は『Leica ズマロン M28mm F5.6』です。
こちらは当時ドイツのウェッツラーにあったライツ社の工場で、1955年から1963年まで製造されたスクリューマウントレンズをベースに作られた、言わば復刻版とも言える一本。
普段は軍艦部で露出を決めた後、オートフォーカスでテンポよく撮影することが多い筆者ですが、独特のピントリングを持つこのレンズは、どのような撮影体験をもたらしてくれるのでしょうか。


今回使用したX-T5はAPS-Cセンサーを搭載しているため、このレンズを装着するとフルサイズ換算で約42mm相当の焦点距離となります。
個人的には広すぎず狭すぎず、自分の感覚のまま素直にシャッターを切りやすい絶妙な画角です。
また、『Leica ズマロン M28mm F5.6』の描写の特徴として周辺減光が挙げられますが、APS-C機ではイメージサークルの中心部を使用するため周辺減光が出にくくなります。そのおかげで、ズマロンらしい絞り開放からのシャープでコントラストの高い描写を存分に味わうことができ、モダンな建築物を撮影する際にも非常に相性が良いと感じました。

シャープな描写と言っても硬すぎず、どこか柔らかい雰囲気を演出してくれるこのレンズ。デジタル機で撮影しているのに、フィルムカメラで撮影したような描写です。
であればと試したくなるのがFUJIFILM独自のフィルムシミュレーション。
普段は、低彩度かつハイコントラストに撮影できる「クラシックネガ」を愛用しており、ここまで紹介した写真は全てこちらのフィルムシミュレーションで撮影しました。

また、夏がスタートして夕方でも十分な明るさで撮影できるようになったので、「ノスタルジックネガ」のようなハイライト部をアンバー色に仕上げてくれるフィルムシミュレーションも使っていて楽しいです。

せっかくなら、もっとさまざまなフィルムシミュレーションを楽しんでみたいと思い、続いて選んだのが『Voigtlander APO-SKOPAR 75mm F2.8 VM シルバー』です。重量はわずか191gと中望遠レンズとしては非常に軽量で、バッグに1本追加しても全く苦になりません。

あいにく撮影当日は青空とはいかない曇り空でしたが、元気に咲く向日葵の鮮やかさを綺麗に残したかったため、フィルムシミュレーションは『ビビッド』をセレクトしました。 こちらのレンズにはアポクロマート設計が施されており、被写体の輪郭に出やすい色収差が極限まで抑えられています。そのため、立体感あふれる描写が得られ、スナップはもちろんポートレート撮影にも最適な一本だと実感できます。


このような曇天の日には、『クラシッククローム』のように低彩度でシャドウ部のコントラストを際立たせるフィルムシミュレーションも抜群の相性を発揮します。
『Voigtlander APO-SKOPAR 75mm F2.8 VM シルバー』をAPS-C機に装着すると、フルサイズ換算で約112mm相当。一見すると街中でのスナップには扱いが難しい画角に思えますが、実際に使ってみるとむしろ無駄な要素を削ぎ落とし、構図をまとめやすい焦点距離でした。色滲みを抑えたシャープな輪郭と中望遠ならではの圧縮効果が相まって、日常の一コマもどこかシネマティックな雰囲気に仕上がります。

今回は、いつもの撮影に新鮮な刺激を与えてくれる2本のレンズをご紹介しました。
普段はオートフォーカスに頼ってサクサク撮影してしまうことが多い筆者ですが、マニュアルフォーカスでじっくりと時間をかけ、一枚の写真と向き合うことで、改めて「写真を撮る楽しさ」を再発見することができました。
次回は澄み渡る晴天の日に、また別のフィルムシミュレーションを携えて撮影に出かけてみたいと思います。



