【FUJIFILM】最新チェキはココまで来た!『instax mini Evo』体験レポート
進化し続けるミラーレスの世界。各メーカーがそれぞれのビジョンで高性能なカメラを開発していく中、多くのカメラ愛好家の心を掴んで離さないフジフイルム。中判デジタルの魅力を享受できる「GFXシステム」そしてコンパクトながら高精細、デザイン性にも富んだ「Xシステム」という二大看板がその人気を支えています。
そして、フジフイルムにはもう一つの屋台骨が存在します。それが「instax”チェキ”」シリーズ。
専用フィルムを使用して、撮ったその場でプリントできるインスタントカメラ。1998年の初代「instax mini 10」から、不動の人気を誇るシリーズとなっています。
そんなチェキに、革新的ともいえる新モデルが登場しました。それが『ハイブリッドインスタントカメラ チェキ FUJIFILM instax mini Evo』です。
「高級感あふれるクラシックなカメラデザインに、デジタルの利便性とアナログの手触り感を掛け合わせた新しいハイブリッドインスタントカメラ」
なんともワクワクする商品説明に、はたしてどんな一台なのかと気になる方も多いはず。
今回は渋谷ヒカリエにて行われた「新製品体験会」の参加レポートをお送りします。
いち早く実機を体験できた感想と、企画担当者の方からの製品説明を含めて、盛りだくさんの内容でお伝えできればと思います。
・外観レポート
チェキというと、カラフルであったり近未来的なデザインを思い起こす方が多いと思いますが、『FUJIFILM instax mini Evo』のデザインは実にクラシカル。シルバーのボディにブラックの張り革、往年のフジフイルム機やレンジファインダーの名機を思わせるデザインが施されています。今年の4月に発売されて話題を呼んだ「instax mini 40」などの意匠を汲み取りながら、最新の機能を閉じ込めています。
電源のON/OFFはボディ前面に配置されたこちらのスイッチで行います。こちらの電源スイッチのように、フィルムカメラのデザインを踏襲しながら違和感のないようにデジタルカメラとしての各機能を割り振っている、落としどころが非常に見事なのです。
レンズは「INSTAX LENS 28mm F2.0」という非常に明るいレンズが採用されています。今までのチェキは、INSTAX LENS 60mm(35mm判換算 34mm相当)が搭載されているモデルが多かったのですが、28mmということでより広角なレンズになっています。そのため、広い画角を活かしてスナップ的に撮っても面白いですしF2.0を活かしてボケ味を楽しむこともできます。また、後述する「レンズエフェクト」という機能で様々なレンズの効果を楽しむこともできます。
ダイヤル一つとってもこだわりを感じずにはいられません。細かいローレット加工が施され、親指で操作するときにしっかり滑り止めになります。またこの回し心地が非常に絶妙で、重すぎず軽すぎない絶妙のクリック抵抗があり一段階ごとに滑ることなくササッとダイヤルが回せます。このダイヤルには「フィルムエフェクト」という機能が割り振られていますので、後ほどご紹介します。
電子接点はありませんがアクセサリーシューもございます。スタッフの方に伺うとシュー接続できるライティング機材などをつけたりするのがオススメの使い方だそうです。
『FUJIFILM instax mini Evo』にはファインダーがありません。3.0型液晶モニターが背面にあり、撮影はここに写っている被写体を見ながら行います。46万ドットと「instax mini LiPlay」に搭載されていた液晶より大幅に解像度が上がり、かなり撮りやすくなった印象です。液晶があることで様々なエフェクトがどのようにかかっているかを確認しながら撮影できるので、失敗を恐れることなくどんどん撮ることが出来るのです。
外観の特徴で私個人としても大変気に入ったのがこちらの「プリントレバー」です。本機は撮影したものがすぐに印刷されるのではなく、撮影した画像がデータとして蓄積されていき、その中からお気に入りの一枚を選んで印刷することが出来ます。撮影画像からプリントしたいものを選んだら、レバーを「カチカチッ」と巻き上げます。そう、巻き上げるのです。フィルムカメラを愛好してきた方ならおなじみの「巻き上げレバー」のようなフィーリングになっていて、用途は違いますがとても幸せな感覚。すると、印刷開始のアラートが出てチェキプリントが出てくるという流れになっています。
10枚のフィルムを撮り切ったら、新しいものに取り換えます。通常、フィルム交換というと多少の知識やコツが必要だったりとやや手間に感じるものです。しかしさすがはチェキ、ワンタッチで裏蓋をパカッと開けたら残ったカートリッジを未使用のものと入れ替えるだけ。「開ける→出す→入れる→閉じる」わずか4工程でフィルム交換が完了します。チェキらしい手軽さがしっかり継承されているのは素晴らしいですね。
ちなみにですがフィルムの残数は画面下部の〇で表示されています。この画像だと「あと3枚」だと分かりますね。こういった細かいユーザビリティが徹底して作りこまれているので、アナログですが煩雑さは皆無。UIも簡便で、筆者も1時間ほどのタッチ&トライでほぼ全機能を活用できるまでになりました。導入は簡単ですが長く使っていくことのできる一台です。
・まさにハイブリッド!注目すべき機能の数々
じっくりデザインを愉しんでいただいたところで、次に私が注目したいくつかの機能をご紹介します。正直、かなりいろいろなことが出来るのですべてを紹介するとなかなかの文章量になってしまいます。私個人が『FUJIFILM instax mini Evo』が欲しい!と思わされた機能をピックアップしました。
① 10種類の「レンズエフェクト」×10種類の「フィルムエフェクト」で100パターンの写真が楽しめる
前述のレンズダイヤル・フィルムダイヤルに割り当てられたそれぞれのエフェクトは掛け合わせることで撮影表現の幅を広げてくれます。そのパターンは10×10でなんと100種類!同じ被写体でも100通りの描写でアプローチすることが出来るのです!
会場に分かりやすい表がありました。(チェキ公式ホームページでもご覧いただけます)白いキューブに真っ赤なりんごというシンプルながら力のある被写体に、全パターンを掛け合わせてくれています。[Fisheye]や[Mirror]など特徴的なエフェクトは使いどころ次第で撮影者のオリジナリティを色濃く反映させることが出来そうです。
次は、実際に本機で撮影+印刷した写真で掛け合わせの妙をご覧ください。
フィルム写真を撮られていた方にはおなじみの[光漏れ]が現れるレンズエフェクトに、彩度の高い[ビビッド]のフィルムエフェクトを掛け合わせます。クリスマスモチーフの飾りを印象的に撮ることが出来ました。素朴ながら味わい深い写真というのはまさにチェキのお家芸といったところでしょうか。
お次は同じくクリスマス飾りの中から、腰かけるサンタさんをクローズアップ。レンズエフェクトは潔く[ノーマル]とし、[淡い]レンズエフェクトで優しい雰囲気を閉じ込めた一枚にしてみました。同じ立ち位置から撮っていますが画角とエフェクトで違った雰囲気になります。被写体を決めたら、2つのダイヤルを操作しながら「どんな作品にしようかな?」といろいろ試していただくのも良いですし、逆に「このエフェクトで撮るならどんなカットだろう」と先に条件を決めて撮影に出るのも愉しいと思います。
左:instax-Richモードでプリント / 右:instax-Naturalモードでプリント
プラスして、プリント時には画質を2パターンから選ぶことが出来ます。「instax-Naturalモード」は画像右側2枚のような従来のインスタントカメラらしい柔らかい雰囲気の写真が出てきます。かたや「instax-Richモード」では画像左側2枚のようにパキッとした発色の良い画像がプリントできます。どちらも味のある仕上げなのでお好みで選べるのが嬉しいポイント。
② 露出やフォーカスはカメラ任せ!画角や写りに集中できるメニュー体系
オート露出設定+高精度なAF機構と、撮影は本当にシャッターを切るだけ。ちなみにフォーカスポイントは中央一点ですが、顔検出が搭載されているので人物撮影であれば画面内のどこでもピントが合います。かなり食いつきがよく、迷う場面はほとんどありませんでした。
そのうえで、撮影中に操作できる設定が上の5種類。[露出補正]と[ホワイトバランス]で明るさや色を整えたり、[内蔵フラッシュ]は暗所での撮影はもちろん撮影効果としても使うことが出来ます。三脚などがつけられるようになっているので、[セルフタイマー]で集合写真を撮影という定番の使い方ももちろんOK。特筆したいのが[マクロ]モードです。
左:マクロ OFF / 右:マクロ ON
ご覧のように、OFFの時でもかなり寄れています。レンズは広角ですが被写体にグッと寄ればボケ味を楽しむことが出来ます。そしてさらに驚くべきはマクロONの時。レンズフードがあったら当たってしまうのではないかというところまで寄れます。サンタさんのお顔が画面いっぱいに広がっています。この機能があれば、お花や昆虫など小さな世界の住人も、大きく写すことが出来るのです。撮影の幅があまりにも広い!感動です。
③ スマホ連携がアツい!プリンターとしても活躍
インスタントカメラとして充実の機能が備わっていることはお伝え出来たかと思います。しかし、それだけでは終わらないのが『FUJIFILM instax mini Evo』。
今までチェキフィルムにスマホで撮った写真をプリントできる「スマートフォン用プリンター」が別ラインで登場していましたが、本機はその機能も兼ね備えています。専用のアプリケーションをお使いのスマホにインストールし、Bluetoothでペアリング接続するだけ。いとも簡単にスマホ内の画像データが形あるチェキプリントになるのです。
早速、自分のスマホの中にあった写真をプリントしてみました。接続はとっても簡単でアプリの操作も迷うような部分は全くありません。試しにミラーレス一眼で撮影した写真はそのままプリント、スマホのカメラ機能で撮った写真はアプリの機能でモノクロに変換してみました。プリント前にリサイズや露出、モノクロ・セピアに変換など微調整をかけることが出来ます。出てきたチェキプリントを見てみると、どちらも元々の写真の風情を残しつつインスタント写真らしいキャッチーさもあるように思います。やってみて確信しましたが、これはハマります。いろんな写真をプリントして部屋に飾ってみるのも楽しそう。
ちなみに今回使っているフィルムは『FUJIFILM instax mini Evo』と同時発売される「チェキ用フィルム instax mini ストーングレー」です。グレー地に光沢のランダム模様が入っていて、シックな格好良さがあります。今までは定番の白や締まった印象になる黒枠の「CONTACT SHEET」などがお気に入りでしたが「STONE GRAY」は自分にとっても新たな定番になりそうです。
ジャストフィットな「チェキ instax mini Evo専用カメラケース」、プリントしたinstax mini用フィルムをオシャレに飾ることが出来る「instax mini用 アクリルフォトフレーム」も同時に発売されます。カメラを入れたまま蓋を開けてすぐに撮影できる速写ケースになっているので、頻繁に持ち運びたい方には必需品と言えるでしょう。そして家に帰ってきたら撮った写真からベストショットを吟味、レバーを巻き上げてプリントしたものをアクリルケースに閉じ込め机の上に並べてみる…まだ発売前なのに自分の生活にすっかり馴染んでしまいました。手に入るまでは想像で楽しめそうです。
足早にではございますが、体験会での発見や楽しかったポイントをお伝えしてまいりました。ボタンやダイヤル、レバーなど「撮っている実感」が得られるアナログな操作感が、デジタルの最新技術とシームレスに結びついています。一眼機に負けない幅広い撮影表現に、インスタントカメラらしい「遊び心」が備わっていて何時間でも触っていたくなる一台が登場しました。本格的な作品撮りに使えることはもちろん、すでにカメラを所持している方のサブとして、または初めてカメラに触れる方が楽しみながら写真を好きになることが出来る一台でもあります。
2021年の終盤に突如現れた革新的”チェキ”を、ぜひ沢山の方にお試しいただきたいです。