普段はフルサイズセンサー搭載のミラーレス機を愛用している私ですが、
ある日実家の物置を整理していてコロンと出てきたカメラが『FUJIFILM X10』でした。
どうやら両親が購入した物が眠っていたようで(勝手に)譲り受けたのですが、電源を入れてみても反応が無い。
可愛らしい佇まいに見惚れたものの、故障しているのかと諦めました。
それから、時が経て別件で入手した対応バッテリーを試しに入れてみるとなんと電源が入るではないですか!
バッテリーの劣化だったのか…という事に気付き、最近使い始めています。
ほどよく晴れたある日の事。家に居るだけなのも疲れてしまい、息抜きに少しお散歩へ。
カバンも持たず、荷物は財布とスマホとイヤホン、そしてポケットに「X10」です。
「お父さん!おれ、いま風とたたかってんだよ!」という元気な声が聞こえました。
春に吹く強い風にも負けない無邪気な姿が胸を打ちます。
「X10」は28-112mm相当の4倍ズームフジノンレンズを搭載しています。
開放F値は変動式ですが2-2.8と非常に明るく、使いやすいことこの上ないのです。
望遠端なら圧縮効果を活かしながら街並みを収めることが出来ます。
フジフイルムのカメラと言えば特徴的なのが「フィルムシミュレーション」による色表現。
このカットは「Velvia」にて撮影したのですがハッキリとした描写が非常に好みです。
小ささを活かせばお店の中でも気軽にテーブルフォトを撮ることが出来ます。
ナポリタン・唐揚げ・フレンチトーストのボリューミーなプレート。夕飯はいりませんでした。
気ままな猫さんも、お洒落なデザインのカメラを向けられてカメラ目線のサービス連発。
モノクロ+レッドフィルターのシミュレーションで柔らかな毛並みを際立たせます。
シミュレーションは「PROVIA」を選択。連写に強い機種ではありませんが、落ち着いて狙えば
高速で走り去るジェットコースターもバッチリ。搭乗者のいない運転は少し寂しそうにも見えます。
面白い撮り方はないかなとキョロキョロ。
アトラクションの対面にあるビルの窓に、切り貼りされたように反射している様が面白くパシャリ。
このカットはしっとりとした階調の「ASTIA」で撮影しました。空の色もいい感じです。
モノクロのバリエーションを除けば、「X10」に搭載されているフィルムシミュレーションは5種類。
最新機種に比べれば多くはないですが、「この景色に抱いた感動はどう落とし込もうかな」と考えながら丁寧にシャッターを切るのはなんとも贅沢な体験です。
なんと発売から10年も経つモデル。2/3型センサーとコンパクトデジタルとしてはやや大きなセンサーを採用しているものの、
画質面や機能面ではフルサイズ機や最新機種と比較すれば物足りなく感じる部分はあります。
しかし、画面の中のワクワクするポイントにフレームを定め、露出を整え、シミュレーションを決める。
シャッターを切るまでの行程をじっくり楽しめる「X10」には写真機の原初的な良さが詰まっているように感じます。
電源が入るようになって以来、ジャケットの右ポケットはこの子の専用席になりました。
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