【FUJIFILM】ココが変わった!『X-T30 II』先行展示 体験レポート
フィルムカメラ時代に培われた美しい色表現や、シックなデザインと機能面で優れるダイヤルなどを配置することで一貫して「撮る愉しみ」を享受できるカメラを送り出し続けるフジフイルム。ラージフォーマットを手軽に操り、写真の奥深さを追求させる「GFX 50S II」や切れ味鋭い新たな単焦点「フジノン XF33mm F1.4 R LM WR」など、話題性の高い新製品が続々と生み出されています。
そして今月末に発売を控えるのが、手軽さと本格的な描写を両立した人気のモデル「X-T30」の後継機『FUJIFILM X-T30 II』です。従来機の手軽さはそのままに、Xシリーズのフラッグシップモデル「X-T4」の性能を継承しているとのこと。一体、どのような部分が進化を果たしているのか?さらに言えば最新世代のXシリーズには発売から人気の衰えない「X-S10」など並び立つモデルも存在していますが、その違いはどのような部分なのか?
そんな注目の一台を深堀りするべく、本日は富士フイルムイメージングプラザに伺い実機に触れて参りました。外観の写真などを交えた体験レポート、是非最後までご覧ください。
・外観レポート
まずは外観をご覧ください。見た目は基本的なビジュアル含め、「X-T30」と違いはありません。これは、そもそもシリーズの始祖である「X-T10」から続いている「不変」の精神の現れです。コンパクトなボディに、その世代のハイエンドモデルと同等の高性能を詰め込んだ一台というコンセプトをブラさずに受け継いできているのです。逆に言えば、ソフト面では格段のグレードアップを果たしているにもかかわらずサイズ感があまり変わらないというのは驚異的なことです。「X-T4と同等の性能を有しながら、見た目がほとんど変わらない」というサプライズなのです。
詳細な比較は後ほど掲載しますが、背面側の変更点としては液晶モニターが「X-T30」の104万ドットから、162万ドットのより精細なモニターに変更されています。撮影画像の確認や、モニターを見ながらの撮影などがさらにしやすくなっています。
軍幹部に配置されたダイヤルを見るとフジフイルムだ!という気持ちになります。ドライブモードやシャッタースピードなどはボディ電源がオフの状態でも確認・変更ができ、スナップ撮影時に素早く対応することが出来ます。シリーズ共通で採用されているのが「オートモード切り替えレバー」で、シャッタースピードダイヤルの下に配置されています。このモードをオンにすれば、カメラ任せで撮影を楽しむことが可能になります。気分によって「今日はMモードで自分の意思を反映させた作品撮りをするぞ」という時や「お散歩をしながらカメラ任せで気軽にシャッターを切ろう」という風に使い分けが可能です。また、オートモード時に「良い写真に仕上げてくれるAI」のアルゴリズムが刷新されており、今まで以上にカメラ側で素敵な画を選んでくれるとのこと。手軽に本格的な撮影を楽しみたい方にうってつけの一台となっています。
・従来機との比較
それでは次に当機種と近いスペックのモデルを比較してみましょう。 主要スペックの中から、比較すべき部分を表一覧にまとめましたのでご覧ください。
X-T30 II | X-T30 | X-S10 | |
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撮像素子 | X-Trans CMOS 4センサー(APS-Cサイズ) | X-Trans CMOS 4センサー(APS-Cサイズ) | X-Trans CMOS 4センサー(APS-Cサイズ) |
有効画素数 | 約2610万画素 | 約2610万画素 | 約2610万画素 |
手ブレ補正 | – | – | センサーシフト方式5軸補正 最大6段( |
低輝度性能(位相差) | -7.0EV | -3.0EV | -7.0EV |
液晶モニター | 3.0型チルト式タッチパネル付き 約162万ドット | 3.0型チルト式タッチパネル付き 約104万ドット | 3.0型バリアングル式タッチパネル付き 約104万ドット |
ハイスピード動画 | 240P/200P 200Mbps(記録時) 連続最大約3分まで 120p/100p 200Mbps(記録時) 連続最大約6分まで | 120p/100p 200Mbps(記録時) 連続最大約6分まで | 240P/200P 200Mbps(記録時) 連続最大約3分まで 120p/100p 200Mbps(記録時) 連続最大約6分まで |
フィルムシミュレーションモード | 18モード | 16モード | 18モード |
静止画撮影可能枚数 | 390枚 | 380枚 | 325枚 |
外形寸法 幅 × 高さ × 奥行き(mm) | 118.4 x 82.8 x 46.8 | 118.4 x 82.8 x 46.8 | 126.0 x 85.1 x 65.4 |
質量(g)※バッテリー、メモリーカード含む | 約378 | 約383 | 約465 |
前機種である「X-T30」と比べると、外形寸法が全く同じにもかかわらず各種性能がアップグレードされていることが分かります。また、機能面と価格帯が近しい「X-S10」との比較では手ブレ補正の有無とサイズ感の違いがポイントになるでしょう。どちらも素養の高さが伺えますから、撮影者のスタイルや被写体によって選んでいくのが良いと思います。より身軽に、日常的に写真を楽しみたい方は『X-T30 II』を。アクティブに、または屋内など暗いところで撮影することが多い場合は安心の手ブレ補正が嬉しい「X-S10」をチョイスしてみてください。
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左:X-T30 II / 右:X-T30
左:X-T30 II / 右:X-T30
まずは「X-T30」との比較です。先程も申しあげたとおり、見た目上の変更点は全くございません。特に、正面や軍艦ダイヤル部は全く同じデザインが施されています。ロゴに関しても、正面右肩の「X-T30」は共通で「II」というマークは見受けられません。では、2つのモデルがまぜこぜになってしまった場合、どのように見分ければよいのでしょうか?見るべき点は以下の2つです。
左:X-T30 II / 右:X-T30
上:X-T30 II / 下:X-T30
外観レポートの際にも触れたとおり、背面の液晶モニターがパワーアップしています。それに伴い、若干ですが『X-T30 II』のモニター部分の方が厚みがあるのが見て頂けますでしょうか。(手持ちのため、若干の傾きがあることをご了承ください。)2台が並んでいるときに「どっちがどっち?」となった場合にはまず液晶モニターの厚みが一つ目の指標です。では、一台しかないときに「IなのかIIなのか」を判断するにはどうしたら良いのか。それが以下の部分です。
左:X-T30 II / 右:X-T30
もはや最終手段、といった感じですがバッテリー室のカバーに品番の記載がありますので、こちらを見て頂くのが確実な方法です。しかし、それ程までにシリーズの統一性を重視しているということにむしろ感心してしまいました。
上:X-T30 II / 下:X-T30
『X-T30 II』は「X-T30」に搭載されていたフィルムシミュレーション16モードに、カラーネガフィルムのような高コントラストの画作りを愉しめる「クラシックネガ」と銀残しの仕上がりを再現した「ETERNAブリーチバイパス」を加えた計18モードを写真・動画に重ねてフジフイルムらしい色味を味わうことが出来ます。それに伴って、フィルムシミュレーション選択画面も一新され、各モード選択時に元となったフィルム等を想起させるデザインを見ることが出来ます。こちらは「X-S10」で採用されて好評だった部分を引き継いでいるモノだと思います。
各フィルムシミュレーションのデザインをご覧ください。この部分だけでもメーカーの拘りを感じますし、撮影にどんどん使いたくなるのではないでしょうか。
左:X-T30 II / 右:X-S10
左:X-T30 II / 右:X-S10
続いては「X-S10」と外観を比較してみました。正面・背面から見た限りではサイズ感はほとんど同じといった印象。しいて言えばシルバーがクールな『X-T30 II』と締まったブラックの「X-S10」という違いがございます。「X-T30 II」は現状国内販売はシルバーのみとなっているようですが、たくさんのご要望が集まればブラックモデルの登場があるかも・・・しかし個人的にはシルバーが非常にお気に入りです。
左:X-T30 II / 右:X-S10
上からの比較はお互いの長所がよくわかります。大きな違いは「グリップ」と「背面モニターの仕組み」です。「X-S10」はしっかり握れる深いグリップ+ボディ内手ブレ補正が搭載され、より安定した撮影が可能です。それに加え、バリアングル式のモニターは静止画だけでなく動画の撮影も見据えた設計と言えるでしょう。シーンに合わせて柔軟に撮影スタイルを変えることが出来ます。一方、『X-T30 II』はサッと取り出しやすいグリップと、ファインダーと同軸にモニターが稼働するチルト式を採用していることで手軽に静止画を撮ることに長けています。しかし、だからと言って動画撮影が不得意なわけではありません。「X-T4」譲りの撮影性能は健在で、10倍スローモーションなどを活用してシネマティックな動画を収録することが出来ます。撮影の際は、三脚などを活用いただくとより良いかと思います。
・シャッター音
気になるシャッター音を収録してきましたので是非お聞きください。
シリーズ共通の小気味良いもので、撮るほどに撮影意欲が湧いてくること間違いナシです。
・X-T30 IIに組み合わせたいおすすめレンズ
せっかくの機会ですので、富士フイルムイメージングプラザスタッフの方に
是非組み合わせて使っていただきたいというオススメのレンズを伺ってきましたので、ご紹介します。
X-T30 II + フジノン XF23mm F2 R WR
サイズ感のマッチングが素晴らしい23mm単焦点。レンズカラーもブラックとシルバーがあり、個人的にはシルバーをオススメしたいところです。
X-T30 II + フジノン XF33mm F1.4 R LM WR
最新レンズである33mmは標準的な画角とシャープでくっきりとした描写が魅力的です。またF1.4と明るいので暗所での撮影時も手ブレを防ぐことが出来ます。
X-T30 II + フジノン XF50mm F2 R WR
スタッフさんイチオシ!おつな中望遠50mm。開放時のボケ味の美しさがたまらない一本、スナップ撮影にも非常にオススメです。
X-T30 II + フジノン XF70-300mm F4-5.6 R LM OIS WR
構えてビックリの望遠ズーム。軽量設計ゆえにバランスが良く、気ままに手持ちで望遠撮影を楽しめそうです。
こだわりの単焦点で一本勝負をするも良し、ズームレンズで軽快な旅行のお供にするも良し。
豊富なレンズ群の中から特におすすめのものをご紹介しましたが、どんな組み合わせもしっくりくることでしょう。
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駆け足ではございますが、本機の魅力についてレポートさせていただきました。
実写レビューなどご期待に沿えるようコンテンツを準備してまいりますので、お待ちいただければと思います。