
【FUJIFILM】もしもXユーザーがスナップ撮影にGFX 100 IIを持ち出してみたら「Xは“動”GFXは“静”」のカメラだった。
FUJIFILMFUJIFILM GF lensFUJIFILM GFX seriesGFX100IIスナップ単焦点を楽しむ
突然ですが、FUJIFILM Xユーザーの筆者には密かな夢があります。それは、いつかGFXシリーズを手元に置きたいという夢です。

「FUJIFILM GFXシステム」
35mm判の約1.7倍となる大型センサーを搭載した、中判ミラーレスカメラシステムです。
ラージフォーマットセンサーとフジノンレンズから織りなされる卓越した描写力は、被写体の質感・立体感、そして空気感までをも写し出します。
普段Xシリーズを使っていると明暗差の激しい夕焼けなどの風景や、ここぞという時により高画質な1枚を撮影したいときなど、携帯性よりも画質を優先したい場面があります。
もちろんXシリーズのカメラでも設定次第で苦手を克服することもできますが、もっと単純な理由として、GFXシリーズを持ち出すことでしか見えない“何か”があるのではないか。
気のせいと言われてしまえばそれまでですが、そう思わせるラージフォーマットの魅力に魅せられているのかもしれません。
もしも普段の撮影にGFXを持ち出したら、いったいどんな結果になるんだろう。
カメラを変えることで、写真はどう変わるのだろう。
そんな疑問を解消すべく、今回はXユーザーの筆者が「FUJIFILM GFX 100 II」を持ち出した際のレビューをお送りいたします。
どうぞお付き合いください。

今回使用するカメラは「FUJIFILM GFX 100 II」、GFXシステムの中でもフラッグシップに位置するカメラです。
それまでGFXが苦手としてきた動体撮影能力や、動画撮影性能を飛躍させた次世代機として2023年9月28日に発売されました。
搭載されているのは1億2百万画素の高速センサー「GFX 102MP CMOS II HS」と、最新の高速画像処理エンジン「X-Processor 5」。
もとより1億画素越えのラージフォーマットモデルとして前作「GFX 100」が登場しており、そのインパクトは絶大でした。
「GFX 100 II」ではディープラーニング技術を用いて開発したAIによる被写体検出AFにより、ふいに訪れるシャッターチャンスや追従AFによる動体撮影など、より一瞬を捉える力が強化されています。

筆者が普段使用している「X-Pro3」と比べると、そのサイズ差に驚かされます。
ボディの横幅は大きく変わらないものの、レンズを含めた全長の長さや、グリップやファインダーなどの部分的なサイズ感は大きく違います。
Xシリーズは総じて「手に収まる大きさ」であるのに対し、GFXシリーズは「両手で抱えて構える」、この表現がしっくりきます。

今回は2つのレンズをそれぞれ別日に持ち出して撮影してきました。
紫陽花の撮影に連れ出したのは「フジノン GF110mm F2 R LM WR」。35mm判換算で87mm相当の中望遠レンズです。
ラージフォーマットと言われて真っ先に思いついたのが、豊かなボケ量でした。
試写も兼ねていたため、まずはこのレンズでたっぷりとラージフォーマットを味わいたい、そんな筆者の欲が全面に出たレンズチョイスです。


狙い通りの豊かなボケと、想像以上の色彩表現。
撮影日の前日は雨だったこともあり、紫陽花には雫がついていて、みずみずしく潤いに満ちていました。

浅い被写界深度に気を付けながら、息を止めるようにして1枚1枚シャッターを切ります。
シャッターフィーリングは静かに、それでいて一瞬を確かに切り取るような力強さがあります。
ラージフォーマットを使っているという、確かな満足度を感じました。

ふと気が付くと、足元の植え込みにリスがいました。
中望遠とはいえ、近づくと逃げてしまう距離。そっと遠くから写したものを、クロップで大きく切り取ったものがこちらです。
1億2百万画素のセンサーと進化したAF性能のおかげで、一瞬のシャッターチャンスを逃さずに収めることができました。
Xシリーズと比べても遜色ない動作と操作感、これをラージフォーマットでやってのけていることに脱帽です。

上へと続く石段の両側に、咲き乱れる青い紫陽花。
この風景をより印象的に仕上げるため、このレンズを持ってきたと言っても過言ではありません。
毎年この場所に訪れるようになって早5年ほど、いつもはXシリーズのカメラを使っていました。
もちろん素晴らしい写真を出力してくれますが、「究極の1枚を撮影したい」と思うような場面ではパワー不足に感じることも。
その点GFXというシステムは“ここぞ”という場面にめっぽう強いと感じます。
被写体を含めたその場の空気感まで切り取ってしまう「描写力」、写真そのものが持つ膨大なデータ量から生じる「編集耐性」。
この2点はXシリーズには真似できない、GFXが持つ魅力と言えるでしょう。
実際にこの写真も、撮影時の感動を感じ取れるようにシャドウ部などに微調整を加えています。
これは実際にRAWデータを編集する過程でしか味わえませんが、ハイライトやシャドウに残っているデータ量がXシリーズのものとは比べ物になりません。
「究極の1枚」を追い求めるなら、筆者なら迷わずこのカメラを選びます。

ひたすらに撮影を続けていたら、流石に普段よりも早めに腕の疲れが来てしまいました。
この点はXシリーズに軍配が上がります。
ボディやレンズは確かに重量があります。
しかしだからこそ、持って行く機材を選定する上で、被写体や撮影シーンを想定し、より深く思考を練ることができると思うのです。
この日は他のレンズや予備のカメラは用意せず、この組み合わせのみで1日の撮影に臨みました。
結果として余計なことを考えず構図に専念できたうえ、体力も温存することができました。

ここも毎年訪れるスポットです。和の空気感を感じる、新緑溢れる場所です。
開放絞りF2で撮影することで、お地蔵さんを前後の空間から切り取るようなラージフォーマットらしい写りになりました。


和を感じる被写体にカメラを向けます。
中望遠の画角が持つ、背景整理のしやすさが幸いして被写体に目が向く写りになりました。
ボケ量もさることながら、ピントの合った面の解像感も特筆ものです。
GFレンズの描写する世界を、1億2百万画素のセンサーがしっかりと受け止めることで描かれる緻密さ。
クロップ耐性は言わずもがなですが、全画素を使用したリッチな写りもXシリーズでは再現できないものでしょう。


一日使用した印象として、筆者の中で感じたことがあります。
「フォーマットの違いが、自分の中でのスイッチの切り替えになる」ということです。
表題にも書きましたが、Xシリーズを持って撮影しているときは、言ってしまえば“動”のモード。
トライ&エラーを繰り返して、撮影枚数や歩いた距離に比例して良いと思える写真が撮れる。
対して今回使用したGFXに感じたのは、いわゆる“静”のモード。
言わば“一球入魂”のように、シャッターを切るまでに被写体を観察し、条件を整え、呼吸を止めて撮る。
もちろんテンポよく撮影することも出来ますが、自分の写真を後から見返した時にしっくりきたのは、上記のように感覚を研ぎ澄まして撮影したものでした。

こういった明暗差のあるシーンでは、1画素当たりの受光面積が大きいラージフォーマットならではの写りになりました。
使用したフィルムシミュレーションは「クラシックネガ」ですが、普段Xシリーズで使用している感覚とはまた違った、奥行きのある立体的な写りに感じます。

続いて使用したのは「フジノン GF23mm F4 R LM WR」。35mm判換算18mm相当の超広角レンズです。
街中スナップ×超広角の写りを試したく、浅草散策に持ち出してみました。

4:3のアスペクト比では上下が広く感じたため、思い切ってかつてパノラマ用として採用された65:24を使用してみました。
開けた場所や建物が密集しているような場所では、その場の空気感を取り入れつつ写真として収まりよく写してくれるため、功を奏しました。
上下のバランスに気を付けつつ、映画のワンシーンを切り取るように撮影します。



商店が軒を連ねる仲見世通りや、目の前を覆う様に現れる本堂を丸ごと切り取る。
これぞ超広角レンズの為せる技です。
FUJIFILMが展開するふたつのライン、APS-Cとラージフォーマット。
多くのメーカーがフルサイズミラーレスカメラをラインナップしている中、あえてラージフォーマットを採用したFUJIFILM。
間に位置するフルサイズセンサーを採用していない理由を、長年疑問に思っていました。
フルサイズセンサーが万能であることに変わりはありませんが、ラージフォーマットには他に無い、アスペクト比の自由度の高さという特徴があります。
撮影後に編集する方法もありますが、撮影時から写る範囲を絞ることによって、撮影時に感じたイメージをそのまま画角内にダイレクトに反映できます。
自由に、それでいて最高峰の写りで撮影ができる。
これほど創作意欲を刺激されるものも無いでしょう。
もう一方のAPS-Cセンサーには、システム全体の小型化というメリットがあります。
大事なのは、自分に合ったシステムを選ぶということです。


下町の風景を横長写真で収めていきます。
街中にもこうして広がりのある被写体を見つけることが出来たのは、この撮影のおかげです。
実際に撮影して感じたこととして、ファインダーの見えの良さ、特にアイカップ部分の出来に感心しました。
Xシリーズではボディサイズにまとまりを持たせるため、接眼部のスペースにゆとりを持ったモデルというのはどうしても限られていました。

GFX 100 IIはボディの大きさも相まって、EVFも大型のものになっています。
横位置で構えた時にも背面液晶に鼻を押し当てるような事は無く、撮影時のストレスは感じませんでした。
特にアイカップ周りが目元に吸い付くようにフィットしてくれて、撮影への没入感が一層増していたと思います。

どうしてもこの組み合わせで夕暮れ時を撮影したく、視界の開けた高台まで足を運びます。
あいにく曇り空でしたが、6月の湿度を感じさせるような、季節の空気を閉じ込めた写りになりました。

今回は「もしもXユーザーがスナップ撮影にGFX 100 IIを持ち出してみたら」というテーマでお送りしてきました。
いつかは手に入れたいGFX。
今回の撮影を通して、自分なりのこのカメラとの付き合い方というものを学びました。
背筋を正して、真正面から写真と向き合う時間。
このカメラとの付き合い方は、一瞬一瞬がまさに真剣勝負です。
昔の話になりますが、中判デジタルカメラを屋外に持ち出すのはもっとハードルの高い物でした。
ミラーレス化が進み、ここまでサイズダウンしたこと。
GFXは、大型センサー機の活躍する場を大きく広げた、新しい可能性を感じさせるカメラであるということを再認識する結果となりました。

▼ 今回の使用機材 ▼
「新品はインターネットからのお買い物で安心安全の2年保証付き!」
▼ 中古はこちらから ▼



