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【HASSELBLAD】いつもの風景がドラマチックに変わる。「907X & CFV 100C」で切り取る贅沢な時間

【HASSELBLAD】いつもの風景がドラマチックに変わる。「907X & CFV 100C」で切り取る贅沢な時間

ハッセルブラッドの中判デジタルカメラ、「907X & CFV 100C」。
XCDレンズを取り付けられるマウント部「907X」と、1億画素の裏面照射型CMOSセンサーを備えたデジタルバック「CFV 100C」を組み合わせた、クラシカルで美しい佇まいを持つ一台です。
以前から筆者も気になっていたカメラ。今回は標準域の単焦点レンズである、「XCD 55mm F2.5 V」と共に撮影する機会がありましたので、実際の使用感を撮影した写真とも合わせてレビューしたいと思います。

 ウエストレベルで向き合う「静寂」の撮影体験

今回訪れたのは、湖畔に佇む洋館や石像、アンティークなオルゴールなど、どこかヨーロッパの空気を感じさせるロケーションです。

HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(XPanアスペクト比・65:24)

普段はライカのレンジファインダーカメラで撮影を行う機会も多いのですが、このカメラを手にしてみると、仕様は異なれど撮影体験の根底に通じるものを感じました。
ファインダーの窓から被写体を真っ直ぐに見つめるレンジファインダーと、上からモニターを見下ろすウエストレベル。構造やアプローチこそ違いますが、どちらも被写体と静かに対峙し、一枚の写真を丁寧に紡ぎ出すという撮影の実感を強く味わうことができます。

HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V

北欧スウェーデンで生まれたハッセルブラッドのクラシックな佇まいは、今回訪れた場所にあるような、美術品や歴史を感じさせる建造物と非常に馴染みが良く、ウエストレベルでカメラを構え、じっくりとピントを合わせる過程そのものが心地よく感じられます。
光と影が交差する木々の中で佇む石像を捉えた一枚では、ピント面の立体感と背景へと柔らかく溶けていくボケ味が調和し、被写体の質感が鮮明に伝わってきます。

 65:24と1:1。アスペクト比で変幻するシネマティックな世界

HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(XPanアスペクト比・65:24)
HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(XPanアスペクト比・65:24)
HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(XPanアスペクト比・65:24)
HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(XPanアスペクト比・65:24)

今回の撮影で特に印象深かったのは、アスペクト比を変更しての撮影です。
かつての銘機「XPan」を思わせる横長の比率(65:24)に設定すると、見慣れた光景が映画の一場面のように切り取られます
緻密な細工が施された自動演奏オルガンや木彫りの人形といった芸術的な被写体は、中判センサーの繊細な描写力と非常に相性が良く、横への広がりを意識しながら枠の中に視点を凝縮させていく感覚に思わず没頭してしまいました。

HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(1:1)
HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(1:1)

一方で、「500C/M」でお馴染みのスクエアフォーマット(1:1)に切り替えると、被写体への収まりが非常に良く、静寂さを感じさせる構図を作りやすくなります。
手に持ったカリンバの木目や金属の冷たさに加え、深く色づいた葉の中で浮き立つ繊細な花びらまで鮮明に描き出す描写力は、中判センサーならではの懐の深さを実感させてくれます。また、建築物や美術品だけでなく、こうした花や草木などの自然物が持つ本来の美しさも、ハッセルブラッド独自のカラーサイエンスによって極めて自然に再現されます。

クロップを伴うアスペクト比の変更を惜しみなく楽しめるのは、CFV 100Cが持つ1億画素のラージフォーマットセンサーが記録する豊かな情報量があってこそです。切り出しを行っても描写の密度や階調の滑らかさが損なわれることはありません

 日常のディテールまでドラマチックに切り取る描写力

HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(1:1)
HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V

特別なロケーションだけでなく、車を停めた駐車場や、ふらりと立ち寄ったお店でいただいた食事など、日々の何気ない場面においてもその描写力は発揮されます。車の直線的なフォルムやタイヤの質感、湯気が立ち上るような料理のシズル感まで、目に見えた通りの質感が素直に記録されていきます。

 純正「Phocus」で引き出す、モノクロームの豊かな階調

今回は撮影後、ハッセルブラッドの純正ソフトウェア「Phocus」を使用して現像を行いました。
簡単な調整を施しただけですが、色味や質感の再現性の高さには素直に驚かされます。画面に浮かび上がるのは、まさに思い描いていた「ハッセルブラッドのイメージ」そのものでした。

さらにモノクロームへの現像も試してみたところ、中判センサーならではの階調豊かなグラデーションを存分に楽しむことができました。

HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(1:1)
HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(1:1)
HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(1:1)

白から黒へと続く滑らかな階調が、建造物の重厚感、滴る水の透明感、そして人物の表情や衣服の質感を克明に引き出してくれます。色の情報が削ぎ落とされることで、背後にそびえる山々や湖といった自然の風景も、その場に漂う静謐な空気感とともに写し取ってくれるような感覚がありました。

HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(1:1)
HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V

暗い室内でも階調は崩れず、暖色系の光に包まれた空間を忠実に描写してくれました。金属パーツの反照や細部まで繊細に残されます。ヨーロッパの伝統的な工芸品と、カメラの持つ歴史的背景が重なり合い、被写体の魅力がより一層引き立つ印象です。

 素直な描写の「XCD 55mm F2.5 V」と、Vシステムへのロマン

装着した「XCD 55mm F2.5 V」は、35mm判換算で約43mm相当の扱いやすい画角です。開放での撮影でも硬くなりすぎず、人間の視野に近い自然な画角を提供してくれます。画角のクセが少ないからこそ、アスペクト比の変更やモノクローム化といった表現の試みを素直に受け止めてくれる安心感がありました。

HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(1:1)

また、「CFV 100C」の大きな魅力として、ハッセルブラッドのVシステム(500C/Mや503CX、SWCなど)に装着可能であることが挙げられます。長年愛されてきたフィルムボディに最新のデジタルバックを組み合わせ、当時の所作のまま撮影を楽しめるのは本機ならではです。次回はぜひ、Vシステムのボディに取り付けて撮影してみたいと思います。

 まとめ:写真を紡ぎ出す「歓び」を再発見する一台

HASSELBLAD 907X & CFV 100C + XCD 55mm F2.5 V(XPanアスペクト比・65:24)

「907X & CFV 100C」は、単に高精細な写真を残すためだけの道具ではなく、撮影という行為そのものの愉しさを再発見させてくれる存在です。

ウエストレベルで静かに対峙する時間、アスペクト比を変えて視点を研ぎ澄ませる感覚、そしてPhocusで階調を引き出すプロセス。そのひとつひとつが、写真を紡ぎ出す歓びを教えてくれます。普段親しんでいるレンジファインダーとは異なるアプローチでありながらも、一枚と丁寧に向き合う本質的な楽しさは深く共通していました。歴史ある銘機の息吹を感じながら今を切り取る贅沢な時間を、このカメラと共有することができました。

皆様もぜひ一度手に取って、907X & CFV 100Cでの撮影を体験してみてください。

▼今回使用したカメラ・レンズはこちら▼




[ Category:etc. | 掲載日時:26年08月30日 18時30分 ]

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