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【HASSELBLAD】不便だからこそ、際立つ。Vシステムと1億画素で出会えた最高峰の写真体験

【HASSELBLAD】不便だからこそ、際立つ。Vシステムと1億画素で出会えた最高峰の写真体験

前回の記事にて、現代の907Xボディと「XCD 55mm F2.5 V」での撮影レビューをお届けしました。
1億画素の中判裏面照射型CMOSセンサー(CFV 100C)が描き出す圧倒的な階調と、フィルム時代の様々なアスペクト比での撮影がもたらす空間美は、実に魅力的なものでした。

しかし、ハッセルブラッドの本当の深みは、ここから始まります。

「この1億画素のデジタルバックを、フィルム時代のVシステムに装着したらどうなるのだろう。」

便利で快適な最新ミラーレスの時代に、あえてオートフォーカスも手ブレ補正もない半世紀前の機械式ボディへと立ち返る。
今回はHASSELBLADの名機「503CW」に「CFV 100C」を組み合わせた撮影レビューを、写真と共にお送りいたします。

INDEX
  1. 指先から伝わる重厚なメカニズム。ファインダーを覗く「所作」の心地よさ
  2. 1億画素の「現実」と、Carl Zeissレンズが醸し出す「情景」
  3. 光を整え、撮影リズムを崩さない、marumiのフィルターシステム
  4. 「不便だからこそ、夢中になる」——カメラと自分だけの濃密な時間
  5. おわりに:半世紀の時を超えて、受け継がれる夢

指先から伝わる重厚なメカニズム。ファインダーを覗く「所作」の心地よさ

503CWにCFV 100Cを取り付けた瞬間、907Xの時とはまた違う、ずっしりとした金属の質量と重厚感が手元に伝わってきます。

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*

折りたたみ式のウエストレベルファインダーを開き、クランクを回してチャージ。
一度、ファインダーを覗き込んでみると、左右が反転したスクリーンの中に木漏れ日や陰影が優しく揺らめいていました。

撮影前に、まずは単体露出計で光を計測。
測定した数値を元に手動で絞りとシャッタースピードを合わせる作業は、現代だからこそ新鮮で贅沢に感じられます。
露出を合わせた後にピントを合わせ、静かにシャッターボタンを押し込みます。

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*(marumi フィルタ―装着)

確かな感触とともに503CW特有のメカニカルシャッターが切れ、手に金属の心地よい振動と余韻を残してくれます。

ボタン一つで撮影が完結する現代において、この一つひとつの丁寧な「所作」こそが、写真を撮る時間を特別なものに変えてくれました。

1億画素の「現実」と、Carl Zeissレンズが醸し出す「情景」

今回装着したレンズは、Vシステムの定番レンズ「HASSELBLAD C 80mm F2.8 T*」。
最初に足を踏み入れたのは、私自身一度は訪れたかった場所である上高地です。

あいにく穂高連峰や焼岳には雲がかかっていましたが、山々に包まれた静かな広がりを感じるロケーションでした。

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*
HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*


現代の最高峰光学技術で作られたレンズが「完璧な現実」を写し出すのだとすれば、半世紀の歴史を背負ったCarl ZeissレンズとCFV 100Cの組み合わせが定着させてくれたのは、まさに「その場の空気」そのもの。

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*

シャッタースピード・F値を決め、息を飲みシャッターを切ると、ピントが合っている被写体のエッジは驚くほど鋭く立ち上がりながらも、背景へとじんわり溶けていくボケ味には、どこか湿度を含んだような優しさが漂います。

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*

「CFV 100C」は、44×33mmのラージフォーマットセンサーに1億画素という圧倒的な画素数を誇ります。
今回組み合わせた「C 80mm F2.8 T*」でどこまで描写を引き出せるのか、最初は少し心配な部分もありましたが、完全に杞憂に終わりました。
むしろ、レンズが持つ豊かな「表情」を余すことなく包み込む程、このデジタルバックとの相性の良さを強く実感させてくれました。

光を整え、撮影リズムを崩さない、marumiのフィルターシステム

上高地の美しい水辺や険しい山々では、この中判センサーとCarl Zeissレンズの描写力をさらに引き出すため、marumi(マルミ)のフィルターシステムも一緒に携えました。今回使用したシステムは、「marumi マグネットホルダー M100」をベースにしたシステムです。

日中での撮影では、不要な光の乱反射が被写体本来の色彩や描写を曇らせてしまうことがあります。そこで活躍するのが 「C-PLフィルタ―」 です。
今回は「marumi サーキュラーPL for M100」をステップリングアダプターを介して使用。川面のギラつきを抑えることで、水底のグラデーションや透き通った空気感まで濁りなくクリアに写し止めることができました。

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*(marumi サーキュラーPL for M100 使用)

下の写真はC-PLフィルタ―の取り付ける前後での比較写真です。
C-PLフィルタ―で反射を抑えることにより、青空の深みを引き出し、木々の葉のテカリを抑え、更に水面の乱反射を取り除いて澄み切った水底や清流の美しさをありのままに切り取ることができます。
自然が持つ「本当の美しさ」を余すことなく写真に残したいなら、真っ先にレンズへ装着したい1枚です。

CPL有の写真CPL無の写真

C-PLフィルタ―無し
C-PLフィルタ―有り

また、「marumi サーキュラーPL for M100」を「marumi マグネットホルダー M100」に取り付けることで、その上から角型NDフィルターを取り付けられるようになります。
マグネットとなっているので、対応した角型フィルターであれば、着脱やグラデーションフィルターの上下調整も容易に行うことが出来る機能性の高いシステムです。

marumi 角形フィルター 100×150 リバースグラデーション ND8

今回の様な自然風景を中心とした写真撮影や、じっくりと被写体に向き合うVシステムだからこそ、こうした光を整えるギアの優れた機能性が非常に心強い味方となりました。

「不便だからこそ、夢中になる」——カメラと自分だけの濃密な時間

上高地の繊細な美しさを堪能したあと、続いて実家へ帰省。まず向かったのは、熊本の阿蘇です。

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*(marumi サーキュラーPL for M100 使用)
HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*(marumi サーキュラーPL for M100 使用)

日中の阿蘇では、草原の木々や葉っぱに反射する太陽光を抑え、被写体本来の鮮やかな色彩を引き出すために 「C-PLフィルター」 をメインで使用しました。
葉の表面のテカリが消えることで、阿蘇の深い緑と立体感が画面全体に美しく立ち上がってきます。

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*(marumi サーキュラーPL for M100 使用)
HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*(marumi 角形フィルター 100×150 リバースグラデーション ND8 使用)

そして夕刻、刻一刻と空の色が変わるマジックアワーのタイミングでは、「marumi 角形フィルター 100×150 リバースグラデーション」 を装着。
阿蘇外輪山の尾根に集中する最も強い光をリバースGNDでコントロールすることで、空の白飛びを防ぎつつ、夕闇に包まれゆく手前の高原風景を美しく残すことができました。

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*
HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*

また別日には、友人と一緒に由布岳へ。503CW・CFV100C・レンズ・単体露出計をリュックに詰め込んで登り切った山頂からの景色は格別でした。疲労困憊になりながらも、息を整えて慎重に露出を測り、ファインダーに集中して切ったシャッター。山頂で切り取った1コマには、苦労して登り切ったプロセスそのものが凝縮されています。

「オートフォーカスもない、手ブレ補正もない、露出も自分で測って合わせる必要がある」
現代の撮影スタイルから見れば、この組み合わせは「不便」とも言えるでしょう。

ですが、効率やスピードを求められる日常の中で、一球入魂のように被写体と向き合い、光を読み、呼吸を合わせて一枚を切るひととき。
便利さと引き換えに失われてしまった「写真を創り出す歓び」が、この不便さの中にすべて詰まっています。

撮り終えたあとに背面の液晶画面に表示された写真を見たとき、じわじわと湧き上がる確かな手応え。
これは他のどの最新カメラでも味わえない、格別の体験でした。

おわりに:半世紀の時を超えて、受け継がれる設計思想

HASSELBLAD 503CW + CFV 100C + C 80mm F2.8 T*

ハッセルブラッドの魅力は、単なる解像度の高さやスペックの数値にとどまりません。
数十年前に作られたVシステムのボディやレンズが、最新の1億画素デジタルバックと完璧に噛み合い、現代でも第一線で圧倒的な表現力を見せてくれる。この息の長い不変の設計思想にこそ惹かれます。

あえて手間のかかる所作を重ね、一発勝負で光と向き合う贅沢さ。
クラシカルなメカニズムと最先端のデジタル技術、そして光を整えるフィルターが噛み合ったとき、目の前に広がる風景はいつも以上に特別な表情を見せてくれます。
写真を創り出す原点にある歓びを、改めて深く刻み込んでくれる素晴らしい体験となりました。

効率や便利さから少し離れ、じっくりと被写体と向き合う豊かな時間。
皆様もぜひ体験してみてください。

[ Category:HASSELBLAD | 掲載日時:26年09月30日 17時00分 ]

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