【Kinoptik】A Piece of PREMIUM COLLECTION -Kinoptik Apochromat 50mm F2 (ライカL改造)-
MapCameraで取り扱う中古品の中で、流通数や生産数が少ない希少品や限定モデルなどに与えられる名称、「PREMIUM COLLECTION」。
本シリーズでは、A Piece of PREMIUM COLLECTIONと称し、そんな製品たちを一つずつ紹介いたします。
第十八弾となる今回は、「Kinoptik (キノプティック) Apochromat 50mm F2 (ライカL改造)」をご紹介いたします。
根強い人気のあるレンズ。今回はそんな魅力の一端に迫ります。
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Kinoptik Paris(キノプティック・パリ)は、1932年にジョルジュ・グロッセとジョルジュ・ペルテュイによって設立された、フランスを代表する高級光学機器メーカー。
映画用レンズ(シネレンズ)の分野で世界的にその名を知られ、現在は独立企業としての活動は終了していますが、そのレンズは現代の映画製作やオールドレンズ愛好家の間で長く親しまれています。

歴史は古く1932年にパリで創業したキノプティックは、当初軍事や研究用の高度な光学システムを製造していました。
1944年からは35mm映画カメラ用レンズの製造に注力。
1950年代から80年代にかけて、映画史を大きく動かしたヌーヴェルヴァーグや、巨匠スタンリー・キューブリックの傑作の傍らには、常にキノプティックのレンズがありました。
まさに映像表現の限界を押し広げ、映画の黄金時代を築いてきたメーカーです。
また、第二次世界大戦中にパリの工場が爆撃で破壊されるも、移転して生産を継続。
ナチス占領下では軍用カメラの照準器などの製造を余儀なくされた歴史もあります。
そして、1981年に創業者の息子が会社を売却。
その後、工業用・医療用光学機器などを経て、2003年にその歴史に幕を閉じました。

そんな歴史を辿ったKinoptikのほとんどのレンズが、アポクロマート仕様で設計されています。
アポクロマートとは、レンズの「色収差」を極限まで抑えるように設計された、非常に高性能なレンズシステムのことです。
カメラ用レンズ、望遠鏡、顕微鏡の世界では「最高峰の光学性能」の代名詞として知られています。
通常のガラスレンズに光を通すと、プリズムと同じ原理で、色ごとの波長によって光が曲がる角度が異なります。
この角度が異なることを収差と言い、収差を抑えるために特殊な低分散ガラス(EDガラスや蛍石など)を組み合わせ、「赤・青・緑」の3色それぞれの焦点をすべて1点に結合させています。
メリットとして圧倒的なシャープネスと正確な色再現、高コントラストを実現できますが、デメリットとしては蛍石や特殊低分散ガラスといった、製造コストが非常に高い素材を多く使用するため価格が極めて高くなり、レンズ本体の重量や大きさも大きくなることがあげられます。
※実は「アポクロマート」を名乗るための厳格な公的規格(ISOなど)は存在しません。
そのため、メーカーが独自の基準で「APO」と冠している場合もありますが、一般的には「3色補正」がなされているものを指します。

Kinoptik Apochromat 50mm F2 (ライカL改造)が発売された当時としては、極めて先進的な設計であり現在でも色収差の少ないクリアな描写が評価されています。
また大量生産を行わず、職人が一点一点手作業で仕上げるスタイルを貫いていました。
そのため製造本数が非常に少なく、希少価値が極めて高いのが特徴です。
鋭いピント面の一方で、背景に独特の「渦巻き状のボケ」や、印象派のような柔らかいボケ味が特徴です。

レンズの基本構造は、4群6枚のダブルガウス構成。
絞り開放(F2)から、フランス製レンズらしい精緻で非常にシャープな解像力を持っています。
線が細く、コントラストも現代のレンズとは異なる豊さで立体感のある階調がある反面、背景の距離によってはフランス系シネレンズ特有の「ざわつきのあるややグルグルとしたボケ味」や淡い色のりが現れます。
また、もともと35mm映画用(あるいは一部アルパ用など)として作られていますが、イメージサークルが広く、現代のフルサイズデジタルカメラでも周辺減光やケラレを気にせず贅沢にその描写を楽しめるのが特徴です

フランス映画の息吹を宿し、ライカユーザーをも虜にする「Apochromat 50mm F2」。
価格こそ高騰していますが、その圧倒的な歴史的背景と、映画のワンシーンのようなドラマチックな空気感を持つ唯一無二の描写に触れれば、多くの愛好家が「究極の50mm」と称賛し、憧れ続ける理由がきっとお分かりいただけるはずです。
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