
「ライカで写真を撮る」ということ。それは、重なる二重像に神経を研ぎ澄ませ、指先の微細な感覚でピントの山を捉える儀式のようなものです。しかし、体調や視力の変化、あるいは少し足早に過ぎゆく街の景色を前にして、「今日は二重像と向き合うのが少ししんどいな」と感じる日はありませんか。
そこに、救世主的に発表されたのが、M型ライカ史上初のEVF搭載モデル「M EV1」です。
発売から二ヶ月。改めてこのカメラを手に散歩へ出かけました。
お散歩のお供に選んだレンズは、アポズミクロン M75mm F2.0 ASPH.
これまで、レンジファインダー機で敬遠しがちだった、中望遠レンズを使ってみようと思いこちらのレンズを選択しました。
本レンズは、その汎用性の高さから報道など様々な用途で用いられており、中望遠の強みを活かした滑らかなボケ味と被写体を引き立たせる優れた立体感から、ポートレートレンズとしても名高いレンズとなっております。
そんなアポズミクロンはスナップレンズとしても非常に優秀です。
妥協なき写りを提供してくれる最高峰のレンズでありながら、軽量コンパクトなボディは、動きながら被写体を探すスナップにもばっちり対応してくれます。

肝心のM EV1との相性ですが、非常に良いと感じました。
筆者は目があまり良い方ではないので、レンジファインダーでの中望遠レンズのピント合わせに難儀していました。
M EV1ならば、拡大などのアシスト機能があるので、何不自由なくピント合わせが行えました。
また、新たに搭載されたFNレバー(従来のブライトフレーム切換レバー部分)に、拡大やピーキング設定を行うことで、撮影姿勢を崩すことなく、アシスト機能を呼び出すことができます。
レンジファインダー機の場合はブライトフレームで構図や撮影範囲を確認する必要がありましたが、EVFの場合は写真に写る部分を直接的に確認でき、思いがけない写り込みなどを防ぐことができます。
また、センサーに入ってきた光をそのまま確認できるので、露出を確認しながら撮影可能となり、より思いのままに撮影を行うことが可能です。

これまでのレンジファインダーでは、ピント合わせの都合上、どうしても「日の丸構図」に頼りがちでした。
しかし、画面の端でも拡大してピントを確認できるようになったことで、構図の自由度が飛躍的に高まったのは嬉しい誤算でした。

発表当初は、そのドラスティックな変化に「賛否両論」が巻き起こった機種でした。
正直に申し上げれば、筆者自身も実際に手にするまでは、一抹の疑念を抱いていました。
「これは本当にMなのか?」と。
しかし、実際に使い込んでみると、そこには紛れもない「M型ライカ」の魂が宿っていました。 指先に伝わる質感、シャッターの感触、そして生み出される絵。それは、ライカが積み上げてきた伝統と、現代のテクノロジーが最高の形で融合した姿でした。
フィルム、デジタル、そしてこのEV1。「第三のM」は、ライカを愛する私たちが、より自由に、より長く写真を楽しむための助けとなるはずです。
二重像のその先にある新しい景色を、ぜひ皆さんも体感してみてください。



