
【Leica】「ライカI」から100年、聖地・ウェッツラー訪問 | オスカー・バルナックの視線を追体験する旅
BEST BUY LibraryLeicaM11 / M11-P / M11-DMapCamera 31st Anniversaryやさしいカメラ記事単焦点を楽しむ夏旅夏満喫旅
マップカメラの31周年創業祭がついにスタート!日頃お客様からご愛顧をいただき、今年で31周年を迎えることが出来ました。創業祭に併せ、毎年テーマを決めてお客様に楽しんでいただけるシリーズブログを執筆していますが、2025年は「BEST BUY」がテーマです。
新しい機材との出会いは、いつも胸が高鳴るもの。しかし、選択肢が多すぎて迷ってしまうこともあります。この「BEST BUY」シリーズは、そんなあなたの疑問や悩みに寄り添い、本当に「買ってよかった」と思える逸品をマップカメラスタッフが厳選してご紹介します。性能、使い心地、そして所有する喜び。手に取るたびに新たな発見がある、そんな魅力溢れる製品の世界へ、ようこそ。
ライカを持つ人にとって、いつか必ず訪れたい場所があります。それがドイツのウェッツラー、ライカ本社の所在地です。昨年、私は「Leica M11」を手に入れました。自分にとっての“BEST BUY”を携えて、ライカの聖地を巡る旅に出たのです。近隣国で撮影する用事があり、日本から行くよりは近い!と無理をして日帰りドイツ旅の時間を捻出。他の国と言ってもヨーロッパ内での移動ですから、国内線のような気軽さでドイツに行きました。
なお今回の記事では、「Leica M11」で撮影された写真にはキャプションを付けています。
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
滞在している国の空港にて、小さな飛行機を待つ
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
まもなくドイツへ発ちます
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
赤い飲み物を際立たせるためには、この構図
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
閉まっている空港のレストラン内部をシャッター越しに撮影。テーブルに光が斑に当たる
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
フランクフルト・アム・マイン空港着。離れたところに駐機し、建物まではバスで移動します
1. Leicaの魂が宿る「ライツ・パーク」
ドイツのフランクフルト・アム・マイン国際空港から配車アプリでタクシーに乗り、向かうこと1時間弱。目の前に現れたのは、現代的でありながら、どこか温かみのある広大な敷地でした。ここが、ライカ本社をはじめとする複数の建物群がある、「ライツ・パーク」です。
敷地内には職人さんの作業風景をガラス越しに見学できるスペース、歴代のライカがずらりと並ぶ展示、ライカの哲学を学べるミュージアムとミュージアムショップ、ライカならではの作品が飾られたギャラリー、そしてカフェやホテルなどもあります。残念ながら、私が訪れた月曜日はカフェが定休日でした。以前このカフェで買ったというチョコレートをいただいたことがあり、ぜひ寄りたいと思っていたのですが残念です。
いまからちょうど100年前の1925年に、世界ではじめて35mmカメラが量産されました。それが「ライカI」です。最新のテクノロジーと、100年にわたって受け継がれてきた職人の手仕事が共存するライツ・パーク。その風景を切り取るのに複数のカメラを使いましたが、「M11」を使うたびに単なるカメラメーカーではない、ライカというブランドの奥深さを再認識させられました。私がこの「M11」を“BEST BUY”だと感じる理由は、ここにあります。それは単に高性能なカメラだからではありません。ライカの歴史、哲学、そして職人たちの情熱をすべて内包していると感じるからなのです。
それではライツ・パークの様子をお楽しみください。
ライツ・パークに到着
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
トレイルコースまである広い敷地に、ライカの赤バッジがついた建物が点在
ミュージアム、ギャラリーなどが入った建物
中に入ると、平面と立体で表現された円がお出迎え
屋外にもこのようなものがいくつかあり、見逃せません
自動ドアから入ると「100」のモニュメントで、「ライカI」から100年を表現
他にもたくさんの展示がありますが、訪れたときのお楽しみとさせてください。日本では敷地に入るのを制限されることも多いですが、ライカ社をはじめとする海外の企業はミュージアムを併設して歓迎してくれることが多くあり、嬉しい限り。
2. あのアイゼンマルクト、バルナックの視線
ライツ・パークを堪能した後、私は路線バスに乗り、数キロ離れたアイゼンマルクト広場へ向かいました。バスを降りるとライカのロゴマークがついた大きなビルが目に飛び込んできました。現在はライカマイクロシステムズの社屋で、以前はライツ社がここにありました。ライツ社のフォト部門が独立して現在のライカカメラ社ができたのです。しかし目的地はそのビルではありません。バス停から少し歩くと、古い石畳と可愛らしい建物が並ぶ、小さな広場が現れます。こここそ、35mmライカの物語が始まった場所です。
1914年、オスカー・バルナックは、ここで試作機「ウル・ライカ」を構えました。映画フィルムを転用した小型カメラ「ウル・ライカ」は、現在の35mmフィルムカメラの祖となりました。バルナックがこの広場で世界初の35mmカメラによる撮影を行った、という事実は今もなお語り継がれているのです。
そして、その時の風景が、奇跡的に今もあまり変わらぬ姿で残っています。石畳の広場の中央に建つ、白壁に茶色の木組みが美しい建物。白い桟が印象的な窓と、1階の優美なアーチを描くショーウィンドウが、まるでタイムスリップしたかのよう。そんな感覚に包まれながら、私もまた「M11」を構えました。地面には「UR-LEICA / FIRST LEICA PICTURE WAS TAKEN HERE 1914」と書かれたマンホールの蓋のような印があり、親切です。バルナックがかつて立ったであろう場所に立ち、彼が見たであろう風景を追体験する。「M11」のファインダー越しに、時を超えてバルナックと繋がっているような、不思議な感動が込み上げてきました。
「M11」で撮った写真を見返すと、ライカ社が公開しているバルナックの撮影当時の写真と、驚くほど同じ姿をしています。100年以上の時の流れで世界は大きく変わりましたが、ここアイゼンマルクトの風景は変わることなく、ライカの歴史を見守り続けてきたのです。
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
降りたバス停と、その奥に見える赤いロゴ
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
ライカマイクロシステムズ社屋には「Leica」のフラッグが揺れます
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
目的地に向かうも、正確な場所を知っているわけではないので彷徨います
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
アーチが綺麗です。奥にピントを合わせることで、あそこに誰かが現れるのではないかという物語性がでてきます
繋がっているのか別なのか、なんだか不思議な建物です
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
教会にもお邪魔しました
美しい曲面を描く立派な教会の天井
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
お店の奥の扉に、美しい光が当たります
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
存在感を放つ金色の白鳥が、道行く人を見つめます
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
ステージ衣装を着たマネキンが立つショーウィンドー
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
ついに、あの有名な写真と同じ広場を見つけました。同じように三角屋根の先を切って撮影
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
説明書きがありました。さすが聖地です
Leica M11 + ズミルックス M50mm F1.4 11714
足元には「UR-LEICA」。ライカの美しいフォントにもご注目
かわいいレストランの日陰で食事をする人々をうらやましく思いながら、帰路へ
そろそろ空港に戻らないと、宿泊しているホテルがある国への最終便にも間に合いません。うしろ髪を引かれながら、バタバタとアイゼンマルクトを後にします。せめてジェラートのひとつでも食べられたらよかったのですが、また訪れることとしましょう。
3. 私のBEST BUY「Leica M11」、そしてライカを持つ喜び
私はこの旅で「M11」をBEST BUYだと確信しました。それは単に写りが良いからだけではありません。ライツ・パークで感じた最新のテクノロジーと職人の技、そしてアイゼンマルクトで触れたライカの「始まり」が、このカメラには凝縮されているからです。
「M11」は、単なる道具ではありません。ライカの歴史そのものを手にしている感覚を与えてくれます。この旅では、正直に言って時間との戦いでした。フランクフルトからライカ社まではスムーズでしたが、アイゼンマルクトからの帰路は配車アプリが使えず、大幅に遅れるバスや電車を乗り継ぐという苦労がありました。
それでも、ライカの聖地を訪れた価値は十分にありました。苦労してでもその場所に辿り着き、「M11」でシャッターを切った一枚一枚に、この旅の記憶とライカ100年の歴史が深く刻まれています。この感動は、他のどんなカメラでも味わうことはできなかったでしょう。
「M11」は、私にとってかけがえのない相棒となりました。これからも、このカメラが多くの物語を紡いでくれることでしょう。そして、ライカを持つ喜びは、ただ写真を撮ることではなく、その一枚一枚に込められた深い歴史と哲学を感じることにあるのだと、この旅を通じて改めて実感したのです。
スタッフおすすめの「BEST BUY」お楽しみいただけましたでしょうか。連載はこちらの記事が最終回でした。今回の連載が皆さまにとって新たな製品と出会うきっかけとなれば幸いです。