
【Leica】完璧な写りに飽きた人へ ③ 6000万画素 SL3で味わう伝説の中望遠レンズ

『Leica Summarex L85mm F1.5』
第二次大戦中の1943年に発売。初期は軍事使用目的のため黒鏡胴でしたが、戦後クロームメッキに変更され、およそ4300本ほど製造されました。
「ズマレックス〈Summarex〉」という名称は、ラテン語の「Summa(最高)」と「Rex(王)」に由来します。
5群7枚という贅沢なレンズ構成で、真鍮削り出し、質量約800gの堂々たるフォルムは、まさに「王」の名に相応しい重厚な雰囲気を醸し出しています。

大型の純正円筒フード(ORQPO)はワンタッチで装着ができ、そのうえ逆さ付けも可能。コンパクトに収納できる凝った造りをしています。

製造当時のバルナックライカボディやM型ボディに装着すると、レンズの圧倒的な存在感ばかりが際立ってしまいます。
しかし、マウントアダプターを介してSL3に装着してみると、なんとも絶妙なホールド感。
80年前の技術者が、将来SL3というカメラが開発されることを見越してレンズを造ったのではないかとさえ思えるくらい、バランスよく手に馴染みます。

今回は、このズマレックス L85mm F1.5と6000万画素機 SL3の組み合わせで、街へと繰り出しました。
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・光を掴み、背景を溶かす「開放 F1.5」の世界

F1.5 1/2500秒 ISO100 STD
強い太陽光を画面上部に捉えると、オールドレンズ特有の美しい虹色のサークルフレアが画面を大きく横切るように現れました。
さらに背景の葉に反射する光は、細かな玉ボケに。それが渦を巻くように流れています。

F1.5 1/100秒 ISO100 CLS
こちらも背景の木漏れ日が、そろばん玉状のボケとなって盛大に出現。画面周辺に向かって独特の渦を巻くような輪郭を描き出します。
時計の文字盤や真鍮の質感を繊細に描きつつも、背景を幻想的な光の粒へと変貌させる描写力は、ズマレックスならではといえます。

F1.5 1/1000秒 ISO100 PURE
オールドレンズらしい柔らかいフレア感と、背景に見られる独特の玉ボケが、まるで油絵のような印象を与えてくれます。
現代のコーティング技術では消し去られてしまうこのような光の戯れこそ、クラシックレンズを愛でる醍醐味と言えます。
・光と影を立体的に描く質感表現

F1.5 1/5000秒 ISO100 PURE
日差しを浴びる鮮やかな造花とドラム缶。現代レンズのようなカリカリとしたシャープさとは一線を画す、どこかつややかにヴェールを纏ったような立体感が生まれました。
シャドウ部のグラデーションも滑らかで、強い日差しの中でも白飛び・黒つぶれすることなく、光の空気感そのものを表現しています。

F2.8 1/30秒 ISO100 BW+NAT
一転、モノクロで余分な情報を削ぎ落し、造形の美しさを狙いました。
暗部が潰れすぎず、明暗の滑らかなグラデーションが静けさと奥行きを強調しています。

F8 1/400秒 ISO100 BW+NAT
撮影場所は異なりますが、ぐっと絞り込んだ作例も。
SL3の高画素センサーにより、線路や建造物の細部までシャープに描き出しています。
上空の立体的な雲から街並みまで、輝度差を滑らかにつなぐ階調表現の豊かさも目を見張るものが。
およそ80年前のレンズながら、絞れば現代でも通用する凄まじい解像力と階調を持つことが分かります。
・滲みと切れ味が同居するスナップ

F2 1/4000秒 ISO100 PURE
店頭に並ぶぬいぐるみの柔らかな毛並み。開放付近で見られる柔らかな滲みが、ぬいぐるみのふわふわとした触感をより際立たせています。
ピントの芯は残しながら、その上に優しく光が乗るような独特の立体感です。

F5.6 1/25秒 ISO100 CINE
中望遠ならではの、ちょっと覗き込むような構図で一瞬を切り取ってみました。
カメラをホールドしたままタイミングを待ち続けましたが、グリップの大きなボディのおかげでバランスを崩すことなく、またフィーリングよくレリーズ出来ました。

F4 1/2000秒 ISO100 ETN
車体の鮮やかな赤色を捉えつつ、手前に重ねた植物の葉が柔らかい前ボケとなっています。
シャープな中に光沢の滲みも現れていて、しっとりとした空気感も感じられます。
・多彩なLeica Looksで、オールドレンズに新たな味付けを

F5.6 1/80秒 ISO100 PURE
レトロなポストのノスタルジックな佇まい。鋳物の重厚な質感やペンキの剥げ具合まで生々しく再現されています。
「Leica PURE」は最近加わったLook。Leica Fotosの解説に「CINEMA LOOK」と添えられているように動画撮影時の使用が推奨されていますが、静止画撮影でもそのクリアな色再現を楽しむことができます。
Pureの名の通り、目で見たままの色味に大変近いもの。通常の「Leica Standard」すら、かなり味付けされていると感じられるほどです。
そのため、このLookを使い出してから、私の標準は「Leica PURE」になりました。

F2 1/200秒 ISO500 CLS
ハイコントラストながら温かみのあるトーンで、硬調になり過ぎない「Leica Classic」。
ズマレックスの細密な質感描写と相まって「味のある」画になりました。

F2.8 1/500秒 ISO100 BW+NAT
バックの鏡像がなければポートレートで通用したかもしれません。
緻密なペイズリー柄や生地の質感をきめ細やかに捉えることが出来ました。
SL3の豊かな階調表現とズマレックスの柔らかな描写が混ざり合い、しっとりとした上品なモノクロ写真に。

F1.5 1/125秒 ISO500 ETN
鮮やかなコントラストと高い彩度が特徴の「Leica Eternal」は、ネオン撮影にもってこい。
開放ズマレックスの玉ボケと滲みで、雑多な街並みも情緒深く撮影出来ました。
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最新テクノロジーの結晶であるLeica SL3と、クラシックレンズの金字塔ズマレックス L85mm F1.5。
一見ミスマッチにも思える組み合わせですが、SL3の圧倒的な解像力と豊かなダイナミックレンジは、ズマレックスが持つ「柔らかな光の滲み」や「クセのあるボケ味」、そして「芯のある描写力」を余すことなく引き出してくれました。
写真に「空気」や「情感」を宿らせたい時、まさにベストなマッチングと言えます。歴史を重ねたレンズでしか描けない世界を、ぜひ体験してみてください。
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