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【徹底解剖】究極の一本を探して。|アポズミクロン世代別・個体差の比較レポート

【徹底解剖】究極の一本を探して。|アポズミクロン世代別・個体差の比較レポート

「いつかはアポズミ」——ライカユーザーにとって、このレンズは単なる光学機器を超えた、ひとつの到達点ではないでしょうか。
35mmフルサイズ界において、長年「世界最高の標準レンズ」と目されてきた「アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.」
その完璧な写りに疑いの余地はありません。しかし、だからこそ、ある「贅沢な疑問」を抱かずにはいられませんでした。

13年という歳月と、進化するデジタルプラットフォーム

アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.は、2013年のフォトキナで鮮烈なデビューを飾りました。以来、現在2026年に至るまで約13年間、途絶えることなく生産が続けられているまさにマスターピースです。
その一方で、この13年間でM型デジタルレンジファインダー機は劇的な変容を遂げました。M10モノクローム、M10-Rといった高画素機が次々と登場し、さらにはトリプルレゾリューションを搭載した「Leica M11」がその系譜を継いでいます。
特に60MP、36MP、18MPの3種類から記録画素数を選べる仕様は、フィルム時代から続くレンズそれぞれの「解像力の個性」に合わせた運用を可能にする、極めて素晴らしいソリューションだと感じさせられました。

しかし、ボディ側がこれほどまでに進化を遂げる中で、一つの疑問が浮かびました。
「アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.自体も、時代の変化に呼応して、密かにその姿を変えているのではないか?」
デジタル時代の現代において、工作精度は極限まで高まっています。ましてやライカが誇る至宝・アポズミクロンともなれば、どれを手に取っても等しく「正解」の感動が得られるはずです。
ですがあえて「完璧なレンズに、個体差は存在するのか?」をテーマに選びました。
4本のアポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.を揃え、同一条件、同一環境。微細なニュアンスの差を炙り出すための、比較検証を行ってみました。

あらかじめお伝えしておくと、これは公式なデータではありません。
あくまでマップカメラの店頭に並ぶ、ライカカメラジャパンの点検を経た個体を用いた「一ファン、一専門店としての探究」の結果です。同一条件を整えた4本のアポズミクロンが、どんな表情を見せてくれるでしょうか。

今回使用したレンズは下記の通りです。
検証個体(シリアルナンバー),製造年(推定)
No. 417XXXX,2012年
No. 420XXXX,2012年
No. 458XXXX,2015年
No. 491XXXX,2021年以降
※製造年はLEICA POCKET BOOK 9TH EDITIONを参照しています。

2012年に製造されたロットから2本、製造が安定してきた頃の2015年頃から1本、M10モノクローム、M10-Rが登場した2021年頃のロットから1本としています。

 コーティングチェック

まずコーティングチェックから。

過去のライカレンズからも製造年代によって前玉のコーティングの色合いが異なることは知られています。
しかしそれはフィルム時代のものだけだと考えていました。現行である本レンズについても並べてみると同じ年代でもコーティングの色合いに違いが見られます。

それぞれの個体の時代背景を整理してみると2012年、翌年のフォトキナで発表される前に製造されていた個体はLeica M9からM (Typ240)に移り変わる過渡期です。
いいかえるとCCDセンサーからCMOSセンサーへと移り変わる時期でした。
また、2015年にはMモノクローム(Typ246)が発売されています。2021年前後ではM10モノクロームとM10-Rが、そして2022年にはM11が登場しています。
あくまで推論ではありますが、当時のライカが目指す「理想の描写」の変化がこのコーティングにも表れているのではないでしょうか。
また、専門性の高い内容になりエビデンスが不確かなためここでは深くは触れませんが、EUで施行される環境規制も加わりその化学物質などに関する規制がコーティングに使える原料の変化・色合いの変化などに関わっている可能性もあります。

 フレア・ゴースト

次にコーティングによるフレア・ゴーストの違いについての検証です。
ボディはLeica M11を使用しました。検証に際しては光量の変化を考慮し、レンズをローテーションさせながら複数回撮影して平均的な描写であることを確認しています。

撮影設定は以下の通りです。レンズ検出:オート・F2 / SS1/1000 / ISO200 / WB5000K / セルフタイマー2秒にて三脚に固定し撮影

まず前提してはここまでフレアを出すためには極端に意地悪な角度で光を入れる必要があり、逆光耐性がそもそもが優秀だということを大前提としてご理解いただけますと幸いです。
それぞれのフレア・ゴーストの出方に違いが見られます。
2012年製造の個体については生産時期が同じにも関わらず、No.420XXXXの個体の方が大きくゴーストが出ています。
レンズのコーティングの色合いと出てくるゴーストの色合いには傾向があり、現代になるにつれて、コーティング色が落ち着いてきているように思います。
(※個人的な感想を述べさせて頂けるのであれば、No.420XXXXのフレアの色合いが所有しているズミクロン M50mm F2 3rdの出方に似ており好きでした!)

 細かな違い

 

 重さ

続いてはそれぞれの個体の細かな比較をしていきたいと思います。
重量に関してはリアキャップの重さ11gを除いた状態で比較しています。


ここではわずかながら個体によって違いが出ています。ライカカメラジャパンにレンズメンテナンスに出し調整している個体なので、グリスの塗布具合による違いでもないと思いますのでこの違いは気になります。

 内部仕上げ

 

続いて内部の仕上げについての比較です。

先程2g軽い個体の仕上げが他の個体と異なっていることが分かりました。

光に対して少し角度を付けて意地悪な入射光を入れた際の比較です。

<1回目>
<2回目>

2回検証していますが、結果は大きく変わらず。2021年~の個体は内面反射を見事に抑制し、コントラストが維持できていると感じます。

 最短撮影距離

続いて最短撮影距離の開放F値での撮影です。
撮影設定はすべて同じですが、コントラストの付き方に少し差があるように思われます。

他のシーンでの開放F2での撮影です。前ボケ・後ボケを入れての撮影ですが、後ボケの滑らかさが個体ごとに若干異なるように感じました。

<開放F2での撮影>

<F4にて撮影>

描写やボケ味に大きな違いは無いように見えますが、発色の傾向が少し異なり最新ロットに近くなるにつれ、暖色気味になるように感じます。

続いてズミクロンの得意とするようなリアルタッチな被写体での撮影です。
ここではモノクロ写真にして描写を比較しました。実はアポクロマート設計のレンズはモノクロ写真においてもその威力を発揮します。
軸上色収差が補正されることで色にじみが減り、線が細く描かれます。同時期にモノクロームモデルが発売されたのもそれを体感してほしいという意図があったのかもしれません。

<F2での描写比較>

<F8での描写比較>

最新ロットに近くなるにつれ、繊細な線になり、黒色のトーン、コントラストが力強くなっているように感じます。

M11のDNGは少しマゼンダ気味に触れる癖があると感じていて、以降は緑の色合いをライトルームで補正してより実戦的な比較をしています。

No.417XXXXは少しパープルフリンジ気味な部分があります。アポクロマートも発売時期によりその補正具合に違いがみられるようです。(逆光気味でかなり意地悪なシチュエーションですが…。)


モノクロ写真にしてみると印象がまた変わります。
どちらかというと線の繊細さに目が行ってしまいます。
先ほどと同じように最新ロットに近くなるにつれ、繊細な線になるように感じます。

アダプターを使用して

Leica SL2-Sシリーズにクローズフォーカスアダプターを使用して、最短撮影からさらに寄って撮影をしてみました。すべて開放F2での撮影です。
せっかくなのでこちらはフルサイズで見て頂ければ幸いです。

<No. 417XXXX><No. 420XXXX>
<No. 458XXXX>
<No. 491XXXX>

やはり母機を変えても色合いの傾向は最新のロットに近づくにつれて暖色傾向になっていると感じます。とはいえ、どの個体もレンズ設計で想定をしていない距離で撮影しているにも関わらず素晴らしい解像感です。

 実写してみました

その中でも気に入った個体「420XXXX」を使用して撮影していきました。
ここからは実際に使用して撮影しているのでいつも通りにDNGデータをライトルームでRAW現像しています。
この個体についてなぜ選んだかというと抜け感とゴーストの出方、コーティングの色合いが好きだったからです。この点に関しては個人の感覚となり、どの個体が正解だという話ではないと思います。

今回のテーマである「世代による個体差」についてですが、究極の解像力を追求するというアポズミクロンのコンセプトは共通しつつも、各個体におけるフレアの出方や、わずかなコントラストの違いを確かに感じ取ることができました。

一方で、実際に使用して感じたのは、どの個体を選んでもアポズミクロンであるということです。
そして、それぞれに作り手の想いと、ライカの光学に対する哲学が息づいているとも感じました。

この記事が、あなたが手にするその1本が単なる道具ではなく、「生涯のパートナー」となり得る理由を感じていただく一助となれば幸いです。



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[ Category:Leica | 掲載日時:26年03月26日 19時00分 ]

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