
ライカの最新世代M11をベースに液晶を排したモデルであるM11-D。
撮影した画像をすぐに確認することも、モニターでの設定もカメラ単体ではすることができないため、一見不便に感じます。
ではなぜ、M11-Dというモデルが存在するのでしょうか。
今回はその魅力を、表情の違う2本のレンズ「Leica ズミルックス M35mm F1.4 11301」「Leica ズマリット M50mm F2.4 ブラック」とともにご紹介していこうと思います。

お盆に入り、夏も盛りで暑い日々が続いていますが、うだるような暑さに負けず外へ撮影に出かけることにしました。
デジタル機で液晶モニターがないモデルを使うのは今回が初めてです。
実際にM11-Dで撮影してみて気づいたのは、普段の撮影がいかにライブビューに依存していたかということでした。最近はM型ボディでもF値の小さなズミルックスなどを使うことが多く、ピント精度を上げるために拡大表示や画面確認に頼り切りだったのです。 モニターに頼らないいつもと違う撮影体験にわくわくとしていきます。

ISO感度やシャッタースピードはオートにすることもできますが、今回はすべてマニュアルで撮影しました。
空と木陰のようにコントラストが強いシーンではどこに露出を合わせるか迷いましたが、今回は空を基準に設定。
雲のもくもくとした立体感をしっかりと捉えることができました。


ここでレンズを「ズミルックス M35mm F1.4 11301」に付け替えます。
こちらのレンズは「ライカ ズミルックス M f1.4/35mm」の初代、通称「スチールリム」を現代の技術で復刻したモデルです。
ハイライトの滲みや描写の柔らかさが魅力のレンズですが、レンジファインダーではどのような写真が撮れているのかその場では確認できません。
しかし「どう撮れているかがすぐに分からない」という感覚は、まるでフィルムカメラを使っているかのような楽しさがあります。
特にオールドレンズやクラシックな描写をオマージュしたレンズでは、フレアやゴースト、ぐるぐるボケといった強い個性が表れます。だからこそ、後からまとめて写真を確認する作業がより一層楽しみになります。
なお、スマートフォンアプリ「Leica FOTOS」と接続すれば、カメラの詳細設定や撮影データの確認も可能です。
すぐにスマホに繋いで確認したくなる衝動に駆られましたが、ここはぐっと堪え、M11-Dならではの撮影体験を味わうために確認は後のお楽しみとして取っておきました。


道中、夏らしいヒマワリが咲いていました。
大人の腰ほどの高さの小さめのヒマワリだったため、しゃがんで目線を合わせます。
F1.4の開放で撮影すると被写界深度は非常に浅くなるため、最短撮影距離付近でのピント合わせは慎重になります。少し視力に不安のある筆者ですが、今回は視度補正レンズを使用することでピント合わせが格段にしやすくなりました。
0.5刻みでラインアップされているため、視力に自信がない方でもレンジファインダーをストレスフリーで楽しむことができます。
▼視度補正レンズについて詳しくはこちら▼


レンズを再び50mmに戻し、街中のスナップ撮影へと移ります。
「Leica ズマリット M50mm F2.4」は、エントリーモデルという立ち位置で登場した、質量わずか190gの軽量・コンパクトなレンズです。開放F値はF2.4と特別明るいわけではありませんが、街中で主張しすぎず、テンポ良く撮影するには非常に取り回しの良い一本です。


ズミルックスM35mm F1.4 11301とは打って変わり、癖のないすっきりとシャープな描写を見せてくれます。 種類が豊富で世代による差も大きいライカのレンズですが、やはり「狙った通りの描写」を得やすいのは現代的なレンズだと改めて実感します。
気づけばあっという間に時間が過ぎ、「写真を撮ること」そのものに没頭している自分がいました。
絞り、シャッタースピード、ISO感度、そして構図。
シンプルだからこそ、写真撮影の原点のみと向き合ってシャッターを切る時間は、非常に心地よいものでした。



あたりも暗くなり、街灯の明かりが道路を照らし始めます。
ライカの機材で撮影すると、光を捉える能力の高さに毎回感心させられます。
できることが限られているからこそ、ファインダー越しに見える「目の前の世界」だけにどこまでも集中できる。
それこそが、M11-Dが提示する現代の贅沢な撮影体験なのだと実感しました。
帰宅してから、撮影した写真を確かめる時の高揚感。
便利になりすぎた現代だからこそ、あえて不自由さを楽しむ特別な一台として、M11-Dは間違いなく唯一無二の体験をもたらしてくれます。



