
【OLYMPUS/OM SYSTEM】ようこそ!アートフィルターの世界へ vol.2 クロスプロセス編
「 アートフィルターの世界は未だ可能性に満ち溢れている 」
アートフィルターそれぞれの個性に注目しつつ、撮影方法やレンズ選びも一から模索し、アートフィルターが醸し出す表現の世界へご案内する連載の第二回。
アートフィルターとは、OLYMPUS / OM SYSTEMのマイクロフォーサーズ機の全てに搭載されている、ピクチャーモードやモードダイヤルARTから設定できる個性豊かで多様な表現ができるカラーモードです。
まずは、この世界の入り口に立つために、アートフィルターに固定し割り切ってJPEGだけで撮影に臨んでみましょう。
ファインダーを覗くと、今までと違う景色が新しい自分の表現と出会わせてくれるかもしれません。
▼前回ご紹介したアートフィルターはこちらから▼
クロスプロセスとは、ポジフィルムにネガフィルム用の現像液で処理する写真技法です。普通の現像とは違い、色調の転調・ハイコントラスト・高彩度で普段とは違う世界観を表現できます。フィルムライクな写真を楽しめるフィルターです。
「クロスプロセス」は、何も考えずに撮ると色被りした写真になりやすく、画面内で光のイメージや色相を意識して撮影に臨むことが大切になってきます。
しかし、そういった色被りや彩度の高さも、このフィルターならではの個性として楽しみたいポイントです。
「クロスプロセス」は、ⅠとⅡの二種類で、転調する色相はそれぞれグリーン(Ⅰ)・マゼンタ(Ⅱ)です。
今回の記事ではクロスプロセスⅠの方に固定しております。

クロスプロセスでは、色調の転調を楽しみますが、撮影時にホワイトバランスを調整してみるのもいいアイデアです。
例えば、ホワイトバランス「日陰」はイエロー(Ⅰ)/レッド(Ⅱ)に寄り暖かみのある表現、「蛍光灯」は転調が弱まりブルー(Ⅰ)/バイオレット(Ⅱ)に寄り冷ややかな表現が得意になります。
上の写真はなんともない景色ですが、なんだか懐かしいような、記憶の中にある夏のような印象を与えてくれます。
アートフィルターの醍醐味は、ファインダーを覗いてもフィルター効果が適応されることです。
シャッターを切る前から完成後のイメージが確認できるため、普段は何気なく見ている景色も違って見えてきます。

先日、夢の島熱帯植物園へ行ってきました。ここでは、熱帯に生息する植物や世界遺産に登録された小笠原諸島の植物を見ることができます。
植物園の目の前には夢の島公園もあり、子供ものびのび遊べる場所でファミリー層におすすめな場所です。
今回使用したレンズは「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」です。
ボケの質と高い解像力の両立に徹底的にこだわった描写性能が特徴の大口径標準レンズ(35mm判換算 50mm)で、そのこだわりは14群19枚という贅沢なレンズ構成からもうかがえます。
F1.2開放時と絞った際では描写傾向が少し変わるレンズで、フィルムライクなクロスプロセスとの相性も良いのではないかと考え、今回は使用しました。
ボディは「OM-D E-M1 Mark III 」です。

夢の島公園で遊ぶ子供たちを見習い、筆者も遊ぶように撮影しました。白飛びが画面に奥行きやリズムを生み出し、アクセントとして効いてます。
アートフィルターは、感じたことを自然な発想で写真に落とし込む楽しさや、表現に対する挑戦の機会を与えてくれます。
マイクロフォーサーズの撮影時の手軽さ(小型軽量・強力な手ぶれ補正)も相まって、その機会にどんどんチャレンジできることに充実感があります。

建築は球体を切り取ったようなドーム型が魅力的で、光を多く取り込めるようにガラス張りとなっています。
クロスプロセスでは、ホワイトバランスを「蛍光灯」にするのが筆者のおすすめです。色の転調が弱まることで、比較的使いやすい場面が多いと感じました。
青みが強くなりますが、この写真では、ガラスのひんやりとした質感がより引き立ちます。

光が透け、葉脈が血管のように浮き出たところに目がいきます。
クロスプロセスの転調により色調がまとまることで、統一感のある写真となりました。また、発色の高さが、生命感を引き立ててくれています。
ホワイトバランスをAUTOに変更したことで、先ほどまでのひんやりとした印象とは異なる温度感も感じられます。

室内の通路から見える吹き抜けですが、建物の幾何形態との対比で存在感が際立っているように感じました。
コンクリートの隙間から生える雑草にも生命の強さを感じるように、この光景にも同じような力強さを感じました。
潤沢な光を受け、生を謳歌するようなイメージで撮影に臨みました。
ハイキーで撮影しましたが、クロスプロセスならではの光と空気感が重なり合い、写真全体をやさしく包み込んでいます。

煌めく小さな花々。F1.2のボケを大胆に。
花束としての量感は薄れていますが、画面いっぱいに散らばる花のボケが、咲き誇る花々の存在感を伝えています。

美しくにじむボケは背景を下手に主張せず、被写体の静かな佇まいを引き立てています。
「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」はこうした表現を得意とするレンズです。
「佇まい」は、ただ被写体を解像すればいいわけでなく、その場の空気感や、地面から立ち上がる重力・緊張感にリアリティーが宿ってこそ生まれてきます。
このレンズ、もちろん解像感も高いですが、あえて収差を活かした描写とボケのバランスが、そういった魅力を引き出してくれるのだと思います。

熱帯の家を再現した場所に、お面が飾ってありました。
こうしたお面は、美術史を辿ると、古来の呪術や魔除けなどの儀式に使用されており、筆者も以前から興味の対象です。
聖獣「バロン」でしょうか。表情豊かで癖の強いお面ですが、ホワイトバランス「蛍光灯」の爽やかな画作りがお面の赤を和らげ、強すぎず重くなりすぎないバランスで撮影できました。

傷跡の質感を、そして貫禄を。
オウギバショウの葉の付け根の部分です。オウギバショウは水を溜め込むことからタビビトノキとも呼ばれています。
クロスプロセスならではの光の質感や空気感が表れています。
このレンズはF2.8からの質感表現や解像感も素晴らしいですが、手前の葉を主張させたくなかったため、F2.2で撮影を行いました。

食虫植物エリアがあり、ウツボカズラなどの植物が見られます。
かわいらしさと不思議さを併せ持つ独特なフォルムが人を惹きつけます。

カフェスペースのひと時。
大温室の空間や滝の音と共にリラックスできる空間です。ホワイトバランスを「蛍光灯」に設定することで、涼やかな空気感が加わり、その場の心地よさをより印象的に表現できました。
最後に花草を。
マイクロフォーサーズは被写体に寄りやすく、小さな花や草木を主役として切り取るのに適しています。



– 光に呼応する –
クロスプロセスにはそんな言葉が似合います。
光源が潤沢な場所でさらに魅力を増すフィルターだと筆者は感じています。
クロスプロセスⅠは、これからの暑い時期にとてもおすすめできます。ぜひ、クロスプロセスでいつもと違う夏の景色を切り取ってはいかがでしょうか。
次回は、写真なのか絵なのか、そんなことを考えさせられるフィルターです。
お楽しみに。



