「マップカメラの世界」ではディープなカメラの世界をスタッフの視点からお届けします。
第4回目はEF85mm F1.2L II USMの魅力についてご紹介します。
動画内ではこのレンズならではの魅力について、詳しくお話ししています。
それではお楽しみください。
時は平成元年(1989)。始まったばかりのEFマウントに、衝撃的なレンズが誕生しました。
開放f1.2を実現した、オートフォーカス対応大口径中望遠単焦点、EF85mm F1.2L USMです。
この銘玉はたくさんのカメラ愛好家に愛され、ポートレート…中でもブライダルカメラマンの必殺の懐刀として活躍し、2006年にデジタルカメラ対応の為マイナーチェンジをします。
それが今回ご紹介するレンズ、EF85mm F1.2L II USMです!
早速動画内に登場した写真をご紹介。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
このレンズの初陣を飾ったのは、紅葉の高尾山でした。
枯葉や落ち葉も被写体へと昇華させるこのレンズの魔力に酔いしれながら、岩場を一所懸命登っていると
「こんにちはー!あ、それ、凄いレンズ!」
と声をかけられ、岩に片脚をかけて登ろうとした不安定な体勢のまま、見知らぬCanon好きの方と話し込んだのは良い思い出です。
初陣早々落とさなくて良かったです。
EOS-1D X Mark II+EF85mm F1.2L II USM
室内の透過光の下では類まれなる美しい描写をします。
生っぽさと立体感が高次元でバランスし、発色も良く文句の付け所が無い写りになりました。
手摺り越しに身を乗り出して撮影していますが、レンズ本体が太い為しっかりと握り込めたので、「落とすかも」といった不安は感じません。
蕩けるような前ボケが素敵です。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
三菱自動車のスペシャルティカー、FTOという車です。
動きのある曲線で構成された美しいボディラインが反射する光を、余すことなく描けました。
すこし絞り込んで撮影した為、シャープネスは充分。夜景撮影の醍醐味である光芒も出せました。
本レンズは8枚の絞り羽根により、ゴーストの光芒も8本。
仮に光源の数が増えても、煩くなりすぎない絶妙な本数です。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
大きく重いのでは…と心配の方もいらっしゃると思います。
たしかに単体で1㎏越えではありますが、そこは憧れのレンズ。ワクワク感で心が軽くなっているので重さは無視できます。
散歩中に頭上を通り過ぎる、伊豆諸島行きのプロペラ機も問題なくパシャリ。
絞り開放では大きな周辺光量低下がみられますが、これを利用すれば「中央は白飛びしているが周辺は適正露出」という写真表現が可能です。
・・・
ここからは動画内でご紹介できなかった写真をご覧ください。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
夏の日差しが店仕舞いする少し前、夕方とはいえまだまだ明るい海沿いに、沢山の車が並んでいました。
これはマツダのコンパクトセダンであるAXELAという車です。
絞り開放ですが凄まじい立体感を出してくれました。
ヤシの木(私はこの様な木を見ると全部ヤシの木に見えます)が風に吹かれ、落とした影がゆらゆらと揺れていたので、静止画だけではなく動画も撮ればよかったと少し後悔。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
秋の空気が心地よく肌をなでる神社の境内にて。
前ボケの見事な柔らかさ、後ろボケのスムースさが際立ちました。
「設計が古い大口径の中望遠単焦点」という事もあり、ピント位置の手前には紫、奥には緑のフリンジが見て取れます。
カメラボディの色収差補正を利用すればある程度抑え込めますが、このレンズを使うのであればそれも一つの個性と割り切って楽しんだ方が良いでしょう。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
山梨県笛吹川フルーツ公園から望む富士山です。
撮影は11月。紅葉真っ盛りのイチョウの下を練り歩き、遠く霞む山々へ目を凝らすのは何とも贅沢な体験でした。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
「サラブレッドに乗るか。アテンザに乗るか。」というキャッチコピーで登場したマツダのアテンザスポーツです。
ピクチャースタイルを大胆なものに変更し、ドラマチックに切り取ってみました。
磨き込まれた艶やかなバンパーが反射した光の美しさに、思わずため息。
出来れば所有してみたかった車です。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
漂うレトロ感のせいか、ブラウン管テレビに流れていた映像を思い出すシャッターです。
周辺減光が良い仕事をした好事例と言えるかもしれません。試しにレンズ補正で周辺光量を補正したところ何という事のない写真になってしまいました。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
まるで水面の様に見えますが、見上げた先の紅葉です。
様々な距離の葉が幾重にもにじみ、ボケの重奏と言える様相を呈しています。
こんな遊びが出来るのも、このレンズならでは。
EOS 6D Mark II+EF85mm F1.2L II USM
まるでオールドレンズのようなこのカットでお別れです。
賑やかな口径食、鮮やかな軸上色収差が画面を彩り、華やぎのある1枚に仕上がりました。
周辺へ向かってなだらかに溶けてゆくような描写は、まるで銘玉「Leica ズミクロン M35mm F2 (6枚玉)」のよう。
Canonのマウントアダプター 「EF-EOS R」を使用すれば、最新のミラーレス機でAFを駆使しこの描写を楽しむこともできます。
いつの日かこのレンズと共に、日本の四季を巡る旅をする事が夢です。
その時はどんな世界を見せてくれるでしょうか。今から楽しみでなりません。
主に使用したカメラはEOS 6D Mark IIです。
RFマウントのミラーレスで使用する方はこちらをご使用ください。
フィルターワークも楽しめます。反射率の低い高品質なものがおススメです。