SONYコーナースタッフが語るα7RIVの魅力【ナイトモノクロスナップ編】
2022年11月25日に大注目の高画素モデルSONY α7RVが新発売されました。
今までα7R・α7RII・α7RIIIをお使いだった方はもちろん、その他の機種をお使いの方は、「α7RVに買い替えようか…それとも値段が下がってお得に買えるようになった前モデルα7RIVにするか…」とお悩みの方も多いと思います。
そんななかマップタイムズでは、マップカメラ2階SONYコーナーのスタッフで前モデルα7RIVの魅力を連載形式で投稿していきます。どうしても新製品に注目しがちですが、実は前モデルにもたくさんの良いところが詰まっているので、その魅力を再発見できること違いなし!
すでにα7RVを購入済みの方は、当時α7RIVを手にしたときの気持ちを振り返って読んでいただけると嬉しいです。
各スタッフが撮影する被写体を決め、みなさんにお届けしていきます。
今回は【ナイトモノクロスナップ編】でお送りします!
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F2 / 露出時間:1/100秒 / 感度:1250
一般的に高画素機の弱点とされているのが「ノイズ耐性」です。
画素数が多くなるにつれて、画素ピッチと呼ばれる1画素あたりの面積が狭くなってしまいます。
画素の面積が小さくなると光が十分に届きづらくなります。
そうなると露出量の少ない時に感度をあげると乏しい光の量をさらに増幅することになるので
結果的にノイズが増えて、画が荒れてしまいます。
故に、高画素機は様々な工夫をすることによってノイズ耐性を身につけようとしています。
歴代のα7Rシリーズにおいても、世代によって裏面照射センサーの採用や、処理エンジンの向上によるノイズ耐性強化などがなされてきました。
α7RIVにおいても、高画素機とは思えないノイズ耐性を搭載しているので、すこしの感度増加においては十分クリアな画像が得られます。
しかし、根本的に低画素機と比べるとノイズを無視することができないのは変わりありません。
一般的には「嫌いたいもの、できれば出したくないもの」がノイズに対するイメージだと思います。
ですが今回は高画素機の弱点を逆手にとって、あえてノイズを出すことを目的に撮影をしました。
夜間のモノクロ撮影では明暗の差が激しくなります。いわゆるハードな硬い画の印象をつくりやすく、かつノイズを出すことによって、擬似的なフイルムの粒状感に近いものを再現しようと試みました。
様々ある写真表現の一部としてのチャレンジ。
そんな事を考えながら、夜の街をスナップしてみました。
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F2 / 露出時間:1/1600秒 / 感度:12800
かなりアンダーよりな画面構成ですが、路面にこぼれた街灯の光が被写体を印象的に浮かび上がらせています。
使用感度は12800。アンダー部分の黒はほぼ完全に潰れています。今回はJPEG撮って出しのデータとなります。RAWデータ収録で現像処理にてアンダーを持ち上げればもう少し階調が出たのかなとも思いましたが、はっきりと黒を潰してしまうのも個人的には好みなので、これはこれでよいと思えました。
ハイライト部のグレー階調の中にノイズを感じとることができます。
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F2 / 露出時間:1/1600秒 / 感度:12800
街灯の基礎部分に注目して撮影をしました。
平面状の均一な色の物体ではノイズは目立ちやすくなります。
オリジナルデータではもう少しザラっとした印象が画面全体に漂っています。
デジタルノイズはフイルムの粒状感とはまた違った雰囲気になりますが、モノクロ撮影との相性は良いように思えます。
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F2 / 露出時間:1/400秒 / 感度:5000
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F2 / 露出時間:1/250秒 / 感度:1250
今回の使用レンズはVoigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical E-mount。
Eマウントのレンズラインナップにおいても高い解像力を誇る人気レンズです。
感度は低め、絞りは開放ですが、十分にシャープかつ質感表現がしっかりとできています。
夜の暗さは、このような白い被写体を捉えるのに非常に好都合です。しっかりと沈んだアンダー部が白い被写体を立体的に持ち上げます。
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F2 / 露出時間:1/60秒 / 感度:6400
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F4 / 露出時間:1/80秒 / 感度:3200
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F4 / 露出時間:1/250秒 / 感度:12800
街にスナップに出ると、行き交う人々の足下を撮影したくなります。
人によって歩き方に特徴があったり、急ぐ人、のんびりな人、複数人で歩く人など様々な表情が足下から見て取れます。
こういった撮影をする際には、フォーカス制御はマニュアルで置きピンをして、露出時間を長くしたり、短くしたりと表現に差をつけて撮影します。
格子状に並んだタイルにノイズがのって非常に印象的な画となっています。
今回撮影した写真の中で、一番ノイズを生かした画作りができたと気に入っている一枚です。
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F2 / 露出時間:1/640秒 / 感度:500
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F2 / 露出時間:1/250秒 / 感度:2500
MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 / 絞り:F3.5 / 露出時間:1/250秒 / 感度:4000
質感をしっかり表現できるレンズとノイズによる有機的な雰囲気。
デジタル写真ではありますが、このような表現もできるのかと改めて写真表現の幅の広さを感じました。
普段は避けたいノイズですが、考え方を切り替えて、ノイズと友達になってみるのはいかがでしょうか。