
【Nikon/Canon】Nikon vs Canon。速さのRFか、芯を喰うZか。私が70-200mm F2.8でNikonを選んだ「一瞬」の真実
2月24日、CP+を直前に控えた中でNikonから突如発表された「NIKKOR Z 70-200mm F2.8 VR S II」。
今月の発売を控え期待が高まりますが、このタイミングだからこそおすすめしたいレンズが旧型の「NIKKOR Z 70-200mm F2.8 VR S」。
蛍石レンズ1枚、EDレンズ6枚などに加え、大口径超望遠レンズに採用されてきた実績のある最新鋭の「SRレンズ」を採用し、効果的に色にじみを抑制した贅沢な18群21枚のレンズが写しだす世界をお楽しみください。
「大三元レンズ」それはプロカメラマンやハイクオリティな写真を求める方々にとって無くてはならない存在です。
それゆえに各メーカーも技術の粋を尽くして開発に取り組んでおり、大三元レンズの歴史はカメラの歴史と言い換えても良いくらいでしょう。
狙った一瞬のシャッターチャンスを外さないために、どのメーカーのレンズが自分に合っているのか迷われる方も多いはず。
今回はそんな悩める皆様に向けて、Nikon vs Canonと題して2つの‟70-200mm F2.8”を比較していこうと思います。
レンズ紹介
1.外観・ハンドリング


まずは「NIKKOR Z 70-200mm F2.8 VR S」から見ていきましょう。
その特徴は、揺るぎない“剛性感”。
Nikonは従来の一眼レフ用レンズと同様、ズームしても全長が変わらない「インナーズーム」を採用しています。
メリットとして、重心が常に一定で、構えた時の安定感が抜群です。
また、隙間からのゴミや湿気の混入リスクが低く、過酷な環境での信頼性は頭一つ抜けています。


続いて「RF70-200mm F2.8L IS USM」を見ていきましょう。
その特徴は、驚異の“機動力”。
Nikonがインナーズーム方式を採用したのに対して、Canonはズーム時に鏡筒が伸びる設計を採用しました。
これにより、持ち運び時は標準ズームレンズに近いサイズ感になります。手持ちでの長時間撮影や、登山のパッキングには最高です。
2.スペックシートによる比較
次に、両者のスペックを比較してみましょう。
数値に着目することで、両社がユーザーにどんな撮影体験を提供しようとしているかが明確に分かるはず。
| レンズ名 | Nikon NIKKOR Z 70-200mm F2.8 VR S |
Canon RF70-200mm F2.8L IS USM |
|---|---|---|
| 最大径×全長(収納時) | 約89mm × 220mm | 約89.9mm × 146mm |
| 重量 | 約1,360g (三脚座含まず) |
約1,070g (三脚座含まず) |
| ズーム方式 | インナーズーム (全長不変) |
繰り出し式 (ズームで伸びる) |
| AF駆動方式 | マルチフォーカス (STM×2基) |
電子式フローティングフォーカス (ナノUSM×2基) |
| 手ブレ補正 | 5.5段 | 5.0段 (協調補正で最大8.0段) |
| 最短撮影距離 | 0.5m (70mm時) 1.0m (200mm時) |
0.7m (全域) |
| レンズ構成 | 18群21枚 | 13群17枚 |
| 特殊コーティング | ナノクリスタル / アルネオ | ASC / フッ素コーティング |
| 最大撮影倍率 | 0.2倍 | 0.23倍 |
| テレコンバーター対応 | 〇 | ✕ |
Canonは圧倒的な「小型軽量」を実現しています。
収納時の146mmという短さは、カメラバッグの選択肢を広げ、移動の負担を劇的に減らしてくれるでしょう。
対するNikonは、あえて「大きく重い」設計を維持しました。
その理由は、光学性能への妥協なき追求と、プロが求めるインナーズーム方式へのこだわりです。
全長220mmという数字だけ見ればCanonに携帯性で劣りますが、ズームをしても重心が変わらないという強みがあります。
激しく動く被写体を追う際、レンズが伸び縮みしてバランスが崩れることがない。
この「重心の安定感」こそが、プロの求める安心感につながります。
またレンズ構成を見ると、Nikonは色収差を徹底的に抑え込む「SRレンズ」や「蛍石レンズ」を惜しみなく投入しています。
Canonが「軽さによる速さ」を追求したのに対し、Nikonは「重さを厭わない解像感」を重視したのです。
スペックシートに並ぶレンズ枚数の多さは、そのまま描写の“厚み”へと直結しています。
3.中古価格

最後は、現在の中古価格(2026/4/12現在)を比較してみましょう。
○ RF70-200mm F2.8L IS USM: 約30万〜32万円前後
Canonの方がやや高価な傾向にあります。これにテレコンバーターの運用を考えると、さらに差が開きます。
「RF70-200mm F2.8L IS USM」は構造上、テレコンバーターが装着できません。
400mm付近をカバーしたい場合、Nikonはテレコン一枚で済みますが、Canonは別途100-500mmなどを持ち出す必要が出てきます。
この拡張性の差は、コストパフォーマンスに大きく影響するでしょう。
作例
ではここからは、作例を交えてこの2本の描写を比較していきたいと思います。
使用したボディは「Nikon Z8」「Canon EOS R5 Mark II」です。


まずは動きの速い、小さな被写体を選んでみました。「オグロプレーリードッグ」です。
餌を食べる際には周囲を警戒しているのか、常に立ち上がって周囲を見渡せるようにしていますが…


急に違う場所へとかけて行ったり、巣穴を出たり入ったりと、忙しなく動き回っていました。
終始3Dトラッキングや被写体検出といった追従AFを駆使しての撮影でしたが、どのシーンでもプレーリードッグの目にピントがしっかりと来ています。
どちらのレンズもボディの性能をしっかりと引き出していますが、気持ちCanonの方が認識してからの追従スピードの速さや食らいつきの良さを撮影していて感じました。


スペック上の速さなら、Canonの「ナノUSM」によるAFは確かに驚異的です。
しかし、私がNIKKOR Z 70-200mm F2.8 VR Sを手にした瞬間、ファインダー越しに感じたのは「像の厚み」でした。
Nikonの新開発したSRレンズ(短波長高屈折レンズ)は、色収差を極限まで抑えることができます。
これにより、被写体のエッジが不自然に浮かず、そこに「在る」かのようなリアリティが生まれるのです。
筆者の感じた「厚み」はここに起因するものでした。


柵越しの撮影という、AFの追従が難しいシーンで比較してみます。
やはりここでもCanonの追従性能が光りました。被写体と柵が近い状態でも変わらず安定した追従をして見せます。
Nikonの場合、一定の周期で柵にピントを取られてしまう事があり、一度画面から外して再度撮影をするか、上の様にアップにして画面内の被写体の占有率を上げる必要がありました。
ただ注目したいのは、Nikonのピント精度の高さです。
Canonは追従性能さえ良いものの、連写を見返すと所々ピントを追い切れていない部分が目立ちました。
Nikonの場合、追従している間にピントを外す割合がかなり少なく、しっかりと「芯を食う」感じ。
言い換えればCanonは「速度優先」、Nikonは「ピント優先」な印象を受けました。


続いては同じようなカットを撮影して、レンズの描写を比較していきます。
ちょうどトラが気持ちよさそうに昼寝をしていたので、普段見えない肉球にピントを合わせて撮影。
今回はトリミング等を除いてほぼ撮って出しのため、両社の画作りの違いが明確に現れています。
Canonはハイライトが際立つような明るめの露出で、ピント面から前後に華やかなボケが広がります。
写真全体にふんわりとした明るい印象を受けます。
Nikonは逆にローキーかつコントラストが高めで、トラの体毛1本1本が細部まで描写されています。
ボケ味はCanon程の華やかさはありませんが、前後になだらかに繋がるボケのグラデーションが魅力的です。
よりリアリティを追求した写りと言えるでしょう。


親ゴリラを撮影していたところ、こちらに興味を示した子ゴリラが近づいてきて、さながら撮影会のようなポージングを決めてくれました。
人物撮影に見立てて比較して見ます。
Nikonは顔の細部までしっかりと描写しており、まるでそこにいるかのような存在感と重厚感。
Canonは被写体全体のバランスが取れた、いわば安定した写りをします。輪郭や細部よりも被写体の表情など、より内面的な魅力を引き出しているように感じます。
アプローチの仕方は違えど、そこにある被写体をより良く写真に収めようという理念は、互いに変わらないものがあるのだと感じました。



撮影を進めるにつれて、段々とNikonの写りに惹かれていく自分がいました。
確かにCanonと比べて撮影に苦しむシチュエーションがあったり、長時間の撮影でレンズ自体の重さも感じ始めてきていたりと、デメリットを感じる場面もあります。
しかし、AFが追従しているときの合焦精度の高さ、構えた時の変わらない安定感とリアリティを追求した描写力が、「撮った一枚の質を極限まで高めてくれる」ように感じ始めていたのです。
最後はレッサーパンダの撮り比べです。
ほとんど止まることなくグルグルと歩き続けている彼らのふとした瞬間や表情を、どう描き分けるのでしょうか。



1枚目の顔が隠れた状態でも、Canonはしっかりと追従を外すことなく追い続けます。
2,3枚目では奥から歩いてくるところを捉えて、開放F値の大きなボケで被写体の持つ柔らかさを演出します。
やはりCanonは柔らかで明るい印象を与えるのが得意なようです。



対してNikon。やはりリアリティを追求したコントラスト高めの写りです。
被写体を余すところなく描写するかのような解像感、こちらに近付くに連れて薄くなるピント面を捉えて離さないAF性能は、一瞬のシャッターチャンスを最大限に活かすような撮影に効果を発揮してくれます。
それにしても、ここまで描写の違いが浮き彫りになるとは思いもしませんでした。
Canonはどこか「キャラクター性」を感じるような愛くるしさを内包した写りに。
Nikonはレッサーパンダの本来持つ「野性味」を引き出してくれています。


撮影が終わる頃には、NikonのAF性能の上手な引出し方が分かってきたのか、AFの迷いも少なくなっていました。
手前に金網があるようなシーンでも迷うことなく目にピントが来ています。
まとめ
数値や作例を交えて2本を比較してきましたが、いかがでしたか。
CanonのRF70-200mm F2.8 L IS USMは、その軽さと速さで「撮れなかったものが撮れるようになる」レンズです。
一方でNikonのNIKKOR Z 70-200mm F2.8 VR Sは、その安定感と描写力で「撮った一枚の質を極限まで高めてくれる」レンズだと感じています。
私が求めたのは、一瞬の速さ以上に、その一瞬をどれだけ深く、芯まで捉えきれるかという手応えでした。
220mmの長い鏡筒を構え、インナーズームの滑らかな感触を指先に感じながらシャッターを切る。
その時、このレンズは私の体の一部になります。
重さという対価を払ってでも手に入れたい「真実」が、NIKKOR Z 70-200mm F2.8 VR Sには宿っていました。
皆さんは、その「一瞬」に、何を託しますか?
「Nikon NIKKOR Z 70-200mm F2.8 VR S」の作例記事はこちらからご覧いただけます。
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