Nippon kogaku japan 5cm f1.4 の音色
Nippon kogaku japan nikkor-s.c 5cm f1.4 ライカLマウント(写真右)
日本光学工業株式会社(現ニコン)は、戦後の一定期間、他社用にLマウントのレンズを供給していましたが、
自社用Sマウントレンズには無くて、一部のLマウントレンズにしかないものがあります。
古いレンズがお好きな方はピンとくることと思いますが、それは、ピントリングのストッパー機構です。
今回は、少々マニアックですが、このストッパー機構の音色についてです。
個人的にゾナー型のレンズの写りが大好きで、5cm f1.4のこのレンズを愛用しているのですが、
写真を撮る際に、このストッパーが煩わしくもあり、この優しい感触が楽しくもあります。
だいぶ使い込まれた個体であるため経年変化で優しい感触になっているのかもしれませんが、
このストッパーの定位置に戻す際の音も佳いのです。
このストッパー機構、ライカのズマリット50mm F1.5などにもあるですが、ノブに指を当てて戻す際は、
ライカが精密感ある「カチン」という高く響くような乾いた音色に対して、
ニッコールは「カチッ」という、やや低くやわらかい優しい音色。
ライカ同様、精密感溢れる感触や音だろうと思い込んでいただけに、このニコンの優しさは意外でした。
ストッパーにノブが固定されている状態
ストッパーからノブが解除された状態
個体ごとの製造年数はわかりませんが、1951年から製造されていた為、初期ロットであれば70年近い年月が流れていることになります。
このレンズが新品として売られていた時、どんな音色を響かせていたのでしょうか。
もっと精密感ある音色だったのか、それとも当初から優しい音色だったのか、今となっては確かめる術もありません。
凛と空気が張り詰める冬の夜、クラシックレンズの描写だけではなく、その音に耳を傾けてみてください。
レンズそのものが駆け抜けてきた時代に想いを馳せるのも、またひとつのレンズの楽しみです。
もちろん描写そのものも、3群7枚のクラシックゾナーらしい、開放ではとても雰囲気のある描写をしますので、
撮影でも楽しめるのは間違いありません。
Voigtlander BESSA R3A, Nippon kogaku japan nikkor-s.c 5cm f1.4(L)
Sony α7, Voigtlander VM-E クローズフォーカスアダプター,
Nippon kogaku japan nikkor-s.c 5cm f1.4(L)
※さらに初期のロットには、Nippon kogaku Tokyo銘のレンズが存在しますが、筆者は未だ実物に巡り会えた事がありません。
※音の感じ方には個人差がありますので、ご了承ください。また、ピントリングを掴んで戻すと音色の印象は変わります。
※当店では、同レンズの商品名を Nikon (ニコン) NIKKOR-S.C (L) 50mm F1.4と表記しております。
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