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【OM SYSTEM】天体専用機で撮る赤い星雲が写る理由

【OM SYSTEM】天体専用機で撮る赤い星雲が写る理由

2026年2月27日、新たなカメラが発売されました。
OM SYSTEM の『OM-3 ASTRO』です。
ベースは『OM-3』。しかしその中身は、明確に“天体撮影のため”に設計された一台です。

星を撮り慣れてくるほど、ある壁にぶつかります。
天の川は写る。
けれど、赤い星雲の赤がどうしても淡い。

センサー前のIRカット特性やカメラ側の色再現の影響で、散光星雲の肝心な赤はどうしても弱くなりがちです。後処理で持ち上げることはできますが、素材として最初から十分な情報があるとは言い難い場面もあります。
OM-3 ASTROは、その部分に真正面から手を入れています。
天体撮影を前提にセンサー前のIRカットフィルターを最適化し、星雲撮影で重要なHα線の透過率を約100%に調整。用途を明確に絞り込んだ設計です。
今回はこの『OM-3 ASTRO』で、ばら星雲と天の川を撮影しながら、その狙いがどこにあるのか見ていきます。

OM-3ASTROとOM-3の外観写真

まず整理しておきたいのが、『OM-3』との関係です。
ボディの基本性能や操作系は共通しています。サイズ感や重量バランスも同じ。星景撮影(地上の風景を含めて撮り、風景と星空を主題として撮影する写真)であれば、『OM-3』でも十分対応できます。
違いはセンサー前のIRカット特性です。
『OM-3』は日常撮影とのバランスを重視した設計。一方で『OM-3 ASTRO』は、Hα透過を大幅に向上させています。結果として、散光星雲の赤の出方は明確に変わります。
日常も含めて使うなら『OM-3』。星野撮影(地上の風景を含めず、星座や星雲・星団などの星空のみを主題として撮影する写真)の比重が高いなら『OM-3 ASTRO』。選び方としては、かなりシンプルだと思います。

OM-3ASTROのASTROバッチの寄り写真

『OM-3 ASTRO』の要は、やはりHαへの最適化です。赤い星雲の発光成分を捕らえるように設計されているため、一般的なデジタルカメラでは難しい星雲の色と形を、より鮮明に写し取ることができます。一方で、メーカー側も「Hα透過を大幅に向上させているため赤味が強い描写になりやすい」と明記しており、日常用途を主目的にするカメラではありません。星を撮るために割り切って尖らせた。その方向性が、『OM-3 ASTRO』という機種を分かりやすくしています。

オリオン大星雲を捉えた写真

オリオン大星雲 (M42, NGC1976)
OM SYSTEM OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO

天体撮影は、暗さとの戦いである前に「時間との戦い」です。現場で設定を追い込むほど撮影のテンポは落ち、撮影のチャンスは短くなっていきます。撮影してると常々思いますが星の沈むスピードが思っているよりも早いのです。さらにそれに加えて刻々と変わる天気や雲の動き。ゆっくり時間をかけてる場合ではないことも多いです。
『OM-3 ASTRO』はここをよく分かっていて、カスタムモードC1〜C3に天体・星景向け設定がデフォルトで組み込まれており、カラープロファイルもColor1(赤い星雲向け)/Color2(星景向け)をプリセットしています。つまりカメラを構えて撮影するまでの時間が短いのです。星景から星雲へ移る時も迷いが減るため、個人的には、この迷わずに撮影に入れる設定が一番ありがたいと感じました。

夜空に浮かぶバラ星雲の様子の写真

さて、いざ星雲を撮ろうと構えてみるも星図を見ると至る所にあります。ただその見かけ上の大きさは大小さまざまで、狙いの星雲を捕捉しようにも河原の石から一つの石を見つけるように大変です。 と、思っていたのですが、ひとまずと思い『M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO』の広角端の50mm(35mm判換算100mm)で宙を撮ると、驚くことにこの時点から赤い星雲が写ったのです。一度見つけてしまえばこちらのもの。落ち着いてセンタリングし、ゆっくりと望遠側にズームリングを回します。

ばら星雲の縦写真ばら星雲の横写真

ばら星雲 (NGC2237-9, 2246)
OM SYSTEM OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO

Color1(星雲向け)にセットすると、赤を強調するというより赤を確かに拾う方向で調整されているのが印象的です。星空は派手に彩度があるより、情報がきちんと残っている方が後処理で対応できるのでこの自然な感じがベストでした。ばら星雲が赤いのは中心部にある若い高温の星々から放出される強力な紫外線が、周囲の水素ガスを電離させ、波長656.3nmの「Hα(アルファ)線」と呼ばれる赤い光を放つためです。Hα透過ボディらしく、淡い赤の層が残り、星雲の輪郭がはっきりと見えます。

超広角レンズで撮った天の川の写真

天の川
OM SYSTEM OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO + BMF-SE01

焦点距離17mmで撮影した天の川の写真

天の川
OM SYSTEM OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO

星景向けのColor2にすると、星が際立つようになり、星空の存在感が増します。星座を狙っても良し、単純に星空を撮っても良し。多様に使えるColorに感じました。天の川の撮影は、望遠レンズである『M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO』から超広角レンズの『M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO』と準広角レンズの『M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO』に切り替えて撮影をしました。特に『M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO』の広角端7mm(35mm判換算14mm)は広く写せる反面、一つ一つの星は小さくなってしまいます。ところが、Color2、そして別売りのボディマウントソフトフィルター『BMF-SE01』を装着することで星の存在感がありながらも天の川を写すことができました。

2種類のボディマウントフィルターの写真

【左】ボディマウント光害カットフィルター BMF-LPC01、 【右】ボディマウントソフトフィルター BMF-SE01

2種類のボディマウントフィルターをボディに装着した写真

ボディマウントフィルターを装着した様子。ボディのセンサー前にはめ込むような形で装着する。脱着は左右の爪を掬うように抜き取る。

OM-3 ASTROは、別売りの
・『ボディマウント光害カットフィルター BMF-LPC01』
・『ボディマウントソフトフィルター BMF-SE01』
にも対応しています。
重ね付けはできませんが、このセンサー側(レンズリア側)装着という構造は天体撮影では理にかなっています。フロント側にソフトフィルターを装着すると、広角域では周辺が流れるように見えることがあります。また、レンズによっては前玉のレンズの形の制約で装着自体が出来ない場合もあります。その点、ボディマウントであれば光学系の後段で作用するため、画像周辺への影響を抑えやすいです。特に星景撮影では画面周辺の星像が崩れると印象が大きく変わるため、この点は実用上のメリットと言えます。光害カットフィルターも同様です。都市近郊での撮影では、空のベースを整える意味で有効ですし、フロント側に装着できない超広角レンズとの組み合わせでも使えるのはありがたいところです。

M81とM82の写真

【画像中央右】葉巻銀河 (M82, NGC3034)、 【画像中央】M81 (NGC3031)
OM SYSTEM OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO

星野写真を撮っていくとそれまで星景写真では意識していなかった天体にまで興味が沸きます。『M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO』の望遠端200mm(35mm判換算400mm)で捉えたのは葉巻銀河(M82, NGC3034)(画像中央右)と呼ばれる天体とM81と呼ばれる銀河(画像中央)です。細長く見えるM82天体はその形から葉巻銀河と呼ばれています。そしてその横に円盤状のM81。地球から葉巻銀河までは1200万光年離れています。「光が1年かかって進む距離」が1光年。光は1秒間に約30万km進み、1光年は距離にすると約9兆4600億km。それが1200光年ですから途方もない距離で離れていることが分かります。そんな葉巻銀河(M82)ですが、数千万年前にM81とM82は接近遭遇し、M82は巨大なM81の重力の影響を受けて変形させられています。そんな天体から発せられた光が今こうやって観測できていることにロマンを感じます。『M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO』は分解能が高いだけでなく、望遠端でも開放F値F2.8と明るいながらレンズ自体も軽量で今回撮影で使用したKenko スカイメモTでも難なく使用することができました。ただ400mmをもってしてもこの大きさでしか写りませんでした。次はもっと長い焦点距離のレンズでリベンジしてみたいです。この点もマイクロフォーサーズシステムの利点がでており、35mm判換算が2倍になるからこそレンズも小型のまま望遠を使用することができるので、カメラの重心や三脚の耐荷重を比較的気にすることがありません。

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PROを装着したOM-3 ASTROの外観写真

OM-3 ASTROでは、12枚合成で約5,000万画素の画像を生成する「手持ちハイレゾショット」を、あえて三脚や赤道儀固定で使い、日周運動や追尾誤差を補正した合成画像がボディ内で得られます。後処理でスタックする方法ももちろん強力ですが、ボディ内で完結できる運用は撮影スピードを上げるうえで非常に使えるものだと思いました。最大で約2段分のノイズ改善が得られたり、日周運動によって生じる星の移動が補正されたりと良いこと尽くしです。またPCの処理が難しいと感じる方でもボディ内で完結できるので天体撮影のハードルが下がるように思います。
しかし一方で、メモリーカードに残るのは合成後のRAWとJPEGのみ。撮影された12枚の元データが保存されるわけではありません。つまり、後処理で自身でスタックやノイズ処理を追い込みたい場合は、ハイレゾショットではなく通常撮影で必要枚数を個別に撮るほうが自由度は高いでしょう。
ボディ内で完結させるか、
後処理で詰めるか。
ここは撮影スタイルによって選択が分かれる部分だと感じました。

OM-3 ASTROの外観写真

星空撮影は、天候次第です。
今回の撮影期間も決して条件が良いとは言えず、思うように撮れたとは言い切れません。それでも、普段は星景写真を中心に撮っている筆者が、ばら星雲を撮ることができました。
星景と星野は、近いようで少し違うジャンルです。
どこか敷居の高さを感じていたのも事実です。
OM-3 ASTROは、そんな私でも扱いやすく、星雲撮影を楽しませてくれました。
もし機会があるなら、架台や望遠レンズ、赤道儀をしっかり組み、本格的に追い込んでみたい。そう思わせてくれるだけのポテンシャルは確かに感じます。

OM-3 ASTROは、誰にでも勧められるカメラではありません。
けれど、赤い星雲をきちんと写したい人にとっては、遠回りを減らしてくれる存在です。
星景から星雲へ。
その一歩を踏み出すきっかけとしても、十分に意味のあるボディだと思います。
“買う理由”よりも、
“使う理由”がはっきりしている。
OM-3 ASTROは、そういう立ち位置の一台でした。


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[ Category:OLYMPUS & OM SYSTEM | 掲載日時:26年02月28日 12時00分 ]

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