Panasonic 『LUMIX S5』発売直前! 開発者インタビュー Vol.1
フルサイズミラーレス一眼 「LUMIX Sシリーズ」で培ってきた静止画・動画の高性能を小型・軽量ボディに凝縮した『LUMIX DC-S5』
9月25日に発売を控える今、その魅力に迫るべくパナソニック株式会社・角 和憲氏へ書面でのインタビューを行いました。 『S5』とはどのようなカメラなのか、そしてSシリーズに関して興味深いお話もいただけましたので、ぜひご覧ください!
パナソニックにとって、18年フォトキナでのLマウントアライアンスの発表から、 19年3月のDC-S1、DC-S1R登場。19年9月のDC-S1H登場、そして今回のDC-S5発表という 約2年弱は、LUMIXの歴史の中でどのような時間でしたか?
角 和憲氏(以下、角氏): 2008年にミラーレスカメラの初号機であるG1を発売して以来、数々のイノベーションを起こしてきましたが、やはり昨年のフルサイズ市場への参入というものは、その中においても大変意義深いものでした。プロに写真家や映像制作の方々に向けたS1シリーズに続き、もっと幅広いカメラユーザーの方にご使用いただけるように開発したのが今回のS5であり、少しでも早くお届けしたいという想いでしたので、この2年弱はあっという間でしたし、ようやく発表出来たことに、ほっとしています。
協業されている3社、と一括りに言っても、各社ごとに発売したボディのコンセプトは 大きく異なっているように思います。 圧倒的な解像感と高画質を追求したライカSL2、変幻自在な拡張性を実装し、撮影と表現の自由と可能性をどこまでも拡げられる「ポケッタブル・フルフレーム」と称したシグマfp その中で、LUMIX Sシリーズが最も重要視したコンセプトは何でしょうか。
角氏: S1シリーズは、プロの写真家・映像制作の方々に向け、全ての面において妥協せずに開発したカメラですが、その中でも、“表現力”に拘っています。S1Rは高い解像度をベースにした静止画を中心にした表現力、S1は高感度に強く、静止画・動画ともに高い表現力を実現、S1Hはなんといってもシネマクオリティの高い映像表現が可能です。今回のS5は、このようなS1シリーズの静止画・動画ともに高い表現力を小型・軽量ボディに凝縮したモデルとなっています。
今回のDC-S5において、前述のLUMIX Sのコンセプトが最も顕著に表れているのは製品のどのような部分でしょうか。
角氏: 小型軽量ボディに、静止画・動画ともにS1シリーズの高い表現力を実現する機能を搭載していますが、その他にも、小型ボディでありながらも、撮影に集中できる操作性や、動画の記録時間に代表されるような信頼性・堅牢性 という部分にもしっかりと拘り開発しています。
今回発売のDC-S5K標準ズームレンズキットは、DC-S1M標準ズームレンズキットと違い、LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S. S-R24105からLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 S-R2060に変更になっています。この変更はどのような意図があるものでしょうか。
角氏: S5はS1シリーズで培った高画質・高機能を小型・軽量ボディに凝縮することが商品コンセプトになります。S-R2060は他にはない超広角20mmスタート、かつ最短撮影距離15㎝や最大撮影倍率0.43倍という特徴があり、小型軽量を実現したレンズになりますが、S5との組合せで機動力を発揮しながら、さまざまな表現が可能となるように考え、キットレンズとして採用させていただきました。
※LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6で撮影
本モデルよりバッテリー・チャージャー等のアクセサリーも一新されていますが、これは機種本体のダウンサイジングによるものでしょうか。また、それによって既存のDC-S1シリーズと比較した際に、デメリットが発生することはありませんか?
角氏: おっしゃる通り、小型・軽量をコンセプトにバッテリーを小型化しております。バッテリーの大きさ自体は、GH5等でも使用されているDMW-BLF19とほぼ同サイズですが、電池容量はアップしております。またS1と比較した際に(BLJ31比較)、バッテリー容量は劣るものの、それぞれのシステムに最適なバッテリーを採用していますので、特にデメリットが発生することはありません。チャージャーは新型バッテリーに合わせて新たに開発いたしました。
※手前がS1バッテリー、奥にあるのがS5バッテリー