【Canon】遂にAPS-Cモデル登場!EOS R7 / R10 先行展示 体験レポート
フルサイズ『Canon EOS R5/R6』、そしてフラッグシップ級の高い性能を詰め込んだ縦位置グリップ一体型モデルの『Canon EOS R3』など、ユーザーの予想を上回るハイスペックボディを次々に打ち出し、ミラーレス市場においても強固な土台を築き上げたキヤノン。そして卓越した描写性能のLレンズやミラーレスの特性を活かしたユニークなラインナップにより、ユーザーにシチュエーションごとにレンズを選ぶ楽しさを与えています。
そんな順風満帆のキヤノンが続いて世に送り出すのは、ユーザーが待望していたRFマウント初のAPS-Cモデルです。
その名も、『Canon EOS R7』と『Canon EOS R10』
発表時から大きな話題を呼んだ当プロダクト。一眼レフ時代のキヤノン機に知見のある方なら、APS-Cモデルに付く「7」のナンバーが何を示すのか、きっとお分かりになるでしょう。
今回は東京・キヤノンギャラリー銀座へ赴き、先行展示機を実際に体験した様子をレポートいたします。2台の新モデルの魅力や、どんな方にオススメなのかをご紹介。また、同時発表された2本の新レンズに関しても体験してきましたので、ぜひ最後までご覧ください。
(本先行体験会は予約制となっております。詳しくはキヤノンギャラリーHPにてご確認ください。)
-『Canon EOS R7』 外観-
まずはハイアマチュアユーザーに向けて開発された『Canon EOS R7』がこちらです。
そのモデル名が示す通り、一眼レフAPS-Cモデルの名機『Canon EOS 7D Mark II』の後継機と言える一台でしょう。新開発された約3250万画素APS-CサイズCMOSセンサーと映像エンジンDIGIC Xにより、APS-C EOS史上最高の解像性能を誇ります。そのうえ、刷新された「デュアルピクセルCMOS AF II」は高速・高精度・広範囲かつ高い被写体検出性能も保有し、被写体を逃さず美しく切り取ります。ペンタ部のデザインは「EOS R5」や「EOS R3」の流れを感じるツルッとした形状になっており、ハイエンドモデルであることを物語っています。ファインダーがレンズマウントの中心点と同じラインにあるのも嬉しいポイントです。
グリップは非常に小ぶりに見えるのですが、握ってみて驚きました。奥まで指先が入るようにかなり深くなっており、しっかり「掴んでる」という感じがします。片手での軽快なスナップも、望遠系のレンズを装着しても安定して撮影することが出来そうです。
EOS Rシリーズではすっかり統一規格となった背面液晶。バリアングル式のタッチパネルです。7Kオーバーサンプリングプロセッシングの採用やフル画角での4K 60P収録にも対応など、静止画だけでなく動画にも非常に力の入っている本機。様々なアングルに調整しやすいこと、また電動ジンバルなどと組み合わせやすいなど沢山の利点があります。
マルチアクセサリーシューの採用によりアクセサリとの組み合わせで様々な拡張機能を追加することが出来ます。『Canon EOS R10』にも同じく採用されているので、細かい部分も抜かりなしといった印象です。
今回、『Canon EOS R7』で初めて実装されたのがファインダー右にあるこの部分。従来はそれぞれに配置されていたサブ電子ダイヤルとマルチコントローラーがひとつにまとまっています。「ファインダーを覗いたまま最小限の動きで操作しやすいカメラ」を意識して設計されており、直感的な操作が可能になっています。触ってみてかなり便利だったのでぜひご体験頂きたい部分です。
Canon EOS R7 + RF 800mm F11 IS STM
今回どうしても試してみたかった組み合わせです。今回の2台は既に発売されているフルサイズ対応のRFレンズを装着して使用することが出来ます。手持ちでフルサイズ換算1260mm相当を実現!しかし合計の重量は約1900g!2Kgを切ってしまいます。1200mm相当を軽快に振り回せる時代が来るなんて…夢のようです。ちなみに、テレコンバーターも装着可能ですので、2倍テレコンを挟めば手持ちでフルサイズ換算2560mm相当。使えるシーンは限られますが、非常にロマンのある組み合わせだなと頬が緩んでしまいました。
-『Canon EOS R10』 外観-
続いて、エントリークラスに分類される『Canon EOS R10』をご覧いただきます。『Canon EOS R7』の弟分と言った存在でしょうか。大枠では非常に似ていますが、差別化のエッセンスも随所から感じることが出来ます。新開発の最大約2420万画素APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載しており、解像性能では『Canon EOS R7』に劣るもののこのクラスでは十分以上です。また、映像エンジンは『Canon EOS R7』と同等のDIGIC X、フォーカス方式もデュアルピクセルCMOS AF IIとなっておりコンパクトながら本格的な撮影を行うことが出来ます。
ペンタ部のデザインは少し前方に尖がっていて「EOS 90D」や「EOS Kissシリーズ」に似ています。このことからも、エントリーモデルとしての統一性を持って登場したことが伺えます。
『Canon EOS R10』のみ搭載されている機能が手動アップ式の内蔵ストロボ。引き上げてすぐに使うことが出来るので、光量が足りないシーンに遭遇しても安心です。
-比較① EOS R7 / EOS R10-
EOS R7 / EOS R10
2台を並べてみました。やはり、というか当然ですがちょうど一回りサイズ感が違うなという印象です。APS-Cモデルとしては標準的なサイズ感と言えるでしょう。2台の大きな違いとして、「EOS R10」はボディ内手ブレ補正が非搭載です。それゆえのコンパクトさではあるのですが、逆に言えばボディ内手ブレ補正を搭載しながらここまでコンパクトな「EOS R7」も驚異的ですね。
EOS R7 / EOS R10
背面を見比べると、バリアングル式の背面モニターなど共通項もありますが、ボタン配置など使い心地が変わってくる部分もありそうです。ファインダー倍率が「EOS R7 約1.15倍」に対して「EOS R10 約0.95倍」と若干違うものの、視野率は共に100%。約236万ドットのOLED電子ビューファインダーを搭載しています。非常に視認性も色再現性も良く、動体撮影でも問題なく使用できそうです。
また、バッテリーもひとつのポイントです。『Canon EOS R7』は「EOS R5」や「EOS 5Dシリーズ」等と共有の「LP-E6NH」が使われているのに対し、『Canon EOS R10』は「EOS Mシリーズ」や「EOS RP」等と共用の「LP-E17」が採用されています。この事から今回の2台をサブ機として運用したいと考えている場合、現在お使いのキヤノン機とバッテリーを共有できるかで優位性が変わってきますので、選考の際のひとつの要素になるでしょう。
撮影者によって重要になってくるのが記録媒体の仕様。2台とも[SD/SDHC/SDXCメモリーカード、UHS-II、UHS-Iカード対応]となっています。しかし、「EOS R7」がデュアルスロットなのに対して「EOS R10」はシングルスロットとなっていますので少し注意が必要です。「EOS R7」は高画素ゆえにファイルサイズも大きくなりますし、高い連写性能を活かすためにもデュアルスロットは必須でしょう。このボディサイズながらしっかりその点を抑えてあるのは見事です。
-比較② EOS R7 / EOS 7D Mark II-
今回、比較をするために久しぶにり「EOS 7D Mark II」に触れたのですがやはり良いカメラです。しっかりとしたグリップ、ストレスを感じさせない素早いレスポンス、そして何より出でくる画の良さ。APS-Cの名機として多くのユーザーに愛された1台です。
EOS R7 / EOS 7D Mark II
EOS R7 / EOS 7D Mark II
並べてみると一目瞭然と言いますか、『Canon EOS R7』のコンパクトさが際立ちます。操作系統に関してもより簡便にしつつ右手側に集約されているのが見て分かります。
EOS R7 / EOS 7D Mark II
EOS R7 / EOS 7D Mark II
「EOS 7D Mark II」の掴みごたえのあるグリップは撮影中の安定感を増してくれるものでした。『Canon EOS R7』はグリップ形状で言えばフラットにはなっていますが、指がかかる部分が深くなっておりグリップ力を高めています。本体重量自体が軽量ですしレンズも軽量なものが多いので、バランスは悪くないでしょう。
-比較① EOS R7 / EOS R10 / EOS R6-
EOS R10 / EOS R7 / EOS R6
フルサイズミラーレスのスタンダードモデルである『Canon EOS R6』とも並べてみました。まさに家族のような安心感と言いますか、同じ血脈であることを感じられますね。モデル名部分を隠した状態で見せられたら、一瞬悩んでしまうと思います。やはり「EOS R6」はフルサイズとして体躯の大きさを感じます。
EOS R10 / EOS R7 / EOS R6
背面を見るとやはり似ているなという感想ですが、『Canon EOS R7』の項目でも触れた新しい「サブ電子ダイヤル」部分などに着目すると違いが見えてきます。もちろん、細かい違いはありますがボタン配置なども似た位置にあるので今までフルサイズ機を愛用されていた方にもすんなり使い馴染んでいただけると思います。
ひとつの注目点として今回の2台では、初めてボディ前面に「AF・MF切り替えスイッチ」が採用されました。少し珍しいのが、グリップ側にこのスイッチが付いていることです。レンズを挟んで反対側についているカメラが多いのですが、上述した「ファインダーを覗いたまま最小限の動きで操作しやすいカメラ」の理念にのっとってグリップを握った右手でそのまま切り替えがしやすいという設計になっています。
EOS R10 / EOS R7 / EOS R6
EOS R10 / EOS R7 / EOS R6 / EOS R5
せっかくなので勢ぞろい。5、6、7、そして10。ここにはないですが3と出揃ってきたEOS R。今後もその展望が楽しみです。
-新レンズ「RF-S」シリーズ –
左:RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM + 右:RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
この度、新しい規格として登場したのがRFマウントのAPS-C版である「RF-Sマウント」です。小型・軽量を突き詰めたシリーズ展開が行われるようで楽しみです。さらに、フルサイズRFマウントにも装着が可能なのが一つの驚きポイントです。一眼レフ時代、EFマウントのボディにEF-Sマウントのレンズを装着するのは形状の違いから物理的に不可能でした。今回RFではその壁を取っ払うことにしたキヤノン。互換性を大切にしてくれています。
今回ボディと共に発表されたのが、フルサイズ換算約29-72mm相当ながらわずか約130gの標準ズーム『Canon RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM』と、フルサイズ換算約29-240mm相当の幅広い焦点距離をカバーする高倍率ズーム『Canon RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM』の2本。どちらも非常にコンパクトながらレンズ内手ブレ補正を搭載しているため、「EOS R7」で使えば協調制御による最大8.0段の手ブレ補正効果を発揮してくれます。また、手ブレ補正非搭載の「EOS R10」でもレンズ側の補正で安心して撮影することが出来ます。また、AF制御にステッピングモーターを採用しているため動画撮影時でも静かで滑らかなフォーカシングが期待できます。
左:RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM + 右:RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
2本のレンズを望遠端まで伸ばしてみました。『Canon RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM』は沈胴機構を採用しているため、より一層コンパクトです。キットレンズとして申し分のないレンズになっています。
後玉を見て頂くと、このようにかなりマウント側に凸しているのが見て取れます。こういった光学設計が可能なのも、バックフォーカスの自由度が高いミラーレス一眼ならでは。RFレンズはミラーレス専用設計を活かしたレンズが数多く存在しますが、どうやらRF-Sレンズもどんどん面白いレンズが出てきそうな気がします。
いかがでしたでしょうか。キヤノンが満を持して世に送り出すAPS-Cモデル達、スペックが発表された時点からタダ者ではないなと思っていましたが、体験することで確信に変わりました。
小型・軽量にまとまりつつも「EOS R」のフルサイズ機から受け継いだ高い撮影機能は過不足なく網羅されており、ライトにもヘビーにも使うことが出来そうです。また、既存のRFレンズとの互換性があったりとすでにキヤノンミラーレスを愛用されている方にも手にしていただきやすいですし、これだけの優れたカメラでありながら価格も魅力的で初めてカメラを買いたいというユーザーの方にも手にしていただけそうです。
同時発表のRF-Sレンズも実用性抜群で、個人的には大口径の単焦点レンズなどが出てきたらより盛り上がりそうだな…などなど、ワクワクが止まりません。
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駆け足ではございますが、キヤノン新製品の魅力についてレポートさせていただきました。
実写レビューなどご期待に沿えるようコンテンツを準備してまいりますので、お待ちいただければと思います。