【OLYMPUS】REFIND OLYMPUS “M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO”
デジタルカメラや交換レンズにおいて、優れていることとは一体なんでしょうか。
本体機能、性能の高さ、光学設計の良さ、デザインの良さ…
様々な考え方があり、きっと使用者によってもその基準は異なることでしょう。
そんな「優れていること」について、もっと根底に存在する概念を私は思案します。
それは、「どこでも、誰でも使える」ということ。
・M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
OM-D E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
F11 SS:1/15 ISO200
Fisheye、いわゆる魚眼レンズは、大きく分けて二つ種類があります。
一つは、撮像範囲の中に円状のイメージサークルを持つ円周魚眼。
もう一つは、イメージサークル内に撮像範囲が収まっている対角魚眼。
M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROは、後者の対角魚眼に当たるレンズです。
魚眼レンズは、全天レンズともよばれ、天候や雲量を記録する目的としても使用されます。
そのために歪曲の補正よりもより広く写すことを第一に設計されており、
多くの魚眼レンズは、180°以上の広大な画角を誇ります。
OM-D E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
F8 SS:1/4 ISO200
通常の広角レンズや望遠レンズと同様に、普段人間の見ている視界と異なる世界を写すことができるレンズです。
ただ一点異なるのは、前述したように(通常の広角レンズも歪みますが)極端に像が大きく歪んでしまうこと。
そのため、難しく感じ、なかなか手を出しづらく思っている方も多いかもしれません。
かくいう私も、そんな先入観があり、今まで実際に使ったことがありませんでした。
しかし、物は試し。使ったことのないものを論じることはできません。
いざ、雨降る新宿の街へ。
OM-D E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
F8 SS:2.5 ISO200
実際に使ってみると、普段使っているものと違うからか、
「あれ、なんだか思ったよりも楽しいな」という気分に。
写真は引き算、とよく言われますので、より広く写るレンズで撮影する場合だと、
撮影できそうな被写体は確かに多少限られてくる感覚がありますが、
対角魚眼であれば、あくまで通常使用するレンズの延長線上のような塩梅で使用することができます。
元々雨天ながら徐々に日が落ちてきたところでシャッタースピードも2.5秒となってしまいましたが、
強力なセンサーシフト式手振れ補正のおかげで、難なく撮影ができます。
(念のため、と思い三脚を持ってきたのですが、全く不要でした)
OM-D E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
F8 SS:1/2 ISO200
ただしうっかりすると、上の画像の手すりのように予期せぬ映り込みが発生してしまいます。
「真ん中は勝手に写るんだから四隅を気にしなさい」
昔、私に写真を教えてくれた師の言葉が脳内で反響していました。
OM-D E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
F8 SS:1.3 ISO200
気がつくと、最初は小雨程度だった雨も、大きな雨粒の本降りに。
通常の機材なら雨宿りに喫茶店でも駆け込むところですが、
わずか315gの軽量なレンズ本体の機動力による疲れにくさと、信頼の防塵防滴性能で、悩むことなく撮影を続行しました。
OM-D E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
F1.8 SS:1/15 ISO200
そうそう、忘れてはならないのが、このレンズのF値が開放1.8であるということです。
F2.8〜が多い魚眼レンズにおいて、この明るさは非常に魅力的。
ISO感度をできるだけ上げたくない撮影では心強いスペックです。
また、最短撮影距離が0.12mである点についても見逃せません。
「ボケにくい」マイクロフォーサーズ規格の広角レンズで、近接撮影や開放F値によるボケを堪能できます。
OM-D E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
F1.8 SS:1/60 ISO200
「どこでも、誰でも」撮影することができるカメラを実現することは難しいことです。
デジタルネイティブの世界が広がり、いまや「写真を撮影する行為」は普遍的なものとなりました。
100年前では、カメラを購入するのに銀座に一等地を買えるほどの金額が必要なこともありましたが、
いまの日本において、「カメラ」に全く関わったことがない人のほうが少ないはずです。
それは、カメラをより普遍的なものにしようと努力した先人の力があったからこそ実現しました。
殊にOLYMPUSやZUIKOというブランドネームを持つカメラやレンズたちは、他のメーカーのカメラやレンズよりも、深くそのことについて考えられて作られています。
たとえ雨が降っても、三脚がなくても、そのまましたい撮影ができる。
M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO の魅力を、再発見しました。
↓今回使用した機材はこちら↓