
初めて購入したカメラからデジタル機である筆者ですが、カメラ・写真の世界に足を踏み入れると色々な写真の撮り方がある事を知る毎日です。そんな中モノクロフィルム撮影に非常に興味を持ちました。というのもモノクロフィルムであれば自己現像の難易度がカラーフィルム現像と比べて容易である事を知ったのと撮影した瞬間から白黒しか記録されないというロマンに惹かれました。
さて、今回は筆者初のモノクロフィルムで撮影した作例をご紹介いたします。使用したフィルムは『Kodak TRI-X 400 135』になります。使用したボディはRollei 35 SE Singaporeを選びました。
現像プロセスは都内某貸し暗室で自家現像ですが、データ化は300万画素相当を業者に依頼しています。
*Rollei 35 SE Singaporeもまた、購入後初の使用で、まだ慣れておらず水平が上手く取れていません。何卒ご容赦ください。

初めてのモノクロ撮影・Rollei 35 SE Singaporeの使用という事で学生時代から通い慣れている上野周辺で撮影をしました。なんともデジタルでは再現出来ないようなコントラストと粒状感です。筆者はモノクロセンサーしか搭載していないレンジファインダー機も使用していますが、それとも全く異なる階調性と雰囲気です。今回は露出系に頼らず完全マニュアル露出で挑みましたが、思いのほか白飛び・黒潰れが少なく驚きました。

露出計を使用せず撮影しているため白飛び・黒潰れが非常に心配だったのですが、フィルムの柔軟性が高く、雲から雑居ビルの暗部までしっかり写りました。デジタルで撮影すればほぼ黒潰れしてしまうシーンだったでしょう。

Rollei 35 SE Singaporeですが、非常にコンパクトな筐体に沈胴式の40mmレンズを搭載しています。Rollei 35シリーズは世代によってSonarレンズやTessarレンズの場合がありますが、どの搭載レンズも非常に高いコントラストとシャープな描写が特徴です。今回の作例でご紹介しているRollei 35 SE SingaporeにはHFT Sonnar 40mm F2.8レンズを搭載しています。また、どのモデルも距離計(フォーカスを合わせるための機構)が搭載されていません。そのため全ての撮影はレンズに付いている距離指標を参考に目測で撮影をする必要があります。上記の作例は若干絞り込み、被写体との距離をおおよそに考えて撮影しています。デジタル機のようにシビアなフォーカシングではないので、意外と近距離の被写体でもピントを合わせる事が可能です。

今回ご紹介している作例の全てを初の貸し暗室で現像作業を行なっております。”貸し暗室”という言葉自体も知らなかった筆者ですが、その道に詳しい友人の助けを貰いながら「現像」「停止」「定着」の薬剤の説明を受けてなんとか成功しました。使用する薬剤の温度や晒す時間で現像後に写る像のコントラストや質感が変化します。今回は説明書通りの一般的な現像時間で行っております。当たり前ですが、当然デジタル撮影では経験することのない現像作業だったので非常に新鮮でした。カラー現像だと作業工程が増え難易度が上がるようなので、初めてのフィルム現像であればモノクロ現像がとてもおすすめです。

都内の一部で運行している都電荒川線を撮影しました。最盛期では渋谷や日本橋といった都内の中心部を走る主要交通だったようですが、今では荒川区から新宿区までを運行する小規模な路線となってしまいました。
モノクロであることも相まって昭和時代にタイムスリップしたかのような雰囲気があって非常に味があります。

”白黒しか記録されない”と聞くとなんだか難易度が高くなるように感じますが、そこまで難しく内容に筆者は感じました。記録された全ての範囲が白と黒のグラデーションだけで形成されるのでよくある色収差や色の彩度というものが物理的に存在しません。そのためどこのシーンで撮影してもコントラストがはっきり写る描写になる場合が多く、印象的な1枚を撮影する事がカラーフィルムと比べても容易に感じます。

他のモノクロフィルムの作例やレビュー記事と比較すると、『Kodak TRI-X 400 135』は解像感や質感が非常に繊細だと感じました。フィルムが苦手とするシャドウ部の粘りも強く、露出も関係がありますが大きな黒つぶれも今回の撮影では発生しませんでした。デジタル機と比べても写真1枚あたりにかける時間が桁違いに長く、シャッターを切る瞬間から現像を終えるまでのプロセス一つひとつに自然と心がこもり、一枚の表現に向き合う濃密さを実感できました。これぞフィルム機の1番の特徴でしょう。


レースカーから航空機といった動き物を流し撮りするのが好きなので、フィルムでも流し撮りをしてみました。この時のシャッタースピードは1/30です。デジタル機のように無限に取れる訳ではないので、2枚だけ撮影してみたのですが、想像以上に成功しておりとても驚きました。ボディが非常に軽量・コンパクトな設計なので取り回しが良かったからでしょう。
【Kodak】モノクロ × フルパノラマ。現像を待つ時間まで愛おしくなる、最高の撮影体験。~Kodak TRI-X 400 × TX-1~



