【マップカメラ情報】SIGMA SD15 ファーストインプレッション
SD15と言うカメラ
SIGMA SD14の後継として2010年6月25日に発売となったデジタル一眼レフカメラSD15。主な特徴として、イメージセンサーは35mm判換算約1.7倍のAPS-Cサイズ約464万画素FOVEON X3ダイレクトイメージセンサー(2,652×1,768×3)、レンズマウントはシグマSAマウント、シャッタースピード1/4000~30秒・Bulb、連写秒間3コマ、連続撮影可能枚数21枚、ISO感度100~1600(拡張モード50、3200まで設定可能)、重さ680gのミドルレンジのデジタル一眼レフだ。
使用レンズ : 18-50mm F2.8-4.5 DC OS HSM / レンズ焦点距離 : 18mm / 絞り : F9.0 / シャッタースピード : 1/320秒 / ISO感度 : ISO100
SD14との違いは、記録媒体がコンパクトフラッシュカードからSDカードに、液晶モニターのサイズが2.5型約15万ドットから大型高精細の3.0型約46万ドットに、画像処理エンジンは同社のFOVEONセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラDP2と同じTRUE IIとなった。その他に、AFE(Analog Front End)搭載で従来に比べ高感度性能が向上し、ノイズが少なく、高解像で優れた色再現が可能に。そしてバッファメモリーが増え、連続撮影枚数が6枚から3倍以上の21枚にパワーアップしている。
そのバッファメモリーが増えた恩恵は大きく、連続で撮影しても書き込み待ちで撮影が止まることが無くなった。特に最大5コマまで設定出来るブラケット撮影などで重宝するだろう。ただし、書き込み時間が若干長く、再生ボタンを押してから撮影画像の確認はバッファ内のデータ書き込み終了を待つ必要がある。撮影画像を頻繁に確認しながら撮影する場合はレスポンスが悪く感じるが、露出の確認であれば撮影後のプレビューをONにしておけば問題ない。
使用レンズ : 18-50mm F2.8-4.5 DC OS HSM / レンズ焦点距離 : 18mm / 絞り : F4.5 / シャッタースピード : 1/100秒 / ISO感度 : ISO100
SIGMAのカメラポリシーでもある「RAW」での撮影の場合、各種設定を撮影後に行うことが出来るので、カメラ操作は撮影モードダイヤル(P・A・S・M)、露出補正、ISO感度変更、フォーカスエリアの変更程度となり、デジタルカメラであるにもかかわらず、フィルムカメラ並みにシンプルに使うことが出来る。SD15は、撮影モードダイヤルをはじめ、露出補正やISO感度変更、フォーカス変更などそれぞれをダイレクトに変更出来る専用のボタンが設けられているので、操作に戸惑うことなく撮影に集中することが出来た。
8年目を迎えるFOVEON搭載機
実は、過去にSD9を使っていたこともあり、SD15は約5年ぶりのSIGMAデジタル一眼レフとの対面となる。2002年、SD9の発売当時のデジタル一眼レフカメラは、NikonのフラグシップカメラD1X(約530万画素)を筆頭に、デジタル一眼レフカメラが手の届く価格になった普及機D100(約610万画素)、FUJIFILMのFinePix S2 Pro(約617万画素)、CONTAX N DIGITAL(約629万画素)、人気商品のため品薄で入手困難が続いたCanon EOS D60、そして約1110万画素フルサイズセンサー搭載のEOS-1Dsなども同時代のカメラだ。ちなみに当時のNikon D100の定価は、300,000円(税別)、Canon EOS D60の定価は、358,000円(税別)で、現在のフルサイズ機Nikon D700やCanon EOS 5D Mark IIが買えてしまう価格帯だった。
SD9の発売当時デジタル一眼レフカメラのメインストリームは「高画質600万画素」となり、画素数が少ないSD9(約343万画素)の魅力に気付くまで少し時間が掛かった。
使用レンズ : 18-50mm F2.8-4.5 DC OS HSM / レンズ焦点距離 : 18mm / 絞り : F11 / シャッタースピード : 1/500秒 / ISO感度 : ISO100
2002年、年末のとある日SD9の試写を行った。撮影データを持ち帰り早速PCで確認したところ、今まで見たことも無いような写りにしびれたのを覚えている。そしてSD9を購入したのは言うまでもない。ローパスフィルターを必要としない3層構造のFOVEONセンサーの描写は、まさに「薄皮一枚剥いだ様な」むき出しの解像感がある。今までのデジタルカメラでもフィルムでも目にした事の無い独特の個性は、やがて写真愛好家の間に広がっていった。当時のマップカメラでは店内に作例を掲示し、早くからSD9及び対応のSAレンズの販売に力を入れていたのを覚えている。
使用レンズ : 30mm F1.4 EX DC HSM / レンズ焦点距離 : 30mm / 絞り : F8.0 / シャッタースピード : 1/50秒 / ISO感度 : ISO100
そして2010年、デジタル一眼レフカメラはエントリーモデルも1,000万画素を超えた今、画素数が約464万画素のSIGMA SD15の魅力はどうだろうか・・・?!
現在でもSDシリーズは勿論、同じFOVEONセンサーを搭載しているコンパクトデジタルカメラ DP1・DP2シリーズの「画」は今でも十分魅力的で評価が高い。8年もの歴史が有ることからファンサイトには多くの作例があり、様々なレンズの作例など参考になることが多い。普通は古いデジタルカメラの写真を見ると「昔のデジカメの写真は・・・」と思う所だが一貫してFOVEONセンサーを使っているシグマのデジタルカメラは、8年間のどの時期の写真を見ても色褪せない。 SIGMAのWebサイト(http://www.sigma-photo.co.jp/)にも、SDシリーズ・DPシリーズで撮影した「押本 龍一 ー 私の出会う光景 ー」と言うフォトエッセイがある。カリフォルニアやアリゾナの雄大な景色を撮影した写真を見ると「いい写真は画素数ではない」を改めて感じる。
使用レンズ : 18-50mm F2.8-4.5 DC OS HSM / レンズ焦点距離 : 18mm / 絞り : F2.8 / シャッタースピード : 1/30秒 / ISO感度 : ISO100
SD15はDPシリーズのノウハウを活かし、記録メディアもDPシリーズと共有できるSDカードとなり、最新の画像処理エンジンを搭載した、SDシリーズ・DPシリーズのユーザー待望のプロダクトである。 SDシリーズ・DPシリーズユーザー以外の方も、FOVEONセンサー搭載のデジタルカメラで撮影された写真を見れば、デジタルカメラで失われていた「物」が何だったのかを感じる事が出来るのではないだろうか。硬い物、柔らかい物、遠くにある物、近くにある物、その空気感と質感を表現できるカメラがSD15である。
SIGMAのデジタルカメラソリューション
2002年発売のSD9から続くFOVEONセンサーの高画質をコンパクトデジカメのボディーに凝縮したDPシリーズだが、DPシリーズで初めてFOVEONの良さを知ったユーザーにとっては、様々なレンズを使用してFOVEONセンサーの高画質を楽しめるカメラがSDシリーズと言う関係となり、それぞれのユーザーの目線でのSDシリーズ・DPシリーズのシステムの見え方が面白い。
使用レンズ : 30mm F1.4 EX DC HSM / レンズ焦点距離 : 30mm / 絞り : F2.0 / シャッタースピード : 1/1600秒 / ISO感度 : ISO100
いつも持ち歩けるサイズで遠景の細部まで描写するDP1、スナップ撮影に最適な画角とボケを演出できるDP2、レンズシステムを自由に組むことでその2機種を補完するSD15。 SD15はズームレンズをベースに、単焦点レンズ的なDPシリーズを選ぶと言う合わせや、DPシリーズを楽しみつつ、DPシリーズでは表現出来ない望遠・マクロ領域を強化する意味でSD15 + MACRO 105mm F2.8 EX DGという組み合わせ等も良いと感じる。 DPシリーズユーザーから見た「様々な画角が楽しめる」SDシリーズと、SDシリーズユーザーから見た「携帯出来るFOVEON」のDPシリーズ、ユーザーのレンズラインナップもそれぞれ違って面白いのではないだろうか。
使用レンズ : 30mm F1.4 EX DC HSM / レンズ焦点距離 : 30mm / 絞り : F2.0 / シャッタースピード : 1/4000秒 / ISO感度 : ISO100
かつて、各社には一眼レフカメラと、レンズや仕上げにこだわった高級コンパクトという関係があったが、SIGMAのFOVEON機のSDシリーズ・DPシリーズが、まさに現代版のそれなのかも知れない。
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