シャッターを切り、写し出される写真を確認した時、「いつもと違う」と思うことがあります。
その時、優先される感情は違和感ではなく高揚感。
目と手で感じ取ることができる喜びをまとったカメラ。その出会いは、幸せなひと時です。
筆者にとって『Leica SL2-S』はそのような感情を抱き、もう一度手に取り写真を撮りたいな、とも思うカメラでした。
使用したレンズは『SIGMA C65mm F2 DG DN』と『Meyer Optik Gorlitz Primoplan 75mm F1.9 II』。
その時の写真を振り返ってみました。
【Leica SL2-S+SIGMA C65mm F2 DG DN】
高所から都心の光景を眺めます。
大小様々な建築物が所狭しとひしめき、多様な街並みを形成。
巨大な都市群を目の前にすると、1人の人間は本当に小さく儚い存在にも思えてきます。
この写真に写った区画ですら訪れていない場所が殆どなのですから、世の中は広大で奥深く、知らない領域の方が多いと再認識せざるを得ません。
ゆえに新たな発見を写真におさめることができた時の喜びはひとしおというものです。
ただ風に吹かれた植物を写しだだけなのに、とても叙情的に見えました。
その場の光の量と機材が持ち合わせているポテンシャルが合わさり、写真の印象がより深さを増していくようです。
ゴツゴツとした質感のタイルですが、光が当たった部分からグラデーションが始まり、豊かな階調を披露してくれます。
暗い部分でも色潰れしそうでしないギリギリの際まで粘ってくれるのは頼もしく、大胆にシャッターを切っていくことができました。
ぎらついた原色の強い新宿も好きですが、エッジが効いているモノクロの新宿も好きです。
流動する人や物が、無数の選択肢の中ですれ違い、時に交わったりする光景。
日常とは偶然の積み重ねの連続なのかもしれません。
見慣れた、もしくは見飽きた新宿の景色もそんな意識を持ってみると、また新たな一面を見つけられる様な気がします。
【Leica SL2-S+Meyer Optik Gorlitz Primoplan 75mm F1.9 II】
『SL2-S』の手振れ補正もあり、マニュアルフォーカスレンズでも難なく使える事ができます。
外は燦燦と太陽が照り付ける反面、建物の中は薄暗く明暗差が非常に大きな場面。
窓のディテールはしっかりと写り、『Primoplan 75mm F1.9 II』の特長でもある渦巻状のボケ味も印象的に仕上げることができました。
レンズとの相性もあってなのか何を撮っても柔らかく、そして優しく写し出されるようでした。
普段は不敵な笑みを浮かべている龍神様も心なしか口角が上がり、にこりと微笑んでいるかのよう。
人も像も、しかめっ面よりも笑顔の方が親しみが深くなるようです。
20代の頃、マネキン運びの短期アルバイトをしていた時があります。
白くて硬いスラリとした腕や足のパーツ。永遠に動くことがない表情と姿勢。
倉庫内でそれらが無造作に並んでいる光景は非日常感に溢れてながらも、ある種の調和がとれているようにも感じました。
中々に鮮明な体験だったからでしょうか、街中でマネキンを見つけると注視しがちです。
柔らかい光の中、絞りは開放値。
写した写真には多少の人間味が宿っていると良いな、と思うばかりです。
Leicaと言えば何となく通好み・玄人志向なイメージを浮かべてしまうのですが、『SL2-S』はそういったイメージを良い意味で払拭するカメラでした。
普段使いの一眼カメラから難なく手になじみ、シンプルなメニューということもあり使い勝手は抜群。
それでいて描写力は極上なのですから、気に入るポイントしかありません。
素晴らしき機材との出会いに感謝を、そしてその機材で写真を撮ることができた喜びは忘れることはなく。
またいつかの日か『SL2-S』を手に取り、思い思いに写真撮影を楽しみたいと思います。
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流転する情景に触れる。『Leica SL2-S』で撮る『Meyer Optik Gorlitz Primoplan 75mm F1.9 II』